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一年ぶりの異世界
10 徹夜はしません
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親に会う……?
親ってあの、ヤクザの親分と美魔女だよな。つまり国王と王妃様。
「シュウヘイ?」
しばらく固まっていたせいか、ルーシェンが心配そうに顔を覗き込んできた。
「シュウヘイは俺の命の恩人だから、どうしても紹介したいんだ」
なるほど、そういう事か。
俺だってルーシェンがいなかったら魔法村を脱出できなかったんだから、気にすることないのに。
『分かりました』
「そうか。良かった」
国王と王妃様だと思うからびっくりしたけど、友達の家に行って両親と会うんだと思えばいいよな。礼儀作法なんかは後でルーシェンか如月に教えてもらおう。
完食したラーメンの食器を下げて、代わりに飲み物を用意する。
部屋に用意されていた水以外の瓶をいくつかルーシェンに見せて、お酒じゃない飲み物を選んだ。ルーシェンは酒癖が悪いし、明日から仕事だから二日酔いはまずい。
『今日は本当に泊まっていくんですか?』
「嫌なのか?」
『明日から仕事なので今日は早めに寝たいです。いくら王子が相手でも、徹夜で飲み食いに付き合ったり、歌ったり踊ったりしません』
真顔で言うと、ルーシェンは笑い出した。
『何がおかしいんですか?』
「そんな事を正直に俺に言ってくるのはシュウヘイだけだ」
『異世界人なので』
身分に疎くてすみませんね、と続けようとしたら、腕を取られて引き寄せられた。
「大丈夫だ。シュウヘイの仕事の邪魔はしない。俺も朝から会議がある」
急に密着されるとドキドキして話の内容が全然頭に入らない。
『……今日も隣りの国から帰ってきたんですよね』
「ああ。疲れているから、歌ったり踊ったりする元気はない」
そんな事言いながら、首すじにキスしてくるのは止めて欲しい。
「シュウヘイの隣で眠りたいだけだ。それならいいだろう?」
隣で寝るだけ?嘘だろ、絶対。
「やっぱり嫌か?」
『……いいですよ』
もういいや。明日仕事に支障が出たら、王子のせいにしよう。相手が王子なら誰も文句言えないだろう。
喜んで抱きしめてくるルーシェンを見ながら、俺はふとファンクラブのおばさん達の話を思い出した。
ルーシェンが、隣国の姫君と婚約するっていう噂話。本当かどうか気になったけど、どうしても聞く事が出来なかった。
ルーシェンが庭にいる飛竜におやすみの挨拶?をしている間、風呂の準備をする事にした。浴室も俺のアパートとは比べものにならないくらい広い。浴槽はそれほどでもなかったけど、見たことのない動物をモチーフにした豪華なつくりだ。最初から水が入っていたので、いつものように魔法石で温度を調節する。
『ルーシェン、お風呂入れます。先に入ってください』
「シュウヘイも……」
『遠慮します』
庭から戻って来たルーシェンにそう告げて、浴室に押し込んだ。いきなり裸で触れ合いとか、ハードルが高すぎる。
居間に戻って日本から持って来た荷物を整理していると、ポケットに入れていた携帯電話が鳴った。
如月からだ。
『もしもし?』
「如月です。連絡が遅れて申し訳ありません。ちゃんと過ごしてますか?」
『大丈夫です。でもお金がないので焦りました』
「……そういえばお金渡してなかったですね。でも王宮の中では身分証があれば無料でいろいろなサービスが受けられますよ」
『はい。他の人に聞きました』
「さすがですね。岬さんはコミュニケーション能力が高いので安心していました。放り出しても岬さんなら生きていけると言いますか……」
笑いながら言われても褒められてる気がしない。
「では夕食は大丈夫ですね。せっかくの異世界初日に一人で過ごさせてしまってすみません」
如月って嫌味だけど律儀な奴だな。自分がこっちの世界に勧誘したから責任感じてるのかな。
『大丈夫です。一人ではないです』
「え?」
『ルーシェン……王子と一緒です』
言った後、如月が絶句したのでちょっと後悔した。もしかして黙っていた方がいい情報だったのかな。
『いやあの、ご飯を食べただけです』
「そうですか。それではお二人の邪魔をするといけませんので、そろそろ切りますね」
『いやだから、ご飯食べただけです!久々に会って、その……』
「シュウヘイ、誰と話している」
「うわぁ!」
風呂から上がったルーシェンが、裸で腰にタオルもどきを巻いて立っていた。
「岬さん?」
『何でもないです!』
何でこんなに焦ってるんだ俺は。まるで浮気現場をおさえられた男みたいだ。悪いことしてないけど。
「取り込み中のようなので、明日また連絡しますね。朝動けるようでしたら、今日案内した職場に行ってください。それでは王子によろしくお伝えくださいね」
朝動けるようでしたら……ってなんだよ。完全に想像されてるじゃないか。恥ずかしすぎる。
じたばたしながら恥ずかしさに悶えていると、ルーシェンに携帯電話を取り上げられた。
『何するんですか』
「ハルバートか」
『そうです』
「仲がいいな」
『そんな事ないです。仕事の連絡です。ルーシェン何怒ってるんですか?』
「怒ってなどいない」
あ、これ完全にムッとしているな。でもプライドが高くて認められないってやつだ。
