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帰還
8 落ち着け俺
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ルーシェンのことは心配だったけど、さっきみんなで決めた治療専門のチームを派遣したので、そのチームに任せる事にした。面会謝絶の病院に恋人が入院している気分だ。雲の谷からずっと会いたくて我慢してたのに全然会う時間がもらえない。
砦に到着したのは夕方だったので、砦にいる兵士たちは見張り以外は食事の時間になるらしく、各自が食堂に集まり食事をとっているとのことだった。兵士は昼と夜の二交代制で、これから仕事になる夜間の勤務兵士と、仕事の終わった兵士たちが一斉に食事を取っている。
俺はアークさんとロベルトさん、それから如月と雲の谷の使者にくっついて食堂に赴き、国王軍の兵士たちに挨拶した。
拍手と礼で出迎えられたけど、兵士たち全員のオーラがよどみすぎていてかなり気後れしてしまった。砦に入った時のあの違和感を再び思い出す。この砦は何か変だ。変な魔力のエネルギーがどこかから発生して、砦中に充満してる。みんなが元気がない原因はそれだ。
「ミサキ様、申し訳ありません。あまり歓迎できなくて。王子が倒れられてから、兵士たちの士気が下がっているのです」
『そうですね』
ルーシェンの金色の王族のオーラは包まれるだけで気持ちが高揚するもんな。
国王軍の隊長と何人か挨拶をかわす。国王軍はルーシェンの飛行部隊と違い、年齢層が高めだ。王様の軍隊だからかな。全体的にゴツくてむさ苦しいおじさんや、傷のある変わり者みたいな兵士が多い。魔法使いは中高年が主流で女性は少なめ。魔法使いより戦士が多いので、このメンバーの中にいればエルヴィンは中性的な外見の美形の部類に入るだろうと思えた。俺は全然好きじゃないけど。
兵士に挨拶した後、さらに砦の下層に移動すると、あちこちの村から避難してきた村人たちが集まって生活していた。ここには女性や子供、老人たちが多い。
集まってきた村人にルーシェンの容体を聞かれたので、回復中だと伝えると、こいつは誰だという顔をされたので婚約者だと自己紹介する。すると長老のお爺さんや村人たちが意外そうな顔をした。
「王子様の恋人ってエルヴィン様じゃないの?」
子供が無邪気な顔でショックな一言を放ったので場の空気が凍りついた。
「王太子妃様は一人だけ他の町に避難したって聞いたよ。途中で操作を間違えて浮島も壊しちゃったんでしょ?」
母親らしき女性が慌てて子供の口を塞ぎ黙らせようとする。
『誰から聞いたんですか?』
「みんなそう言ってるよ。だから王子様はそのうち王太子妃様と別れてエルヴィン様と結婚するんじゃないかって。エルヴィン様のほうが美人だから僕も結婚するならエルヴィン様がいいな」
落ち着け修平、相手は子供だ。頭をぐりぐりしてやりたい衝動を抑えろ。
我慢していたらロベルトさんが俺の前に立ち子供を見下ろした。
「ミサキ様はお前たちのために支援物資を運んで戻られたのだ。それ以上王太子妃様に無礼を働けば、いくら子供でも許さんぞ」
強面のロベルトさんに睨まれて子供が泣き出した。慌ててアークさんがフォローに入る。土下座して謝る村人をなだめて、そそくさとその場を後にした。まさか村人にまでそんな噂が流れているなんて思わなかった。
それからアークさんとロベルトさんは国王軍の兵士と打ち合わせに、雲の谷から来てくれた人たちはルーシェンの回復チームなのでルーシェンの部屋に向かう。如月はこれから転移魔法陣の作成に取りかかるらしい。俺は何もすることがないから、この砦に充満する変な魔力のもとでも探して歩こうかな。落ち込んでるし、ルーシェンに会えないなら一人になりたい。
「ミサキさん、ふらふらとどこへいくつもりですか?」
如月が日本語で話しかけてきた。
「……何もできないから、砦の中を散歩しようと思って」
「忘れたんですか? 護衛と行動しろって言われてたのを」
「忘れてた……みんな忙しそうだし。誰も俺なんて眼中にないから、危険なんて無いんじゃないかな」
如月はやれやれという仕草で、俺たちが乗って来た小型の飛行船を指差した。
