One week

カム

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日曜日、午後2時

7 異世界1日目の夜が更けていく

 うわぁ!

 の、覗かれてる。それも堂々と。

 焦って股間を隠すと、女の子の笑い声が聞こえた。しかも複数だ。

「可愛い~」
「私にも見せて~」
「胸毛?ないわよ」
「けっこういい体してるわね」
「着やせするタイプ?」

 セクハラだ!

 俺は真っ赤になって、その浅いお湯の中に少しでも体を沈めようとした。でもお湯が透明だ。視界を遮る効果は全くない。
 子供は何も知らず
「お兄ちゃん、あっちまで泳ごう」
などと言ってくる。

 アホかぁ!
そんな事したら尻が丸見えだろ。でも何も知らない子供にそんな事は言えず、首を振った。

「お兄さんはもう出るから……」

 マッハのスピードで池から上がり、一瞬で服をとって着替えればいい。それしかこの状況を打破する手立てがない。

「え?もうあがっちゃうの?」
「のぼせたんだ」
「?」

 俺には裸を異性に見せて興奮するような趣味はないらしい。あっても困るけどな。
 いたたまれなくて一刻も早くここから立ち去りたい、それだけだ。

「えーっ……つまんない。じゃあ僕もあがる」

 子供は無邪気に池から上がり、覗いている女子たちに気付いた。
 板の隙間の前に行って声をかける。

「何見てるの?」

 女の子たちは相変わらずきゃあきゃあ言ってる。

「異世界からきたお兄さんよ」
「桃花に服を溶かされたんでしょ?」
「裸で倒れてたって聞いたわ」
「可哀そう……クスクス」

 俺は恥ずかしすぎて、耳にはめている翻訳機を取り出そうか迷った。

「僕のはねーこれくらい。お兄ちゃんのはこれくらい」
「やだぁ」

 何の話だ。
 ちらりと見ると、子供は堂々とふんぞり返って自分の自慢のイチモツを見せている。あいつは大物になりそうだ。

 よし、女の子達が子供に集中している間に、こっそり池から上がる作戦に変更だ。俺は一瞬の隙を見逃さず、できるだけ早く池からあがると、体もろくに拭かずに服を手に取った。パンツさえ履いてしまえばこっちのものだ。

「おにいさーん、こっち向いて」
「ねえ、あたしの部屋に来ない?」

 女の子は好きだけど、こういうのは苦手だ。今までもてたこともほとんどなかったのに、いきなりきゃあきゃあ言われて嬉しさより動揺の方が大きい。というかこれ、もててるって言わないよな。
どっちかというといじめだ。

『すみません。おやすみなさい』

 俺はそれだけ言うと、シャツのボタンもろくに止めないまま、村長の家に戻った。

 ボタンを止めながら自分の寝かされていた部屋に向かう。村人の兄さんが廊下の向こうから歩いてきて俺の姿をちらりと見た。

『おやすみなさい』

と挨拶すると兄さんはニカッと笑って
「おやすみ」
と返してくれたのはいいのだが
「!?」

 通りすぎざまにお尻を触られた。

 なんなんだ、この世界!これが普通なのか?
 奥ゆかしい日本人の俺には理解不能だ。


……寝よう。

 部屋に入ってベッドに横になる。
ポケットから携帯電話を取出し、メモに打ち込んだ内容を確認する。

『今週の土曜日 午後6時
王都南門前集合』


 今日は長い一日だったな……。
 康哉は今頃どこで何をしているんだろう。ゆっくり休んで、明日から頑張ろう。俺はそう思い、目を閉じた。



「お兄ちゃん!先に戻っちゃうなんてひどいよ」

うわ!

 一瞬深い眠りに落ちかけていた俺は、子供の声で叩き起こされた。
 その後俺の世界について質問攻めに合い、気が済んだらベッドの上でプロレス?ごっこが開始された。

 頼む、寝かせてくれ。

 こうして俺の異世界滞在一日目の夜が更けていった。
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