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王妃様に弟子入り(婚約旅行編)
11 鏡、見たくない
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なんだろう……いつもと様子が違う。
「ミサキ様?どうなさいました?」
離れの侍女ゾンビにただならぬ雰囲気を感じる。佇んでいる姿はいつもと同じだ。一体何が違うんだろう。
「そうですわ、お花も持っていきましょう」
『待ってください!』
ポリムが離れの方に駆け出したのを見て焦る。確かに離れの周辺には俺がたくさん花を植えていた。
「ミサキ様の好きなお花を飛行船の寝室に飾りましょう。あとはお風呂にも……」
『ポリム!』
ポリムには見えていない。
離れに鎖がかけてある理由も知らないはずだ。鎖のすぐ近くに立っている侍女ゾンビが、ポリムに手を伸ばしている事も、きっと何も見えていない。
「あら?何でしょう。木の枝に髪がひっかかって……」
『ポリム!こっちへ……!』
「きゃあ!ミサキ様!?」
引っ張るようにして、一緒に花畑に倒れこむ。
「……すみませんミサキ様、お怪我は?」
『大丈夫で……』
最後まで言い終わらないうちに息を飲んだ。
ポリムのふわふわの髪の毛の後ろから、侍女ゾンビの土気色の顔が現れた。
取り憑かれた!?
いや、背後にくっついているだけだ。でもこの絵、怖すぎる!
俺の責任だ。何も悪さをしてこないから、花を植えただけで自分の都合のいいように解釈していた。この侍女ゾンビの傷は、少しも癒えていなかった。
「ミサキ様、なんだか私急に頭が重くなって。身体も……」
『治療、そうだ回復魔法を唱えましょう!』
「転んだくらいで大袈裟ではありませんか?」
『いいえ、治しておいた方がいいです!』
「ミサキ様はお優しいですわね」
見えていないのが幸い?なのか、背後に土気色の顔の死人を背負っているのにポリムはにこやかだ。早めになんとかしないとまずい。
「どうなさいました!?」
俺とポリムが倒れているのを見て、譲二さんがこっちに走ってくる。同時にポリムが軽い回復魔法を唱えた。
***
「大丈夫ですか?ミサキ様」
「私にぶつかってしまったのです。申し訳ありません」
『いえ、私が引っ張ったので』
「お顔の色が悪いです。夕食までお部屋で休憩しましょう。明日には出発しなければなりませんもの」
侍女ゾンビは、魔法村の時のようなゾンビではなかった。あの時はすごくゆっくりした動きだったのに、幽体の今は動きが速い。というより変幻自在といった方がいいのだろうか。動きの予測がつかない。
ポリムが魔法を唱えようとした瞬間、侍女ゾンビは譲二さんに狙いを定めたように見えた。
とっさにポリムの背中にいる侍女ゾンビが逃げないよう手を伸ばした所までは姿が見えていた。その後魔法が光って、侍女ゾンビの身体は光の中に消えた。
いや、本当に消えたのか?
背中が妙に重い気がするのは何故だろう。頭も痛い、身体も重い。鏡、見たくない。
『ポリム、譲二さん、私はどこか変じゃないですか?』
二人に聞いてもきょとんとしてこっちを見ている。そうだよ、二人とも見えないんだよな。
俺の知っている限り、何かが見えるのは王妃様だけだ。
『ちょっと私にも回復魔法かけてください』
いい案だと思ったのに却下された。
「駄目です。ミサキ様、魔法攻撃の後遺症があるのですから、簡単な怪我ならお薬で対応しましょう」
うげっ。
考えたくないけど、絶対俺の背後に何かいると思うんですけど……!
