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80.わたくし、ついに結婚するのですわ
しおりを挟む香散見さんと関係を持ってしまったのは、あっという間に邸中に広まって、どうやら主上のお耳にも触れたらしい。
もう、恥ずかしい! とは思ったけれど、どうせ、香散見さんには嫁ぐのだし、ああいうこともするのだし……順番はいろいろとおかしくなってしまったけれど、まあ良いかと言うことで。
ただ、これは恥ずかしいだけじゃなくて、ちょっとした嬉しい……効果もあったようで。
わたくしと、香散見さんの結婚を急ごうと言うことになったのでした。
「まあ、先に孕んだりしたらみっともないからねぇ」
というのが、父さまの言葉で、この、配慮のなさに、わたくしはあきれ果てましたけれど、とにかく、これで、やっと香散見さんの所に嫁ぐのか……とわたくしは感慨深く思った。
だって――――。
わたくしは、実敦親王に嫁ぐ予定になっていたのだし、だから、その嫁ぎ先が、実敦親王から香散見さん……つまり、東宮殿下に変わったときには、それこそ、すぐに入宮と言うことになるのかと思って居たけれど。
じつは、そうじゃなかったので、わたくしはのきもちは、あちこち動いたり、色々したけれど。
香散見さんに抱きしめられて、香散見さんの熱を知った今、わたくしは、恋よりももっと確かな気持ちで香散見さんに向き合っていると思って居る。
わたくしの入宮は、火事の補修が済んだらすぐということになった。
「……んふふ、良いわねー。まっさらな御殿の、まっさらな御帳台で、まっさらなアンタを抱きなんて、考えただけでも、ワクワクしちゃうわー」
「わたくし……もう、『まっさら』ではないのでは?」
「うふふ、アタシしか知らないんだから、アンタは永遠にまっさらよ」
香散見さんは、相変わらず、めちゃくちゃなことを言うけれど……一生、香散見さんの肌しか知らないというのが、香散見さんの言う、まっさらなのだとしたら、わたくしは、香散見さんの言う通りに、永遠に、まっさらだわ。
それは、すこし、嬉しかった。
とはいえ、真新しいところで私を抱くことが出来るからって、ちょっと、はしゃぎすぎだとは思うけれど。
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