立日の異世界冒険記

ナイトタイガー

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0137.怪しい通路

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「うーん、あいかわらず岩石ゴーレムは歩くのが遅いな。おまけに、チビ助まで腑抜けになってて同じくらい遅いし。」
 だが、ここは我慢してこの陣形で進むことにした。健は超感覚で通路の先に怪しい気配を2つか3つ感じとっていたからである。ただ不思議なことに怪しい気配が2つなのか3つなのかはハッキリしないのだ。
 行き先を選べるのであれば変更したいところだが、今は龍を診てもらうために呪術師のところに向かわないといけない。嫌でも、その怪しい気配の方に進まないといけないのだ。健は、一応、龍にも聞いてみる。
「チビ助は、この先にいるいくつかの怪しい気配を感じないか。」
「うーん、なひもかんひなひね。」
 予想通り、薬の副作用で腑抜けになっている龍は気配を察知する能力が発揮できなくなっている。それどころか、薬を飲んだ後に変になった話し方すら元に戻らない。
「そうか。しょうがないな。まあ、警戒して行こう。岩石ゴーレムは敵が襲って来たら俺らを守ることを優先してくれ。」
 ここで健はふと思った。岩石ゴーレムに名前をつけてやらないと呼びにくいし、可哀想だな。
「岩石ゴーレムに名前をつけてなかったから、今からいい名前を考えてつけてやるよ。チビ助もいいのがないか、考えてくれ。」
「ふははーい。」
 ダメだ。チビ助はあてにならない。俺が自分でいい名前を考えよう。前だったら適当に名前を付けていたと思うが、色々経験してきた今はもう少し別の視点から名前を考えることができるようになっている。戦闘中に呼びやすい名前にすることが必要だ。あと、今の龍みたいに言葉をうまく話せなくなっても、岩石ゴーレムに分かってもらえるくらいに簡単な名前がいい。
「よし。お前の名前を決めたぞ。ガンゴだ。愛称として簡単にガンと呼ぶこともあるからな。分かったら片手を上げろ。」
 健が岩石ゴーレムに声をかけると、岩石ゴーレムはゆっくりと片手を上げた。どうやら理解してくれたらしい。龍の知能が非常に高いのは分かっているが、逆にあまり知能の高くなさそうな岩石ゴーレムがどの程度の話を理解できるかは気になる点だ。今後のことを考えると、後で確認しておく必要があるかもしれない。
 健がそんなことを考えながら進んで行くうちに、怪しい気配がかなり近い距離になってきた。だが、近付いても気配に殺気は感じない。通路は不思議と少し明るいので健は松明を使わずに進んでいるが、さすがに少し先の様子は暗くて見えない。そろそろ怪しい気配に備える必要があるかもしれない。
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