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結婚式
9 飛竜
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とりあえず注文したスープを胃におさめ、パンは布でくるんで持って帰ることにした。店主にこの村がどれくらい王都に近いのか、騎獣の貸し出しはできるのか聞く。
「王都に行くのかい? 荒れているから多分入れないよ」
『大事な人が暮らしているので』
「そうかい。それなら近くまで行くのは止めないが、危険な時は無理をして進まないことだ。王都には王子様がいる。きっと何とかしてくださるだろうからね」
『ありがとう』
ルーシェン、村人からも頼りにされてるんだな。でも、ルーシェンだってきっと飛竜に乗れなくて困ってるはずだ。俺が王都に行ってシロに嵐を止めてもらうよう頼まないと。
俺の読み通り、この村は王都の近くにあった。王都の東側にあって、橋と地下道の中間くらいの距離にあるらしい。少し南の方に行けば緑水湖の街がある。
ただ、騎獣の貸し出し屋さんでは貸し出せる騎獣が二頭しかいなくて、農作業にも最適な牛によく似た動物と、もう一頭は短時間しか乗れない年寄りの角馬だった。牛に乗っても遅いし、おじいさんの馬に乗るのは気が引ける。それで結局歩くことに決めた。走ればなんとかなるだろう。
森の中の小屋に戻ると時間がかかるから、すぐに村を出発する。村の上空は晴れているのに、王都の方角の空は灰色の雲で覆いつくされていた。雨は降っていない。
王都の方角に走り出した時、村の門の近くにいた数人の村人が何かに気づいた。
「飛竜だ!」
「王子様の飛竜⁉︎」
「空は飛べないんじゃなかったのか?」
「きっと王都に入れない飛行部隊だよ!」
見上げると確かに灰色の雲の隙間を縫うようにして数頭の飛竜がこちらに向かってくるのが小さく見えた。村人が興奮気味に集まってきて手を振り始める。
あの白い飛竜、きっとエストだ。殺されずにすんだんだ。元気に飛行してる。
胸がいっぱいになって視界が滲む。涙を拭いて飛竜たちの飛行を見守っていたら、飛竜はそのまま近づいてきて村を素通りし、近くの森に降りていった。
「森に降りたわ!」
「どうしたんだ?」
「まさか魔物が」
「行ってみよう!」
もしかして、如月の避難小屋に向かったのかな。もしかしなくてもきっとそうだ。すぐに戻ろうと思ったけど、村人達も森に押し寄せていて完全に出遅れた。
お店にいた店主や客、子供やお年寄りまで飛竜や飛行部隊を見ようと森に向かっている。ようやくたどりついた時には、森の広場は村人でいっぱいだった。歓声を上げている村人の隙間から顔を出して見ると、一軒家の前に四頭の飛竜がいて、三人の飛行部隊兵がいる。全員顔見知りだ。飛竜も兵士もびしょ濡れで、エリート特有の近寄りがたい表情をしていた。
「王子様はどちら?」
「ようこそ私たちの村へ」
「飛行部隊カッコいい!」
「お前たち静かにしろ」
険しい表情でビシッと言い放った飛行部隊兵の気迫におされてみんな静かになる。その隙をみはからって声をかけた。
『譲二さん!』
険しい顔をしていた譲二さんが露骨に動揺した。振り向いた譲二さんと目があったので、少し申し訳ない気持ちもあったけど手を振ってみた。
「ミ、ミサキ様……!」
「王子!」
「ミサキ様がこちらに!」
飛行部隊のみんなが俺の前に集まってきたので、慌てた村人が俺から距離をとる。跪いた兵士たちはみんな泣いていた。
「よくご無事で……」
『急に姿を消してすみません』
魔法村から脱出できた時、ルーシェンを迎えにきた飛行部隊兵もみんな泣いてたな。そんな事を思い出していると、家からルーシェンが出てきた。青いマントはみんなと同じでびしょ濡れだ。黒い髪も濡れていて顔色も悪い。疲れ切った姿を見て泣きそうになった。俺のせいだよな。やっぱり怒ってるよな。勝手にいなくなって。
