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バイトもない休日、俺は電車で康哉のマンションに向かっていた。
康哉の住むマンションまでは電車で二駅ほど離れている。買ったばかりのスマホで康哉に暇な日を聞いてみたけど返事は来なかった。
もしかして何か病気になって倒れてるんじゃないかと心配になったから、勝手に訪問する事にした。異世界トリップしてストレスたまってたかもしれないし。ストレスは万病のもとだ。
電車で座っている人達はみんなスマホをいじっている。依存症だな。俺も康哉から連絡がこないかとしょっ中確認してる。康哉からも、もちろん如月からも連絡はこないけど。
康哉の住む駅に近づく頃には、電車内も人が増えてきた。
ドアの近くに立っていたら、何か気配を感じたので振り返る。
周りにいるのは高校生の集団と、サラリーマンのおじさんと(休日出勤かな)オタクみたいな若い男。いろんな格好の人がいるよな、異世界にはかなわないけど、とドアの方を向いた時、再び違和感を感じた。
何だこの生暖かい風。ぞわりと鳥肌が立つ。
誰かの吐く息が俺の首筋にかかってる。何て言うか、気持ち悪い。移動しようとしたら、誰かにお尻を撫でられた。
「ちょっ……」
振り向いたら、サラリーマンのおじさんと目が合った。おじさんの持っている鞄が、ちょうど俺のケツに当たってた。なんだ鞄か。自意識過剰になってた。すごい恥ずかしい。
そう思って身体をずらそうとしたら、おじさんがニヤリと笑って、鞄の角をお尻の割れ目にグリグリ押し付けてくる。
……わざとかよ。
駅に着いたので、逃げるように電車を降りた。おじさんは何事もなかったかのように、乗車したまま行ってしまった。
異世界にいた時は、セクハラなんてしょっちゅうあったけど、さすがに日本で痴漢に遭うとぞっとする。しかも困った事に、異世界にトリップする以前よりはるかに痴漢に遭う回数が増えた。それに身体が触られる事に対して過剰反応をおこす。
やっぱりアニキのせいだろうか。
道の駅でアニキに痴漢された後、トイレに連れ込まれて散々苛められた事を思い出してしまうんだ。今でもヤンキーとかタトゥーを入れてる男を見ると、アニキの異世界文字の入れ墨を思い出して鼓動が速くなる。アニキの事は嫌いにはなれないけど。
駅を出て、康哉のマンションまでは歩く事にした。
康哉は親がお金持ちだからか、けっこういいマンションに住んでる。すくなくとも俺のボロアパートとは家賃が全然違う。それなのに遊ぶ時は大体康哉が俺のアパートにばかりやって来るから、俺はあまり康哉の部屋に行った事がない。
マンションの敷地内で康哉の車を探したけど、見当たらなかった。もしかして出かけてるのかな。康哉に電話したけど出ない。俺は仕方なく近くのカフェで時間をつぶす事にした。一時間くらい待っても何も返事が来なかったら帰ろう。
康哉の住むマンションまでは電車で二駅ほど離れている。買ったばかりのスマホで康哉に暇な日を聞いてみたけど返事は来なかった。
もしかして何か病気になって倒れてるんじゃないかと心配になったから、勝手に訪問する事にした。異世界トリップしてストレスたまってたかもしれないし。ストレスは万病のもとだ。
電車で座っている人達はみんなスマホをいじっている。依存症だな。俺も康哉から連絡がこないかとしょっ中確認してる。康哉からも、もちろん如月からも連絡はこないけど。
康哉の住む駅に近づく頃には、電車内も人が増えてきた。
ドアの近くに立っていたら、何か気配を感じたので振り返る。
周りにいるのは高校生の集団と、サラリーマンのおじさんと(休日出勤かな)オタクみたいな若い男。いろんな格好の人がいるよな、異世界にはかなわないけど、とドアの方を向いた時、再び違和感を感じた。
何だこの生暖かい風。ぞわりと鳥肌が立つ。
誰かの吐く息が俺の首筋にかかってる。何て言うか、気持ち悪い。移動しようとしたら、誰かにお尻を撫でられた。
「ちょっ……」
振り向いたら、サラリーマンのおじさんと目が合った。おじさんの持っている鞄が、ちょうど俺のケツに当たってた。なんだ鞄か。自意識過剰になってた。すごい恥ずかしい。
そう思って身体をずらそうとしたら、おじさんがニヤリと笑って、鞄の角をお尻の割れ目にグリグリ押し付けてくる。
……わざとかよ。
駅に着いたので、逃げるように電車を降りた。おじさんは何事もなかったかのように、乗車したまま行ってしまった。
異世界にいた時は、セクハラなんてしょっちゅうあったけど、さすがに日本で痴漢に遭うとぞっとする。しかも困った事に、異世界にトリップする以前よりはるかに痴漢に遭う回数が増えた。それに身体が触られる事に対して過剰反応をおこす。
やっぱりアニキのせいだろうか。
道の駅でアニキに痴漢された後、トイレに連れ込まれて散々苛められた事を思い出してしまうんだ。今でもヤンキーとかタトゥーを入れてる男を見ると、アニキの異世界文字の入れ墨を思い出して鼓動が速くなる。アニキの事は嫌いにはなれないけど。
駅を出て、康哉のマンションまでは歩く事にした。
康哉は親がお金持ちだからか、けっこういいマンションに住んでる。すくなくとも俺のボロアパートとは家賃が全然違う。それなのに遊ぶ時は大体康哉が俺のアパートにばかりやって来るから、俺はあまり康哉の部屋に行った事がない。
マンションの敷地内で康哉の車を探したけど、見当たらなかった。もしかして出かけてるのかな。康哉に電話したけど出ない。俺は仕方なく近くのカフェで時間をつぶす事にした。一時間くらい待っても何も返事が来なかったら帰ろう。
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