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雲の谷へ
3 占いで決めるのか?
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「ミサキ様、また従者を困らせてるんですか?」
料理のトレーを持ち、笑いながらやって来たのは如月だった。
「私で良ければ夕食をご一緒させてください。ミサキ様の料理はあちらに用意してあるので、あちらで食べないと料理人が悲しみますよ」
『一緒に食べます!』
さすが如月だ。昔から知ってるだけあって俺に対してほどほどにフランクだからこういう時ありがたい。
「ハルバート様っ、ありがとうございます」
ポリムがにこにこしながら俺を一段高い位置にあるテーブルに送り出す。ルーシェンと一緒に食べてた席だ。ここに堂々と座れるのは如月くらいしかいないかも。二人になると如月は会話を日本語に切り替えた。
「ミサキさん、雑魚寝なんかしたら部下達の首がとびますよ。寂しくても自重してください」
「修学旅行みたいなノリで……ダメかな。やっぱり」
「王子にバレたらよくて減給か左遷、悪ければ島送りです」
「うわ……それはダメだな」
以前、ファンクラブ男の変態親父が島送りになったから調べたけど、この国の島送りは死刑と同じ意味だったんだよな。そんなにか。
「身分制度って厳しいな」
「ミサキさんに何かあったら私はもちろん、ロベルト隊長も責任問われますから、気をつけてくださいね」
うっ……これはけっこうな脅しだな。諦めよう。
テーブルに並べられた料理を口に運んでいると料理長が挨拶に来たので、料理はとても美味しいですと話すとホッとした顔で離れて行った。ジョシュが言ってた新しい彼氏ってあの人だろうか。職場にいるって言ってたような気がするけど。
ジョシュはお茶会なら参加してくれるから今度聞いてみよう。
「ところで如月、前から気になってたんだけど」
「なんですか?」
「ええと……子供の事なんだけど」
「子供?」
なんだか如月にこういう事話すの気が引けるな。でも他に聞ける雰囲気の人がいないし、如月なら日本の事情も知ってるから聞きやすい。
「あー……ええと、世継ぎっていうか、跡継ぎ? 俺、男だからルーシェンの子ども産めないから……この世界はそういうの、どうするんだろうって前から思ってて」
「なるほど」
如月は優雅にお茶を飲んで、しばらく考えた。
「実は男でも、薬や魔法を使用すれば子供が産める身体になれるみたいですよ」
「ええっ⁉︎」
「簡単にいうと性転換みたいなものですね。手術ではなく魔法ですけど、完全に性別を変えるものと、身体の機能を一部だけ変えるものがあります」
せ、性転換……⁉︎
衝撃の事実に固まっていると、如月はくすりと笑った。
「と言っても、王子はミサキさんにそんな魔法を使おうとは思っていないと思いますよ」
「え?」
「お忘れですか? ミサキさんは魔法厳禁体質ですよね。たとえ心臓の魔法が治っても、魔力酔いしやすく、熱も出しやすいミサキさんの身体の負担になることを王子がするはずありません」
そうなのか?
「じゃあ、跡継ぎは?」
「養子をとるか、親族に王位を譲るか、どちらかになると思います」
ルーシェン、俺の体質のせいで、血の繋がった子供を諦めるのか……。
なんとも言えない気持ちでいると、俺の表情を察した如月が慰めてくれた。
「そんな顔しないでください。この国の人々は、実はそれほど血筋にはこだわらないんです。家柄にこだわる人も少ないですし、歴代の王族で同性婚をした国王や女王は何人もいますから、全く血のつながらない人が次の王位を継ぐというのもよくある話なんですよ」
「でも……」
「それに王位継承者は占術師が決めるという噂もありますし」
「え?」
占術師? ってなんだ? 占い師かな。
占いで決めるのか?
