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0083.古い記憶
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「お買い上げいただき、まことに有難うございます。お支払いですが、お客様が私どもに提供してくださっていないものがまだあると思いますが、いかがでしょうか。」
「また、俺の能力か。しかも、前のとは違う能力か。半分死ぬ可能性がある黒は駄目だし、もう一つはマジのマジで絶対無理だしな。うーん、他にあったかな。」
健は、必死に記憶を辿った。実は、健が身に付けていないものもいくつかあるのだ。ただ、思い出したところで、その能力は使えない。古い記憶を漁っているうちに突然、思い出した。
「そうだ。1つだけあったわ。前のと違っていれば何でもいいのか。」
「ええ、既にいただいてるものと違っていれば何でも結構です。」
そう言ってウサギは、懐から小瓶を取り出した。レイニーの小瓶に似ている。実は、健が思い出した能力は、爺ちゃんに修行の一番最初に教わった初心者用の能力なのだ。初心者の修行を終えた後は一度も使っていなかったのですっかり忘れていたのだ。
「よし、いいぞ。その小瓶に入れればいいのか。」
「はい。お願いします。」
ウサギは小瓶の蓋を開けて入口を健の方に向けた。健は、ゆっくりと見えない黄色の音を小瓶に放った。遠い昔の修行を始めたばかりの駆け出しの頃に爺ちゃんに叱られながら何とか能力を成功させた気持ちが蘇ってくる。見えない黄色い音は小瓶の中でゆっくりと回っている。ウサギは、それを満足そうに見つめながら蓋を閉めた。
「毎度有難うございます。今後も、何卒ご贔屓によろしくお願い致します。お客様のこの後のご健闘をお祈りしております。それでは、失礼致します。」
紫色のウサギは深々とお辞儀をしてから、来た時と同様に氷の城の別の部屋に向かって歩いて行った。そして、部屋を出て見えなくなったウサギが一瞬にしてどこかに消え去るのを、再び健は超感覚で認識する。
「やはり、化け物だな。とりあえず、アイツが敵じゃなくてよかった。」
健が呟くと、待ちきれなくなった火の精が聞いてきた。
「何か買ってたね。この世界の主を倒せる武器なのかな。」
「俺もよく分からん。ティアラ、とりあえずこの髪飾りを付けておいてくれ。あのウサギは嘘は言ってないと思う。何か役に立つはずだ。」
「分かったわ。」
健はティアラに赤い髪飾りを渡すと、一緒にもらった氷のクリスタルは懐にしまった。とりあえず、赤い髪飾りを付けたティアラはかなり可愛くなった。勿論、元々可愛いというのもあるが。これだけでも買い物は大成功といえるだろう。健は心の中で満足していた。
「また、俺の能力か。しかも、前のとは違う能力か。半分死ぬ可能性がある黒は駄目だし、もう一つはマジのマジで絶対無理だしな。うーん、他にあったかな。」
健は、必死に記憶を辿った。実は、健が身に付けていないものもいくつかあるのだ。ただ、思い出したところで、その能力は使えない。古い記憶を漁っているうちに突然、思い出した。
「そうだ。1つだけあったわ。前のと違っていれば何でもいいのか。」
「ええ、既にいただいてるものと違っていれば何でも結構です。」
そう言ってウサギは、懐から小瓶を取り出した。レイニーの小瓶に似ている。実は、健が思い出した能力は、爺ちゃんに修行の一番最初に教わった初心者用の能力なのだ。初心者の修行を終えた後は一度も使っていなかったのですっかり忘れていたのだ。
「よし、いいぞ。その小瓶に入れればいいのか。」
「はい。お願いします。」
ウサギは小瓶の蓋を開けて入口を健の方に向けた。健は、ゆっくりと見えない黄色の音を小瓶に放った。遠い昔の修行を始めたばかりの駆け出しの頃に爺ちゃんに叱られながら何とか能力を成功させた気持ちが蘇ってくる。見えない黄色い音は小瓶の中でゆっくりと回っている。ウサギは、それを満足そうに見つめながら蓋を閉めた。
「毎度有難うございます。今後も、何卒ご贔屓によろしくお願い致します。お客様のこの後のご健闘をお祈りしております。それでは、失礼致します。」
紫色のウサギは深々とお辞儀をしてから、来た時と同様に氷の城の別の部屋に向かって歩いて行った。そして、部屋を出て見えなくなったウサギが一瞬にしてどこかに消え去るのを、再び健は超感覚で認識する。
「やはり、化け物だな。とりあえず、アイツが敵じゃなくてよかった。」
健が呟くと、待ちきれなくなった火の精が聞いてきた。
「何か買ってたね。この世界の主を倒せる武器なのかな。」
「俺もよく分からん。ティアラ、とりあえずこの髪飾りを付けておいてくれ。あのウサギは嘘は言ってないと思う。何か役に立つはずだ。」
「分かったわ。」
健はティアラに赤い髪飾りを渡すと、一緒にもらった氷のクリスタルは懐にしまった。とりあえず、赤い髪飾りを付けたティアラはかなり可愛くなった。勿論、元々可愛いというのもあるが。これだけでも買い物は大成功といえるだろう。健は心の中で満足していた。
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