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結婚式
11 落雷
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『ホレス……捕まえたんですか?』
「ああ。だが本人が全て話さないから、浮島の魔法石の行方は分からない。ハルバートは、魔法石はエルヴィンが持っているのではないかと言っている。魔法の痕跡や証拠を集めて王都に戻るそうだ」
『あいつはルーシェンが思ってるようないいやつじゃありません。エストのことだって何とも思ってない。私が元の世界に帰らなければ代わりにエストを殺すと言って脅してきたんです』
人に裏切られてばかりのルーシェンにあまり伝えたくない内容だけど、本当のことを知って欲しくて話すと、ルーシェンの俺を抱きしめる腕に力がこもった。
「そうだったのか……」
『転移魔法陣を用意してるって。でも、それを使うのが怖くて、如月の避難用の魔法陣を使うことにしたんです』
「ハルバートからここの話を聞くまで、気が気じゃなかった。嵐の中、部下たちを夜通し捜索に付き合わせてシュウヘイを探し回った」
『ごめん……。伝言を頼むような余裕もなくて。ルーシェンはもしかしたら、本当にあいつが好きなのかもと思って……』
いつのまにか泣いていたらしい。ルーシェンが涙を拭ってくれる。そのまま抱き上げられてソファーまで運ばれた。一緒に座って、背中をゆっくり撫でてもらって少し落ち着いた。俺、飛行部隊のみんなにも迷惑をかけたんだな。
『王都に戻りたいけど、あいつがいるから王宮には住みたくない。シロに嵐を止めるように頼んだら、しばらくここで暮らします』
「シュウヘイがそばにいてくれないと困る。エルヴィンのことなら心配するな。エルヴィンは今治療中だ。浮島の魔法石を盗んだ証拠が揃えば投獄する。プライベートエリアに滞在させているのは、逃げられる心配がないからだ」
『治療中?』
「ああ。実はシュウヘイがいなくなった夜に、プライベートエリアに雷が落ちた」
『えっ⁉︎ 』
「今、王都の天候が荒れているのは知ってるか? シュウヘイがいなくなった日からずっと雨が降り続いている。俺はシュウヘイを探していたから詳しくは知らないが、夜中にエルヴィンの住居に雷が落ち、建物が燃えて崩落したそうだ。エルヴィンはその下敷きになった」
プライベートエリアで落雷なんて初めてだ。というより、プライベートエリアって魔法の結界があるんじゃなかったのか?
『それって、どのくらい酷い怪我なんですか?』
「命に別状はないが、なぜか回復魔法が効きにくく、ベッドから起き上がれない状態だ。本人は毒を盛られていると言っている。周りはみな、王宮の守り神の怒りに触れたんだろうと噂しているな」
ほんの少しだけ、エルヴィンに同情してしまった。いや、自業自得だけど。
「だからシュウヘイやエストに魔法をかけたりはできないはずだ。王宮に戻ってきて欲しい。シュウヘイがいないと何も手につかない」
ルーシェンが頭を擦り寄せてくるので、思わずよしよししてしまった。
「戻ったら結婚式をあげよう。契約すればシュウヘイも今より王宮で暮らしやすくなるはずだ」
そういえば王妃様もそんな事を言ってたっけ。王族との結婚は守り神と契約することになるって。
『分かりました。でもあいつがまた何かしてきたら王宮を出ます』
強気で言ったのに、ルーシェンは笑顔になった。
「シュウヘイが望むなら他の土地に新しい城でも建てよう。辺境でも街の中でも浮島でもどこでもいい。こういう小さな屋敷がいいならそうしよう。複数の家や城を建てて、王宮が嫌になったらしばらくそっちで暮らせばいい」
そんな事をして国民から文句は出ないんだろうか。
『そんなにお金使っていいんですか?』
「シュウヘイが幸せならいい。それにこの国は全て王族のものだから、どこを使おうとお金など必要ない」
慣れたつもりでいたけど、やっぱり王族って庶民とは価値観が違うんだな。
***
『料理が冷めてしまいましたね。作り直します』
「温めればいいんだな」
ルーシェンが魔法で温め直してくれたので、料理がなんとか形になった。インスタントラーメンとか作ってなくて良かった。
飛行部隊の兵士たちがいつまでも家に入ってこないので玄関の扉を開けたら、当然のように庭で待機していた。
『もしかして仕事終わってますか?』
「はい。何かご命令があればなんなりとお申し付けください」
これは俺とルーシェンに遠慮して家に入らなかったんだろうな。飛竜は寝そべっているけど、みんな濡れたマントもそのままだし、ルーシェンの話では夜通し俺を探してくれたみたいだから、少しでも休んでもらわないと。
『食事を作ったので家に入ってください』
「食事なら私たちがご用意を……」
『大丈夫です。ルーシェンに手伝ってもらったので。入って入って』
恐縮している兵士たちを部屋に案内する。一番後ろにいた譲二さんを引っ張ろうとしたら、いきなり膝を突いて頭を下げられた。
『譲二さん⁉︎』
「ミサキ様、よくご無事で……ミサキ様の危険に気づかなかった私にどうか罰を。ミサキ様の行方がわからなければ命を捨てる覚悟でした」
『譲二さん、ごめんなさい』
「王子はもちろん、ポリムも心配していました。これからは何があっても私をお連れください。飛行部隊の隊員は全てあなたの盾になります。危険が迫っている時はどうか身代わりにお使いください」