「大事な話なので次に会えた時、王子に聞いてみてくださいね」
如月はそう締めくくったけど、なんだか俺の頭にはなんとも言えない複雑な感情が残された。
料理のトレーを持ち、笑いながらやって来たのは如月だった。
「私で良ければ夕食をご一緒させてください。ミサキ様の料理はあちらに用意してあるので、あちらで食べないと料理人が悲しみますよ」
『一緒に食べます!』
さすが如月だ。昔から知ってるだけあって俺に対してほどほどにフランクだからこういう時ありがたい。
「ハルバート様っ、ありがとうございます」
ポリムがにこにこしながら俺を一段高い位置にあるテーブルに送り出す。ルーシェンと一緒に食べてた席だ。ここに堂々と座れるのは如月くらいしかいないかも。二人になると如月は会話を日本語に切り替えた。
「ミサキさん、雑魚寝なんかしたら部下達の首がとびますよ。寂しくても自重してください」
「修学旅行みたいなノリで……ダメかな。やっぱり」
「王子にバレたらよくて減給か左遷、悪ければ島送りです」
「うわ……それはダメだな」
以前、ファンクラブ男の変態親父が島送りになったから調べたけど、この国の島送りは死刑と同じ意味だったんだよな。そんなにか。
「身分制度って厳しいな」
「ミサキさんに何かあったら私はもちろん、ロベルト隊長も責任問われますから、気をつけてくださいね」
うっ……これはけっこうな脅しだな。諦めよう。
テーブルに並べられた料理を口に運んでいると料理長が挨拶に来たので、料理はとても美味しいですと話すとホッとした顔で離れて行った。ジョシュが言ってた新しい彼氏ってあの人だろうか。職場にいるって言ってたような気がするけど。
ジョシュはお茶会なら参加してくれるから今度聞いてみよう。
「ところで如月、前から気になってたんだけど」
「なんですか?」
「ええと……子供の事なんだけど」
「子供?」
なんだか如月にこういう事話すの気が引けるな。でも他に聞ける雰囲気の人がいないし、如月なら日本の事情も知ってるから聞きやすい。
「あー……ええと、世継ぎっていうか、跡継ぎ? 俺、男だからルーシェンの子ども産めないから……この世界はそういうの、どうするんだろうって前から思ってて」
「なるほど」
如月は優雅にお茶を飲んで、しばらく考えた。
「実は男でも、薬や魔法を使用すれば子供が産める身体になれるみたいですよ」
「ええっ⁉︎」
「簡単にいうと性転換みたいなものですね。手術ではなく魔法ですけど、完全に性別を変えるものと、身体の機能を一部だけ変えるものがあります」
せ、性転換……⁉︎
衝撃の事実に固まっていると、如月はくすりと笑った。
「と言っても、王子はミサキさんにそんな魔法を使おうとは思っていないと思いますよ」
「え?」
「お忘れですか? ミサキさんは魔法厳禁体質ですよね。たとえ心臓の魔法が治っても、魔力酔いしやすく、熱も出しやすいミサキさんの身体の負担になることを王子がするはずありません」
そうなのか?
「じゃあ、跡継ぎは?」
「養子をとるか、親族に王位を譲るか、どちらかになると思います」
ルーシェン、俺の体質のせいで、血の繋がった子供を諦めるのか……。
なんとも言えない気持ちでいると、俺の表情を察した如月が慰めてくれた。
「そんな顔しないでください。この国の人々は、実はそれほど血筋にはこだわらないんです。家柄にこだわる人も少ないですし、歴代の王族で同性婚をした国王や女王は何人もいますから、全く血のつながらない人が次の王位を継ぐというのもよくある話なんですよ」
「でも……」
「それに王位継承者は占術師が決めるという噂もありますし」
「え?」
占術師? ってなんだ? 占い師かな。
占いで決めるのか?
「大事な話なので次に会えた時、王子に聞いてみてくださいね」
如月はそう締めくくったけど、なんだか俺の頭にはなんとも言えない複雑な感情が残された。
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