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帰還
14 じゃあどうしたらいいんだよ
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扉が開く小さな音でびくりと目を覚ました。
『……誰だ』
蝋燭の灯りを持ち、部屋に入ってきたのはフィオネさんだった。
『フィオネさん……』
フィオネさんはベッド脇に立つと、俺の額に手を当て、持っていた布で汗を拭った。
「ミサキ様、薬を飲まれなかったのですか?」
『……知らない人だし、毒だと怖いから……』
「ではもう一度お薬をご用意いたします」
『ルーシェンは?』
「荒れています。今は誰も近づけません。アーク隊長の言葉も、私の意見も冷静に聞いていただけないのです」
『……俺のせいですね。ロベルトさんも巻き込んでしまいました。ルーシェンは、魔法は大丈夫ですか……? フィオネさんも』
「王子は魔法で症状をおさえられていますが、完治してはおりません。私のことはご心配なく。今はミサキ様がもっとも重症です」
抱き起こされて苦い薬を飲む。その次は甘くてとろっとした飲み物を喉に流し込まれた。それから冷たい布を額に乗せてくれる。ひんやりして気持ちいいし、フィオネさんに会えて嬉しかった。
「ミサキ様は氷の魔法であやうく命を落とすところでした。治癒魔法を施しましたが、その影響で魔力酔いをおこし高熱が出ております。軽率な行動はお控えくださいませ」
『すみません……でも、ロベルトさんが危ないと思って』
「ロベルト隊長はあなたほどやわではありません。王子はあなたを殺しかけたことに強いショックを受け、ご自分を責めていらっしゃいます」
『じゃあルーシェンは……私を処刑するつもりはないんですか?』
ルーシェンが俺を信じてくれるなら、誰も俺を信じてくれなくても耐えられる。
だけどフィオネさんはあまり表情を変えなかった。
「恋人を処刑するようなお方ではありません。ですが王子はこれまで何度も信頼する者に裏切られています」
『……ルーシェンに、私は無実だと伝えてください。眠らされてロベルトさんのベッドに運ばれただけなんです。あの日の夜、砦に変な魔法がかかっていました。それのせいです』
「そうですね。しかしロベルト隊長のベッドにミサキ様が裸でいたという事実に変わりはありません。王子はそれがどうしても許せないのです。それにミサキ様が慈悲深い性格だと分かってはいても、ロベルト隊長を庇って魔法を受けたことにも腹をたてていらっしゃいます。ミサキ様を前に冷静でいられる自信がないのです」
じゃあどうしたらいいんだよ。
なんだか俺も腹が立ってきて、もう何もかも嫌になってベッドに潜り込んだ。身体は痛いし、それ以上に心が痛いし、もう最悪だ。
『もういい。許せないなら婚約破棄すればいいだろ。そしてあの卑劣な男と結婚でもなんでもすればいいんだ』
「ミサキ様、もう少し時間が経てば王子も冷静になると思います。その時まで少しばかりご辛抱くださいませ。落ち着いてからあの夜の魔法のことなどを報告するつもりでおります。くれぐれも、熱が下がっても部屋からお出になりませんよう。兵士たちの中には過激な行動をとる者もいますので」
フィオネさんはそれだけ告げて部屋から出て行った。
薬のおかげで痛みはマシになったけど、熱はいっこうに下がらなかった。関節がぎしぎしいってる気がする。
恋人が、裸で部下のベッドにいたらやっぱりショックだよな。もう俺のこと嫌いになったかな。
さっきは婚約破棄でもなんでもすればいいって言ったけど、本当にそうなったらすごくショックだ。そしてエルヴィンと結婚でもされたら、悲しくてこの世界にはいられない。指輪を返して日本に戻るしか、俺には残されていないのかも。
『……誰だ』
蝋燭の灯りを持ち、部屋に入ってきたのはフィオネさんだった。
『フィオネさん……』
フィオネさんはベッド脇に立つと、俺の額に手を当て、持っていた布で汗を拭った。
「ミサキ様、薬を飲まれなかったのですか?」
『……知らない人だし、毒だと怖いから……』
「ではもう一度お薬をご用意いたします」
『ルーシェンは?』
「荒れています。今は誰も近づけません。アーク隊長の言葉も、私の意見も冷静に聞いていただけないのです」
『……俺のせいですね。ロベルトさんも巻き込んでしまいました。ルーシェンは、魔法は大丈夫ですか……? フィオネさんも』
「王子は魔法で症状をおさえられていますが、完治してはおりません。私のことはご心配なく。今はミサキ様がもっとも重症です」
抱き起こされて苦い薬を飲む。その次は甘くてとろっとした飲み物を喉に流し込まれた。それから冷たい布を額に乗せてくれる。ひんやりして気持ちいいし、フィオネさんに会えて嬉しかった。
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『すみません……でも、ロベルトさんが危ないと思って』
「ロベルト隊長はあなたほどやわではありません。王子はあなたを殺しかけたことに強いショックを受け、ご自分を責めていらっしゃいます」
『じゃあルーシェンは……私を処刑するつもりはないんですか?』
ルーシェンが俺を信じてくれるなら、誰も俺を信じてくれなくても耐えられる。
だけどフィオネさんはあまり表情を変えなかった。
「恋人を処刑するようなお方ではありません。ですが王子はこれまで何度も信頼する者に裏切られています」
『……ルーシェンに、私は無実だと伝えてください。眠らされてロベルトさんのベッドに運ばれただけなんです。あの日の夜、砦に変な魔法がかかっていました。それのせいです』
「そうですね。しかしロベルト隊長のベッドにミサキ様が裸でいたという事実に変わりはありません。王子はそれがどうしても許せないのです。それにミサキ様が慈悲深い性格だと分かってはいても、ロベルト隊長を庇って魔法を受けたことにも腹をたてていらっしゃいます。ミサキ様を前に冷静でいられる自信がないのです」
じゃあどうしたらいいんだよ。
なんだか俺も腹が立ってきて、もう何もかも嫌になってベッドに潜り込んだ。身体は痛いし、それ以上に心が痛いし、もう最悪だ。
『もういい。許せないなら婚約破棄すればいいだろ。そしてあの卑劣な男と結婚でもなんでもすればいいんだ』
「ミサキ様、もう少し時間が経てば王子も冷静になると思います。その時まで少しばかりご辛抱くださいませ。落ち着いてからあの夜の魔法のことなどを報告するつもりでおります。くれぐれも、熱が下がっても部屋からお出になりませんよう。兵士たちの中には過激な行動をとる者もいますので」
フィオネさんはそれだけ告げて部屋から出て行った。
薬のおかげで痛みはマシになったけど、熱はいっこうに下がらなかった。関節がぎしぎしいってる気がする。
恋人が、裸で部下のベッドにいたらやっぱりショックだよな。もう俺のこと嫌いになったかな。
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