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ep.2求婚者たち
4 ヨルグ君
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「訪問客が増えてきたようなので、そろそろ神殿へ戻りましょう」
「はい。楽しかったです。また散歩に付き合ってください」
軽く言ったのに、レイ隊長と部下たちが全員手を胸の位置に置き深々と頭を下げた。
「こちらこそ、神子さまの護衛ができてこれほど光栄なことはありません。我ら聖騎士はこの先も命をかけて神子さまをお守りいたします」
「あ、ありがとう……」
なんだか俺にはもったいない言葉のような気がする。聖騎士ってかっこいいな。
大神殿の裏庭に続く扉でキリアン司祭さまが待っていてくれた。隣に二人ほど男の人がいて話をしてる。二人とも服装から判断して聖騎士みたいだけどアルバートじゃない。アルバート、今は何の仕事してるんだろう。正門でお客さんを迎えてるのかな。昨日の夜から姿を見てない。
「かなめ様、お散歩はどうでしたかな?」
「楽しかったよ。花が綺麗だったし、隊長がジャターユを近くで見せてくれたんだ」
「それはよろしゅうございました」
司祭さまとの話が終わると、隣にいた聖騎士の男の人が丁寧な挨拶をする。この人は三十代くらい。金色の髪は胸の辺りまで伸ばしていて男の人なのに華やかで色気がある。身分も高そう。
「初めまして、神子さま。私は聖騎士第三部隊の隊長、アラン=ノーセルツと申します。以後お見知りおきを」
「初めまして。佐伯要です」
アランさんは声も色っぽい。優しそうに囁くからモテるんだろうな。隊長って立場はレイさんと同じだけど、二人の見た目は全然違う。
「レイ隊長、王族の方々が正門に到着されている。護衛を任されているのだろう? 私は貢物のことでキリアン司祭様とお話がある。その間、神子さまは私がお守りいたしましょう」
笑顔のアラン隊長とは違い、レイさんは迫力のある怖い顔で頷いた。
「了解した。では我々は持ち場に戻ろう。キリアン殿、神子さまの護衛が必要な時はいつでも我々をお呼びください。それでは神子さま失礼いたします」
ビリビリした戦士のオーラを出しながら、レイ隊長と部下たちは去っていった。
「第一部隊の者はみな戦闘に優れていますが、神子さまのお相手には少々無骨すぎますね」
アラン隊長が微笑み、後ろに控えていた聖騎士を呼んだ。俺は彼を見て何となく懐かしい気持ちになった。
「神子さま、この者は私の部隊のヨルグ。神子さまとは年も近く、よい話し相手になるのではと連れて参りました」
「初めまして、神子さま。私は第三部隊のヨルグ=ロンです」
ヨルグは小学校の時、近所のアパートに住んでいた吉村くんに似ていた。髪が焦茶色で目の色も焦茶。身長もそれほど高くないし、短い髪だから余計にそう思うのかも。
病気がちであまり小学校に行けなかった俺に、近所だからという理由でプリントとかいろいろ持ってきてくれた吉村くん。
体育を見学している俺を見て、簡単に休めてお前はいいよなってよく言ってた。他にも病弱美少年だからって先生や女子に贔屓されてる、とか。俺は健康な身体を持ってる吉村くんの方がずっと羨ましかったけど。
中学からはクラスも離れたし、ほとんど学校にも行けなかったから、そのあと吉村くんがどうしてるのか知らないけど、大人になったらきっとこんな感じに成長してるんだろうと思えた。
「よろしく。よし……ヨルグ君」
「神子さま、実は私は神子さまの婚約者候補です。アルバートがいなければ私が神子さまと結婚する予定でした」
「え?」
ヨルグは俺の手をがっしり握り、真顔でそんなことを言った。婚約者候補?
