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第10話 勇者討伐に向けて
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「……魔界のアンデッド。旅立ったばかりの勇者に勝てるとは思えんが」
エルガノフもさすがに予想外だったのか、目を見張っている。
「そう思うだろう?理解しがたいけど、それだけ勇者が強いのは確かみたいだね」
ソウマは感情の見えない表情のままだが、エルガノフの反応に理解を示している。
ソウマが言うように、勇者の異常な強さそのものも確かに脅威だ。
しかし、俺が伝えたいのはそこではなかった。
「あいつがヤバいのは、単純な強さだけじゃない。俺は勇者と戦って、明らかに戦い慣れていると感じた。それはたぶん、魔界の魔物との戦闘経験を糧にしたからだ」
勇者はレベルアップでどんどん強くなる。
すでに規格外の強さだが、ここからますます成長していく。
ゲームのことを知らない彼らにも、そのことをなんとか理解してもらいたかった。
「強敵と戦うことでより力を増していると?」
エルガノフの問いは的確だ。
話が早くて助かる。
「ああ。今回の戦いすら力に変えているだろう。伝説の装備をこれ以上渡せば、手が付けられなくなるかもしれない。早いとこ全力で潰すべきだ」
言葉遣いを意識しながら、危機感を煽るようにエルガノフに訴える。
暗に四天王全員で倒しに行くべきだとの気持ちを込めた。
「そうか。オマエたちの意見は理解した。……これは急がねばならんな」
エルガノフは深刻そうに眉根を寄せてそう呟くと、こちらを向いて言葉を続けた。
「ワシも共闘のための準備を進めている。具体的には、味方を巻き込まない攻撃手段の会得だ。しかし、まだしばらくは時間がかかる」
そうか、そう言えばその問題が残っていた。
それでも、エルガノフがすでに共闘に向けて動いてくれているのはありがたい。
「ワシはまだ参戦できん。だが、事態は一刻を争う。動ける者たちで、急ぎ勇者討伐に向かうべきだろう」
俺は頷きながら、エルガノフの言葉に耳を傾ける。
「次は炎の神殿。そこで勇者を迎え撃って欲しい。今回はソウマを加えた3人でだ」
そう言って、エルガノフはソウマの方を見た。
「そういうことなら構わないよ。どうやらボクが敵に塩を送ってしまったようだし?その責任はちゃんと取らないとね」
ソウマもエルガノフの指示をすんなりと受け入れてくれたようだ。
エルガノフが参加できないにしても、ソウマがいれば形勢はこちらに傾くかもしれない。会議の内容は上々だ。
意外とみんな協力的で助かった。
これで一歩前進だな。
「じゃあ、会議はもう終わりかな?勇者と直接対決するなら、ボクもそれなりに準備しておきたい。できるならすぐにでも取りかかりたいくらいだよ」
ソウマはそう言って、席を立とうとする。
「うむ。ワシも修行に戻るとしよう。各自、次の戦いに備えてくれ」
エルガノフも解散の言葉と共に、立ち上がる。ひとまず会議はこれで終了だ。
速やかに会議室を出ようとする2人。
それを横目で見ながら、俺はこっそりベロニカに話しかける。
「ベロニカ、少しいいか」
「なに?もう会議は終わったじゃない。まだなにか用があるの?」
ベロニカは怪訝そうな表情で問うてきた。
「頼みがある。俺の訓練に付き合って欲しいんだ」
「訓練?」
「そうだ。今の俺には実力が足りてない。勇者と再戦する前に、少しでも力を磨いておきたいんだ」
これは俺の切実な思いだ。あの勇者と戦うには俺は弱すぎる。
なんとかして力を高めないと、次の戦いにはついて行けないだろう。
「……やっぱり、アナタ変よ?そういうのは自力でなんとかする性分じゃなかったかしら?」
しまった。油断しすぎた。
話す機会が多いせいか、ベロニカ相手だとなんだか気が緩んでしまう。
慌てて理由を探す。