『譲二さんも飛行部隊のみんなも身代わりにはしません。でも、これからは一人で無茶なことはできるだけしないようにします。心配かけてごめんなさい。ご飯作ったので食べてください』
そう言って手を差し出すと、譲二さんはちょっと泣いていた。
「ああ。だが本人が全て話さないから、浮島の魔法石の行方は分からない。ハルバートは、魔法石はエルヴィンが持っているのではないかと言っている。魔法の痕跡や証拠を集めて王都に戻るそうだ」
『あいつはルーシェンが思ってるようないいやつじゃありません。エストのことだって何とも思ってない。私が元の世界に帰らなければ代わりにエストを殺すと言って脅してきたんです』
人に裏切られてばかりのルーシェンにあまり伝えたくない内容だけど、本当のことを知って欲しくて話すと、ルーシェンの俺を抱きしめる腕に力がこもった。
「そうだったのか……」
『転移魔法陣を用意してるって。でも、それを使うのが怖くて、如月の避難用の魔法陣を使うことにしたんです』
「ハルバートからここの話を聞くまで、気が気じゃなかった。嵐の中、部下たちを夜通し捜索に付き合わせてシュウヘイを探し回った」
『ごめん……。伝言を頼むような余裕もなくて。ルーシェンはもしかしたら、本当にあいつが好きなのかもと思って……』
いつのまにか泣いていたらしい。ルーシェンが涙を拭ってくれる。そのまま抱き上げられてソファーまで運ばれた。一緒に座って、背中をゆっくり撫でてもらって少し落ち着いた。俺、飛行部隊のみんなにも迷惑をかけたんだな。
『王都に戻りたいけど、あいつがいるから王宮には住みたくない。シロに嵐を止めるように頼んだら、しばらくここで暮らします』
「シュウヘイがそばにいてくれないと困る。エルヴィンのことなら心配するな。エルヴィンは今治療中だ。浮島の魔法石を盗んだ証拠が揃えば投獄する。プライベートエリアに滞在させているのは、逃げられる心配がないからだ」
『治療中?』
「ああ。実はシュウヘイがいなくなった夜に、プライベートエリアに雷が落ちた」
『えっ⁉︎ 』
「今、王都の天候が荒れているのは知ってるか? シュウヘイがいなくなった日からずっと雨が降り続いている。俺はシュウヘイを探していたから詳しくは知らないが、夜中にエルヴィンの住居に雷が落ち、建物が燃えて崩落したそうだ。エルヴィンはその下敷きになった」
プライベートエリアで落雷なんて初めてだ。というより、プライベートエリアって魔法の結界があるんじゃなかったのか?
『それって、どのくらい酷い怪我なんですか?』
「命に別状はないが、なぜか回復魔法が効きにくく、ベッドから起き上がれない状態だ。本人は毒を盛られていると言っている。周りはみな、王宮の守り神の怒りに触れたんだろうと噂しているな」
ほんの少しだけ、エルヴィンに同情してしまった。いや、自業自得だけど。
「だからシュウヘイやエストに魔法をかけたりはできないはずだ。王宮に戻ってきて欲しい。シュウヘイがいないと何も手につかない」
ルーシェンが頭を擦り寄せてくるので、思わずよしよししてしまった。
「戻ったら結婚式をあげよう。契約すればシュウヘイも今より王宮で暮らしやすくなるはずだ」
そういえば王妃様もそんな事を言ってたっけ。王族との結婚は守り神と契約することになるって。
『分かりました。でもあいつがまた何かしてきたら王宮を出ます』
強気で言ったのに、ルーシェンは笑顔になった。
「シュウヘイが望むなら他の土地に新しい城でも建てよう。辺境でも街の中でも浮島でもどこでもいい。こういう小さな屋敷がいいならそうしよう。複数の家や城を建てて、王宮が嫌になったらしばらくそっちで暮らせばいい」
そんな事をして国民から文句は出ないんだろうか。
『そんなにお金使っていいんですか?』
「シュウヘイが幸せならいい。それにこの国は全て王族のものだから、どこを使おうとお金など必要ない」
慣れたつもりでいたけど、やっぱり王族って庶民とは価値観が違うんだな。
***
『料理が冷めてしまいましたね。作り直します』
「温めればいいんだな」
ルーシェンが魔法で温め直してくれたので、料理がなんとか形になった。インスタントラーメンとか作ってなくて良かった。
飛行部隊の兵士たちがいつまでも家に入ってこないので玄関の扉を開けたら、当然のように庭で待機していた。
『もしかして仕事終わってますか?』
「はい。何かご命令があればなんなりとお申し付けください」
これは俺とルーシェンに遠慮して家に入らなかったんだろうな。飛竜は寝そべっているけど、みんな濡れたマントもそのままだし、ルーシェンの話では夜通し俺を探してくれたみたいだから、少しでも休んでもらわないと。
『食事を作ったので家に入ってください』
「食事なら私たちがご用意を……」
『大丈夫です。ルーシェンに手伝ってもらったので。入って入って』
恐縮している兵士たちを部屋に案内する。一番後ろにいた譲二さんを引っ張ろうとしたら、いきなり膝を突いて頭を下げられた。
『譲二さん⁉︎』
「ミサキ様、よくご無事で……ミサキ様の危険に気づかなかった私にどうか罰を。ミサキ様の行方がわからなければ命を捨てる覚悟でした」
『譲二さん、ごめんなさい』
「王子はもちろん、ポリムも心配していました。これからは何があっても私をお連れください。飛行部隊の隊員は全てあなたの盾になります。危険が迫っている時はどうか身代わりにお使いください」
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