「私も占術師に選ばれました。アルバートのやつ、いやアルバート殿は最初は結婚に乗り気じゃなかったのに、いつの間にか神子さまの夫という立場に目が眩んで……」
キリアン司祭さまが咳払いをして、ヨルグは口ごもった。うん、吉村くんもわりとこう言うことをずけずけ言うタイプだった。
「私は最初から神子さまと結婚したいとずっと願っていました。神子さまがこれほど美しい方だと知らない時から、です。私の信仰心は誰にも負けません!」
「ええと……」
「まあまあ、ヨルグ、気持ちは分かるが落ち着きなさい。神子さまが困っておられる。今はアルバート殿と結婚した直後だから、神子さまもお忙しい。いずれ時が経てば、第二、第三の伴侶をお選びいただけるだろう。その時に選んでいただければ良いじゃないか」
「そうですね、隊長!」
いや、そうですねって……。俺、第二とか第三の結婚相手なんてそもそも欲しくないんだけど。この世界、同性婚もありでさらに複数の妻や夫もありなのか? それとも結婚はもとの世界と違って占術とか何かで強制的に決まるものなのかな。不安になってきた。
「はい。楽しかったです。また散歩に付き合ってください」
軽く言ったのに、レイ隊長と部下たちが全員手を胸の位置に置き深々と頭を下げた。
「こちらこそ、神子さまの護衛ができてこれほど光栄なことはありません。我ら聖騎士はこの先も命をかけて神子さまをお守りいたします」
「あ、ありがとう……」
なんだか俺にはもったいない言葉のような気がする。聖騎士ってかっこいいな。
大神殿の裏庭に続く扉でキリアン司祭さまが待っていてくれた。隣に二人ほど男の人がいて話をしてる。二人とも服装から判断して聖騎士みたいだけどアルバートじゃない。アルバート、今は何の仕事してるんだろう。正門でお客さんを迎えてるのかな。昨日の夜から姿を見てない。
「かなめ様、お散歩はどうでしたかな?」
「楽しかったよ。花が綺麗だったし、隊長がジャターユを近くで見せてくれたんだ」
「それはよろしゅうございました」
司祭さまとの話が終わると、隣にいた聖騎士の男の人が丁寧な挨拶をする。この人は三十代くらい。金色の髪は胸の辺りまで伸ばしていて男の人なのに華やかで色気がある。身分も高そう。
「初めまして、神子さま。私は聖騎士第三部隊の隊長、アラン=ノーセルツと申します。以後お見知りおきを」
「初めまして。佐伯要です」
アランさんは声も色っぽい。優しそうに囁くからモテるんだろうな。隊長って立場はレイさんと同じだけど、二人の見た目は全然違う。
「レイ隊長、王族の方々が正門に到着されている。護衛を任されているのだろう? 私は貢物のことでキリアン司祭様とお話がある。その間、神子さまは私がお守りいたしましょう」
笑顔のアラン隊長とは違い、レイさんは迫力のある怖い顔で頷いた。
「了解した。では我々は持ち場に戻ろう。キリアン殿、神子さまの護衛が必要な時はいつでも我々をお呼びください。それでは神子さま失礼いたします」
ビリビリした戦士のオーラを出しながら、レイ隊長と部下たちは去っていった。
「第一部隊の者はみな戦闘に優れていますが、神子さまのお相手には少々無骨すぎますね」
アラン隊長が微笑み、後ろに控えていた聖騎士を呼んだ。俺は彼を見て何となく懐かしい気持ちになった。
「神子さま、この者は私の部隊のヨルグ。神子さまとは年も近く、よい話し相手になるのではと連れて参りました」
「初めまして、神子さま。私は第三部隊のヨルグ=ロンです」
ヨルグは小学校の時、近所のアパートに住んでいた吉村くんに似ていた。髪が焦茶色で目の色も焦茶。身長もそれほど高くないし、短い髪だから余計にそう思うのかも。
病気がちであまり小学校に行けなかった俺に、近所だからという理由でプリントとかいろいろ持ってきてくれた吉村くん。
体育を見学している俺を見て、簡単に休めてお前はいいよなってよく言ってた。他にも病弱美少年だからって先生や女子に贔屓されてる、とか。俺は健康な身体を持ってる吉村くんの方がずっと羨ましかったけど。
中学からはクラスも離れたし、ほとんど学校にも行けなかったから、そのあと吉村くんがどうしてるのか知らないけど、大人になったらきっとこんな感じに成長してるんだろうと思えた。
「よろしく。よし……ヨルグ君」
「神子さま、実は私は神子さまの婚約者候補です。アルバートがいなければ私が神子さまと結婚する予定でした」
「え?」
ヨルグは俺の手をがっしり握り、真顔でそんなことを言った。婚約者候補?
「私も占術師に選ばれました。アルバートのやつ、いやアルバート殿は最初は結婚に乗り気じゃなかったのに、いつの間にか神子さまの夫という立場に目が眩んで……」
キリアン司祭さまが咳払いをして、ヨルグは口ごもった。うん、吉村くんもわりとこう言うことをずけずけ言うタイプだった。
「私は最初から神子さまと結婚したいとずっと願っていました。神子さまがこれほど美しい方だと知らない時から、です。私の信仰心は誰にも負けません!」
「ええと……」
「まあまあ、ヨルグ、気持ちは分かるが落ち着きなさい。神子さまが困っておられる。今はアルバート殿と結婚した直後だから、神子さまもお忙しい。いずれ時が経てば、第二、第三の伴侶をお選びいただけるだろう。その時に選んでいただければ良いじゃないか」
「そうですね、隊長!」
いや、そうですねって……。俺、第二とか第三の結婚相手なんてそもそも欲しくないんだけど。この世界、同性婚もありでさらに複数の妻や夫もありなのか? それとも結婚はもとの世界と違って占術とか何かで強制的に決まるものなのかな。不安になってきた。
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