『ルーシェンの方がずっと好きです。お風呂入ってきます』
とりあえずそれだけ伝えると、怒りが収まるまで風呂場に避難する事にした。
親ってあの、ヤクザの親分と美魔女だよな。つまり国王と王妃様。
「シュウヘイ?」
しばらく固まっていたせいか、ルーシェンが心配そうに顔を覗き込んできた。
「シュウヘイは俺の命の恩人だから、どうしても紹介したいんだ」
なるほど、そういう事か。
俺だってルーシェンがいなかったら魔法村を脱出できなかったんだから、気にすることないのに。
『分かりました』
「そうか。良かった」
国王と王妃様だと思うからびっくりしたけど、友達の家に行って両親と会うんだと思えばいいよな。礼儀作法なんかは後でルーシェンか如月に教えてもらおう。
完食したラーメンの食器を下げて、代わりに飲み物を用意する。
部屋に用意されていた水以外の瓶をいくつかルーシェンに見せて、お酒じゃない飲み物を選んだ。ルーシェンは酒癖が悪いし、明日から仕事だから二日酔いはまずい。
『今日は本当に泊まっていくんですか?』
「嫌なのか?」
『明日から仕事なので今日は早めに寝たいです。いくら王子が相手でも、徹夜で飲み食いに付き合ったり、歌ったり踊ったりしません』
真顔で言うと、ルーシェンは笑い出した。
『何がおかしいんですか?』
「そんな事を正直に俺に言ってくるのはシュウヘイだけだ」
『異世界人なので』
身分に疎くてすみませんね、と続けようとしたら、腕を取られて引き寄せられた。
「大丈夫だ。シュウヘイの仕事の邪魔はしない。俺も朝から会議がある」
急に密着されるとドキドキして話の内容が全然頭に入らない。
『……今日も隣りの国から帰ってきたんですよね』
「ああ。疲れているから、歌ったり踊ったりする元気はない」
そんな事言いながら、首すじにキスしてくるのは止めて欲しい。
「シュウヘイの隣で眠りたいだけだ。それならいいだろう?」
隣で寝るだけ?嘘だろ、絶対。
「やっぱり嫌か?」
『……いいですよ』
もういいや。明日仕事に支障が出たら、王子のせいにしよう。相手が王子なら誰も文句言えないだろう。
喜んで抱きしめてくるルーシェンを見ながら、俺はふとファンクラブのおばさん達の話を思い出した。
ルーシェンが、隣国の姫君と婚約するっていう噂話。本当かどうか気になったけど、どうしても聞く事が出来なかった。
ルーシェンが庭にいる飛竜におやすみの挨拶?をしている間、風呂の準備をする事にした。浴室も俺のアパートとは比べものにならないくらい広い。浴槽はそれほどでもなかったけど、見たことのない動物をモチーフにした豪華なつくりだ。最初から水が入っていたので、いつものように魔法石で温度を調節する。
『ルーシェン、お風呂入れます。先に入ってください』
「シュウヘイも……」
『遠慮します』
庭から戻って来たルーシェンにそう告げて、浴室に押し込んだ。いきなり裸で触れ合いとか、ハードルが高すぎる。
居間に戻って日本から持って来た荷物を整理していると、ポケットに入れていた携帯電話が鳴った。
如月からだ。
『もしもし?』
「如月です。連絡が遅れて申し訳ありません。ちゃんと過ごしてますか?」
『大丈夫です。でもお金がないので焦りました』
「……そういえばお金渡してなかったですね。でも王宮の中では身分証があれば無料でいろいろなサービスが受けられますよ」
『はい。他の人に聞きました』
「さすがですね。岬さんはコミュニケーション能力が高いので安心していました。放り出しても岬さんなら生きていけると言いますか……」
笑いながら言われても褒められてる気がしない。
「では夕食は大丈夫ですね。せっかくの異世界初日に一人で過ごさせてしまってすみません」
如月って嫌味だけど律儀な奴だな。自分がこっちの世界に勧誘したから責任感じてるのかな。
『大丈夫です。一人ではないです』
「え?」
『ルーシェン……王子と一緒です』
言った後、如月が絶句したのでちょっと後悔した。もしかして黙っていた方がいい情報だったのかな。
『いやあの、ご飯を食べただけです』
「そうですか。それではお二人の邪魔をするといけませんので、そろそろ切りますね」
『いやだから、ご飯食べただけです!久々に会って、その……』
「シュウヘイ、誰と話している」
「うわぁ!」
風呂から上がったルーシェンが、裸で腰にタオルもどきを巻いて立っていた。
「岬さん?」
『何でもないです!』
何でこんなに焦ってるんだ俺は。まるで浮気現場をおさえられた男みたいだ。悪いことしてないけど。
「取り込み中のようなので、明日また連絡しますね。朝動けるようでしたら、今日案内した職場に行ってください。それでは王子によろしくお伝えくださいね」
朝動けるようでしたら……ってなんだよ。完全に想像されてるじゃないか。恥ずかしすぎる。
じたばたしながら恥ずかしさに悶えていると、ルーシェンに携帯電話を取り上げられた。
『何するんですか』
「ハルバートか」
『そうです』
「仲がいいな」
『そんな事ないです。仕事の連絡です。ルーシェン何怒ってるんですか?』
「怒ってなどいない」
あ、これ完全にムッとしているな。でもプライドが高くて認められないってやつだ。
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