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金曜日、午後1時(レヴィン編)
14 言霊作戦
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「助けてもらえなくて残念だったな」
アニキがむかつくニヤニヤ笑いで言う。
「……内心ちょっと焦ったくせに」
「あぁ?何か言ったか」
『助けてもらえなくても大丈夫です』
「どうした?やけを起こしたのか」
『アニキはペットを殺しません』
言葉には言霊というものがあって、口に出した言葉は本当になりやすい?という……。
これは姉ちゃんの口癖で、本人は学生の時「私はイケメンと付き合う」とお経のように唱えていた。
俺はアニキに対抗する手段がないから、仕方なく言霊作戦を実行する事にした。
逆鱗に触れないといいけど。付き合いが浅いから、いまいちアニキの地雷がどこにあるか分からない。でも多分、おだてには弱いはずだ。
『アニキは誰も殺しません。本当は優しいからです』
アニキが俺の顎をぐい、と持ち上げた。やばい。地雷踏んだか!?
「お前は……よほど生ぬるい世界で生きてきたらしいな」
アニキは目を細めてそう言うと、顎を離した。良かった……取り合えず殺されなくてすんだ。
「さっさとラクダを回収して来い」
うう……ケビンの存在までばれてる。
***
動物預かり所には逃げ場は見当たらず、ケビンは退屈そうに俺を待っていた。
「ケビーン!変な奴に絡まれてるんだ。お前を巻き込みたくないのに、いいアイデアが思い浮かばないんだ。どうしよう、ケビン……」
ケビンは俺の泣き言にも動ずることなく、スタスタと預かり所を出た。外ではアニキが待っていた。
「魔法の板を持っているわりには地味な騎獣だよな」
ケビン、地味って言われたぞ。
「だが身分を偽るには丁度いい。おいミサキ、審査はお前が適当に話をつけろ。くだらない考えはおこすな。死人を出したくなかったらな。理解したか?」
うおぉ、顔が怖い。
高速で頷くと、俺はアニキと一緒にケビンを連れて白い橋のたもとにある審査会場まで歩いていった。
会場は白い門の前に柵で囲むように作られていて、王都に向かう人々が動物連れで少し行列を作っている。
若い兵士が人のよさそうな笑顔で
「整理券をお持ちの方、こちらに並んでくださいね~」
と声を出している。
いくら兵士でも、アニキには敵わなさそうだな……。
アニキみたいな盗賊を王都に入れたら俺も共犯だろうか。
『あの……整理券です。順番来てますか?』
「ああ、もうこちらの番号の方は橋を渡れますよ。そのまま進んでください。簡単な審査がありますから」
若い兄ちゃん兵士は親切で、とても助けを求める事は出来なかった。
王都から橋を渡ってくる人達はフリーパスみたいだ。旅行者が多いのかな。楽しそうな表情で羨ましい。
行列はじわじわと進んで、白い橋の細かな装飾まで見えるようになった。
白一色だけど、湖面から反射する光で模様が緑がかって見える。
蜃気楼のような王都が、橋の向こうに存在していた。
盗賊のアニキは、俺の後ろでなに食わぬ顔でケビンの手綱を握っている。アニキの事、何て兵士に話したらいいんだ?目指していた王都まであと少しなのに、こんなにブルーな気分で都に向かうなんて思いもしなかった。
アニキがむかつくニヤニヤ笑いで言う。
「……内心ちょっと焦ったくせに」
「あぁ?何か言ったか」
『助けてもらえなくても大丈夫です』
「どうした?やけを起こしたのか」
『アニキはペットを殺しません』
言葉には言霊というものがあって、口に出した言葉は本当になりやすい?という……。
これは姉ちゃんの口癖で、本人は学生の時「私はイケメンと付き合う」とお経のように唱えていた。
俺はアニキに対抗する手段がないから、仕方なく言霊作戦を実行する事にした。
逆鱗に触れないといいけど。付き合いが浅いから、いまいちアニキの地雷がどこにあるか分からない。でも多分、おだてには弱いはずだ。
『アニキは誰も殺しません。本当は優しいからです』
アニキが俺の顎をぐい、と持ち上げた。やばい。地雷踏んだか!?
「お前は……よほど生ぬるい世界で生きてきたらしいな」
アニキは目を細めてそう言うと、顎を離した。良かった……取り合えず殺されなくてすんだ。
「さっさとラクダを回収して来い」
うう……ケビンの存在までばれてる。
***
動物預かり所には逃げ場は見当たらず、ケビンは退屈そうに俺を待っていた。
「ケビーン!変な奴に絡まれてるんだ。お前を巻き込みたくないのに、いいアイデアが思い浮かばないんだ。どうしよう、ケビン……」
ケビンは俺の泣き言にも動ずることなく、スタスタと預かり所を出た。外ではアニキが待っていた。
「魔法の板を持っているわりには地味な騎獣だよな」
ケビン、地味って言われたぞ。
「だが身分を偽るには丁度いい。おいミサキ、審査はお前が適当に話をつけろ。くだらない考えはおこすな。死人を出したくなかったらな。理解したか?」
うおぉ、顔が怖い。
高速で頷くと、俺はアニキと一緒にケビンを連れて白い橋のたもとにある審査会場まで歩いていった。
会場は白い門の前に柵で囲むように作られていて、王都に向かう人々が動物連れで少し行列を作っている。
若い兵士が人のよさそうな笑顔で
「整理券をお持ちの方、こちらに並んでくださいね~」
と声を出している。
いくら兵士でも、アニキには敵わなさそうだな……。
アニキみたいな盗賊を王都に入れたら俺も共犯だろうか。
『あの……整理券です。順番来てますか?』
「ああ、もうこちらの番号の方は橋を渡れますよ。そのまま進んでください。簡単な審査がありますから」
若い兄ちゃん兵士は親切で、とても助けを求める事は出来なかった。
王都から橋を渡ってくる人達はフリーパスみたいだ。旅行者が多いのかな。楽しそうな表情で羨ましい。
行列はじわじわと進んで、白い橋の細かな装飾まで見えるようになった。
白一色だけど、湖面から反射する光で模様が緑がかって見える。
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