「いや、その!今回は共闘が前提だろ?それなら、一緒に訓練した方がお互い強くなれる。勇者に負けちまったらお終いなんだ。手段は選んでられねぇってだけだよ」
ベロニカは品定めするような目線をこちらに向ける。
我ながら無理のある理由だと思うが、大丈夫だろうか。
「……そう。なら、付き合ってあげても構わないわ。今からでいいのよね?」
ベロニカは少し考え込むような間を置いたが、すぐに了承してくれた。
ほっ。納得してくれたみたいで良かった。
「ああ。助かる」
付け焼刃だろうが、なにもしないよりはマシだ。
席を立ち、会議室の入口の方を向く。
するとそこには、ソウマが立っていた。
別にそれだけならなんのことはない。
だが、奇妙なことにソウマの瞳はいつも以上にギラギラと光を放っている。
それも、なにやら熱っぽい興奮の色を宿しているように見えた。
「2人で訓練。今、そう言った?」
ソウマは一歩ずいっと前に出て、俺に尋ねてきた。
なんだか、ただならぬ雰囲気を感じる。
だが、こちらには別に嘘を吐く理由もない。
「ん?まあ、そうだが」
正直に答えた俺に、ソウマは懇願するような視線を向ける。
「ア、アタシも一緒に……」
ソウマは聞き取れないほど小さな声でなにか言いかけた。
と思ったら、両手をブンブン振り始めた。
「あ、いや。やっぱりなんでもない」
なにかを我慢しているのか、ソウマは苦悶の表情を浮かべている。
「く、訓練、頑張ってね。じゃあ、ボクは失礼するよ」
取り繕うようにそう言い残して、ソウマはそそくさと会議室を出て行った。
なんだか名残惜しそうな表情だったような気もするが、どうしたのだろうか。
ソウマにしてはやけに感情が漏れ出ているようだったが。
「なんだったのかしら?今の」
ベロニカも不思議そうにしている。
もしかして、俺たちと一緒に訓練したかったのだろうか。
まさか、ベロニカと同じようにソウマもなにか意外な本音を隠しているのか?
色んな想像が頭に浮かんだが、こればかりは考えても埒が明かない。
「分からんが、あまり詮索しない方がいいかもな。それより今は、急いで訓練したい。早速行こう」
四天王の面々に対する違和感はひとまず忘れて、俺はベロニカと共に会議室を出ることにした。
エルガノフもさすがに予想外だったのか、目を見張っている。
「そう思うだろう?理解しがたいけど、それだけ勇者が強いのは確かみたいだね」
ソウマは感情の見えない表情のままだが、エルガノフの反応に理解を示している。
ソウマが言うように、勇者の異常な強さそのものも確かに脅威だ。
しかし、俺が伝えたいのはそこではなかった。
「あいつがヤバいのは、単純な強さだけじゃない。俺は勇者と戦って、明らかに戦い慣れていると感じた。それはたぶん、魔界の魔物との戦闘経験を糧にしたからだ」
勇者はレベルアップでどんどん強くなる。
すでに規格外の強さだが、ここからますます成長していく。
ゲームのことを知らない彼らにも、そのことをなんとか理解してもらいたかった。
「強敵と戦うことでより力を増していると?」
エルガノフの問いは的確だ。
話が早くて助かる。
「ああ。今回の戦いすら力に変えているだろう。伝説の装備をこれ以上渡せば、手が付けられなくなるかもしれない。早いとこ全力で潰すべきだ」
言葉遣いを意識しながら、危機感を煽るようにエルガノフに訴える。
暗に四天王全員で倒しに行くべきだとの気持ちを込めた。
「そうか。オマエたちの意見は理解した。……これは急がねばならんな」
エルガノフは深刻そうに眉根を寄せてそう呟くと、こちらを向いて言葉を続けた。
「ワシも共闘のための準備を進めている。具体的には、味方を巻き込まない攻撃手段の会得だ。しかし、まだしばらくは時間がかかる」
そうか、そう言えばその問題が残っていた。
それでも、エルガノフがすでに共闘に向けて動いてくれているのはありがたい。
「ワシはまだ参戦できん。だが、事態は一刻を争う。動ける者たちで、急ぎ勇者討伐に向かうべきだろう」