『ルーシェン……ごめん』
ルーシェンは黙って歩いてくると、俺を抱き寄せた。俺も腕をまわしてルーシェンの胸に顔を埋め黙って心音を聴く。迎えにきてもらえることがこんなに嬉しいとは思わなかった。
「王都に行くのかい? 荒れているから多分入れないよ」
『大事な人が暮らしているので』
「そうかい。それなら近くまで行くのは止めないが、危険な時は無理をして進まないことだ。王都には王子様がいる。きっと何とかしてくださるだろうからね」
『ありがとう』
ルーシェン、村人からも頼りにされてるんだな。でも、ルーシェンだってきっと飛竜に乗れなくて困ってるはずだ。俺が王都に行ってシロに嵐を止めてもらうよう頼まないと。
俺の読み通り、この村は王都の近くにあった。王都の東側にあって、橋と地下道の中間くらいの距離にあるらしい。少し南の方に行けば緑水湖の街がある。
ただ、騎獣の貸し出し屋さんでは貸し出せる騎獣が二頭しかいなくて、農作業にも最適な牛によく似た動物と、もう一頭は短時間しか乗れない年寄りの角馬だった。牛に乗っても遅いし、おじいさんの馬に乗るのは気が引ける。それで結局歩くことに決めた。走ればなんとかなるだろう。
森の中の小屋に戻ると時間がかかるから、すぐに村を出発する。村の上空は晴れているのに、王都の方角の空は灰色の雲で覆いつくされていた。雨は降っていない。
王都の方角に走り出した時、村の門の近くにいた数人の村人が何かに気づいた。
「飛竜だ!」
「王子様の飛竜⁉︎」
「空は飛べないんじゃなかったのか?」
「きっと王都に入れない飛行部隊だよ!」
見上げると確かに灰色の雲の隙間を縫うようにして数頭の飛竜がこちらに向かってくるのが小さく見えた。村人が興奮気味に集まってきて手を振り始める。
あの白い飛竜、きっとエストだ。殺されずにすんだんだ。元気に飛行してる。
胸がいっぱいになって視界が滲む。涙を拭いて飛竜たちの飛行を見守っていたら、飛竜はそのまま近づいてきて村を素通りし、近くの森に降りていった。
「森に降りたわ!」
「どうしたんだ?」
「まさか魔物が」
「行ってみよう!」
もしかして、如月の避難小屋に向かったのかな。もしかしなくてもきっとそうだ。すぐに戻ろうと思ったけど、村人達も森に押し寄せていて完全に出遅れた。
お店にいた店主や客、子供やお年寄りまで飛竜や飛行部隊を見ようと森に向かっている。ようやくたどりついた時には、森の広場は村人でいっぱいだった。歓声を上げている村人の隙間から顔を出して見ると、一軒家の前に四頭の飛竜がいて、三人の飛行部隊兵がいる。全員顔見知りだ。飛竜も兵士もびしょ濡れで、エリート特有の近寄りがたい表情をしていた。
「王子様はどちら?」
「ようこそ私たちの村へ」
「飛行部隊カッコいい!」
「お前たち静かにしろ」
険しい表情でビシッと言い放った飛行部隊兵の気迫におされてみんな静かになる。その隙をみはからって声をかけた。
『譲二さん!』
険しい顔をしていた譲二さんが露骨に動揺した。振り向いた譲二さんと目があったので、少し申し訳ない気持ちもあったけど手を振ってみた。
「ミ、ミサキ様……!」
「王子!」
「ミサキ様がこちらに!」
飛行部隊のみんなが俺の前に集まってきたので、慌てた村人が俺から距離をとる。跪いた兵士たちはみんな泣いていた。
「よくご無事で……」
『急に姿を消してすみません』
魔法村から脱出できた時、ルーシェンを迎えにきた飛行部隊兵もみんな泣いてたな。そんな事を思い出していると、家からルーシェンが出てきた。青いマントはみんなと同じでびしょ濡れだ。黒い髪も濡れていて顔色も悪い。疲れ切った姿を見て泣きそうになった。俺のせいだよな。やっぱり怒ってるよな。勝手にいなくなって。
『ルーシェン……ごめん』
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