怖いけど鏡を見ようと思って、庭園から風呂場に移動する。
恐る恐る脱衣所に設置された鏡を覗き込むけど、俺の背後には何も見えなかった。ホッとして視線を下ろすと、俺の右手のあたりに何かが見える。
女の人の手が、俺の腕を掴んでいた。
「うわ……!」
上がりそうな悲鳴をなんとか抑えた。
手首から先は見えない。振り返っても、腕を上げてみても、手しか見えなかった。でも、絶対取り憑かれてる。
ぞくぞくした寒気に襲われ、その場に倒れそうになった。
(王子様……)
耳元で暗く寂しげな女性の声が響いた。
なんだよ、この声。ポリムでも、もちろん俺でもない。
倒れるのは良くない。しっかりしていないと、身体を乗っ取られるんじゃないかという恐怖に襲われた。
「ミサキ様?どうなさいました?」
離れの侍女ゾンビにただならぬ雰囲気を感じる。佇んでいる姿はいつもと同じだ。一体何が違うんだろう。
「そうですわ、お花も持っていきましょう」
『待ってください!』
ポリムが離れの方に駆け出したのを見て焦る。確かに離れの周辺には俺がたくさん花を植えていた。
「ミサキ様の好きなお花を飛行船の寝室に飾りましょう。あとはお風呂にも……」
『ポリム!』
ポリムには見えていない。
離れに鎖がかけてある理由も知らないはずだ。鎖のすぐ近くに立っている侍女ゾンビが、ポリムに手を伸ばしている事も、きっと何も見えていない。
「あら?何でしょう。木の枝に髪がひっかかって……」
『ポリム!こっちへ……!』
「きゃあ!ミサキ様!?」
引っ張るようにして、一緒に花畑に倒れこむ。
「……すみませんミサキ様、お怪我は?」
『大丈夫で……』
最後まで言い終わらないうちに息を飲んだ。
ポリムのふわふわの髪の毛の後ろから、侍女ゾンビの土気色の顔が現れた。
取り憑かれた!?
いや、背後にくっついているだけだ。でもこの絵、怖すぎる!
俺の責任だ。何も悪さをしてこないから、花を植えただけで自分の都合のいいように解釈していた。この侍女ゾンビの傷は、少しも癒えていなかった。
「ミサキ様、なんだか私急に頭が重くなって。身体も……」
『治療、そうだ回復魔法を唱えましょう!』
「転んだくらいで大袈裟ではありませんか?」
『いいえ、治しておいた方がいいです!』
「ミサキ様はお優しいですわね」
見えていないのが幸い?なのか、背後に土気色の顔の死人を背負っているのにポリムはにこやかだ。早めになんとかしないとまずい。
「どうなさいました!?」
俺とポリムが倒れているのを見て、譲二さんがこっちに走ってくる。同時にポリムが軽い回復魔法を唱えた。
***
「大丈夫ですか?ミサキ様」
「私にぶつかってしまったのです。申し訳ありません」
『いえ、私が引っ張ったので』
「お顔の色が悪いです。夕食までお部屋で休憩しましょう。明日には出発しなければなりませんもの」
侍女ゾンビは、魔法村の時のようなゾンビではなかった。あの時はすごくゆっくりした動きだったのに、幽体の今は動きが速い。というより変幻自在といった方がいいのだろうか。動きの予測がつかない。
ポリムが魔法を唱えようとした瞬間、侍女ゾンビは譲二さんに狙いを定めたように見えた。
とっさにポリムの背中にいる侍女ゾンビが逃げないよう手を伸ばした所までは姿が見えていた。その後魔法が光って、侍女ゾンビの身体は光の中に消えた。
いや、本当に消えたのか?
背中が妙に重い気がするのは何故だろう。頭も痛い、身体も重い。鏡、見たくない。
『ポリム、譲二さん、私はどこか変じゃないですか?』
二人に聞いてもきょとんとしてこっちを見ている。そうだよ、二人とも見えないんだよな。
俺の知っている限り、何かが見えるのは王妃様だけだ。
『ちょっと私にも回復魔法かけてください』
いい案だと思ったのに却下された。
「駄目です。ミサキ様、魔法攻撃の後遺症があるのですから、簡単な怪我ならお薬で対応しましょう」
うげっ。
考えたくないけど、絶対俺の背後に何かいると思うんですけど……!
怖いけど鏡を見ようと思って、庭園から風呂場に移動する。
恐る恐る脱衣所に設置された鏡を覗き込むけど、俺の背後には何も見えなかった。ホッとして視線を下ろすと、俺の右手のあたりに何かが見える。
女の人の手が、俺の腕を掴んでいた。
「うわ……!」
上がりそうな悲鳴をなんとか抑えた。
手首から先は見えない。振り返っても、腕を上げてみても、手しか見えなかった。でも、絶対取り憑かれてる。
ぞくぞくした寒気に襲われ、その場に倒れそうになった。
(王子様……)
耳元で暗く寂しげな女性の声が響いた。
なんだよ、この声。ポリムでも、もちろん俺でもない。
倒れるのは良くない。しっかりしていないと、身体を乗っ取られるんじゃないかという恐怖に襲われた。
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