俺は頷きながら、エルガノフの言葉に耳を傾ける。
「次は炎の神殿。そこで勇者を迎え撃って欲しい。今回はソウマを加えた3人でだ」
そう言って、エルガノフはソウマの方を見た。
「そういうことなら構わないよ。どうやらボクが敵に塩を送ってしまったようだし?その責任はちゃんと取らないとね」
ソウマもエルガノフの指示をすんなりと受け入れてくれたようだ。
エルガノフが参加できないにしても、ソウマがいれば形勢はこちらに傾くかもしれない。会議の内容は上々だ。
意外とみんな協力的で助かった。
これで一歩前進だな。
「じゃあ、会議はもう終わりかな?勇者と直接対決するなら、ボクもそれなりに準備しておきたい。できるならすぐにでも取りかかりたいくらいだよ」
ソウマはそう言って、席を立とうとする。
「うむ。ワシも修行に戻るとしよう。各自、次の戦いに備えてくれ」
エルガノフも解散の言葉と共に、立ち上がる。ひとまず会議はこれで終了だ。
速やかに会議室を出ようとする2人。
それを横目で見ながら、俺はこっそりベロニカに話しかける。
「ベロニカ、少しいいか」
「なに?もう会議は終わったじゃない。まだなにか用があるの?」
ベロニカは怪訝そうな表情で問うてきた。
「頼みがある。俺の訓練に付き合って欲しいんだ」
「訓練?」
「そうだ。今の俺には実力が足りてない。勇者と再戦する前に、少しでも力を磨いておきたいんだ」
これは俺の切実な思いだ。あの勇者と戦うには俺は弱すぎる。
なんとかして力を高めないと、次の戦いにはついて行けないだろう。
「……やっぱり、アナタ変よ?そういうのは自力でなんとかする性分じゃなかったかしら?」
しまった。油断しすぎた。
話す機会が多いせいか、ベロニカ相手だとなんだか気が緩んでしまう。
慌てて理由を探す。
「いや、その!今回は共闘が前提だろ?それなら、一緒に訓練した方がお互い強くなれる。勇者に負けちまったらお終いなんだ。手段は選んでられねぇってだけだよ」
ベロニカは品定めするような目線をこちらに向ける。
我ながら無理のある理由だと思うが、大丈夫だろうか。
「……そう。なら、付き合ってあげても構わないわ。今からでいいのよね?」
ベロニカは少し考え込むような間を置いたが、すぐに了承してくれた。
ほっ。納得してくれたみたいで良かった。
「ああ。助かる」
付け焼刃だろうが、なにもしないよりはマシだ。
席を立ち、会議室の入口の方を向く。
するとそこには、ソウマが立っていた。
別にそれだけならなんのことはない。
だが、奇妙なことにソウマの瞳はいつも以上にギラギラと光を放っている。
それも、なにやら熱っぽい興奮の色を宿しているように見えた。
「2人で訓練。今、そう言った?」
ソウマは一歩ずいっと前に出て、俺に尋ねてきた。
なんだか、ただならぬ雰囲気を感じる。
だが、こちらには別に嘘を吐く理由もない。
「ん?まあ、そうだが」
正直に答えた俺に、ソウマは懇願するような視線を向ける。
「ア、アタシも一緒に……」
ソウマは聞き取れないほど小さな声でなにか言いかけた。
と思ったら、両手をブンブン振り始めた。
「あ、いや。やっぱりなんでもない」
なにかを我慢しているのか、ソウマは苦悶の表情を浮かべている。
「く、訓練、頑張ってね。じゃあ、ボクは失礼するよ」
取り繕うようにそう言い残して、ソウマはそそくさと会議室を出て行った。
なんだか名残惜しそうな表情だったような気もするが、どうしたのだろうか。
ソウマにしてはやけに感情が漏れ出ているようだったが。
「なんだったのかしら?今の」
ベロニカも不思議そうにしている。
もしかして、俺たちと一緒に訓練したかったのだろうか。
まさか、ベロニカと同じようにソウマもなにか意外な本音を隠しているのか?
色んな想像が頭に浮かんだが、こればかりは考えても埒が明かない。
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