「では私が飛行船で転移魔法陣の設計図を作成するのを手伝ってください。ついでにお茶でも飲みましょう。愚痴なら聞きますよ」
うう、如月の優しさが身にしみる。
砦に到着したのは夕方だったので、砦にいる兵士たちは見張り以外は食事の時間になるらしく、各自が食堂に集まり食事をとっているとのことだった。兵士は昼と夜の二交代制で、これから仕事になる夜間の勤務兵士と、仕事の終わった兵士たちが一斉に食事を取っている。
俺はアークさんとロベルトさん、それから如月と雲の谷の使者にくっついて食堂に赴き、国王軍の兵士たちに挨拶した。
拍手と礼で出迎えられたけど、兵士たち全員のオーラがよどみすぎていてかなり気後れしてしまった。砦に入った時のあの違和感を再び思い出す。この砦は何か変だ。変な魔力のエネルギーがどこかから発生して、砦中に充満してる。みんなが元気がない原因はそれだ。
「ミサキ様、申し訳ありません。あまり歓迎できなくて。王子が倒れられてから、兵士たちの士気が下がっているのです」
『そうですね』
ルーシェンの金色の王族のオーラは包まれるだけで気持ちが高揚するもんな。
国王軍の隊長と何人か挨拶をかわす。国王軍はルーシェンの飛行部隊と違い、年齢層が高めだ。王様の軍隊だからかな。全体的にゴツくてむさ苦しいおじさんや、傷のある変わり者みたいな兵士が多い。魔法使いは中高年が主流で女性は少なめ。魔法使いより戦士が多いので、このメンバーの中にいればエルヴィンは中性的な外見の美形の部類に入るだろうと思えた。俺は全然好きじゃないけど。
兵士に挨拶した後、さらに砦の下層に移動すると、あちこちの村から避難してきた村人たちが集まって生活していた。ここには女性や子供、老人たちが多い。
集まってきた村人にルーシェンの容体を聞かれたので、回復中だと伝えると、こいつは誰だという顔をされたので婚約者だと自己紹介する。すると長老のお爺さんや村人たちが意外そうな顔をした。
「王子様の恋人ってエルヴィン様じゃないの?」
子供が無邪気な顔でショックな一言を放ったので場の空気が凍りついた。
「王太子妃様は一人だけ他の町に避難したって聞いたよ。途中で操作を間違えて浮島も壊しちゃったんでしょ?」
母親らしき女性が慌てて子供の口を塞ぎ黙らせようとする。
『誰から聞いたんですか?』
「みんなそう言ってるよ。だから王子様はそのうち王太子妃様と別れてエルヴィン様と結婚するんじゃないかって。エルヴィン様のほうが美人だから僕も結婚するならエルヴィン様がいいな」
落ち着け修平、相手は子供だ。頭をぐりぐりしてやりたい衝動を抑えろ。
我慢していたらロベルトさんが俺の前に立ち子供を見下ろした。
「ミサキ様はお前たちのために支援物資を運んで戻られたのだ。それ以上王太子妃様に無礼を働けば、いくら子供でも許さんぞ」
強面のロベルトさんに睨まれて子供が泣き出した。慌ててアークさんがフォローに入る。土下座して謝る村人をなだめて、そそくさとその場を後にした。まさか村人にまでそんな噂が流れているなんて思わなかった。
それからアークさんとロベルトさんは国王軍の兵士と打ち合わせに、雲の谷から来てくれた人たちはルーシェンの回復チームなのでルーシェンの部屋に向かう。如月はこれから転移魔法陣の作成に取りかかるらしい。俺は何もすることがないから、この砦に充満する変な魔力のもとでも探して歩こうかな。落ち込んでるし、ルーシェンに会えないなら一人になりたい。
「ミサキさん、ふらふらとどこへいくつもりですか?」
如月が日本語で話しかけてきた。
「……何もできないから、砦の中を散歩しようと思って」
「忘れたんですか? 護衛と行動しろって言われてたのを」
「忘れてた……みんな忙しそうだし。誰も俺なんて眼中にないから、危険なんて無いんじゃないかな」
如月はやれやれという仕草で、俺たちが乗って来た小型の飛行船を指差した。
「では私が飛行船で転移魔法陣の設計図を作成するのを手伝ってください。ついでにお茶でも飲みましょう。愚痴なら聞きますよ」
うう、如月の優しさが身にしみる。
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