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誓約
17 シエラ
午後になるとヒースはジェイソンと一緒に出かけてしまった。俺も一緒に行きたかったけど、全力で止められた。
毒を受けて瀕死のはずの病人が歩き回っていたら怪しまれるとヒースに言われて仕方なく部屋に残る。こっそり竜になってヒースの服に潜り込むことも考えたけど、治療師とシエラが部屋にやって来たので服に潜入作戦は中止するしかなかった。
「カル、元気になって本当に嬉しいわ。一時はどうなることかと思ったのよ。お兄様の愛が通じたのね」
涙ながらにシエラに言われて、嬉しいようなくすぐったい気持ちになる。シエラは学園の時にも見かけた付き人と一緒で、身体にいい食事やおやつを持ってきてくれていた。さっそく用意されていたパンにジャムを塗ってミルクと一緒に口に流し込む。すごく美味しい。身体にエネルギーが溢れる。お肉があるともっと嬉しいけど。
「カル、すごい食欲ね。もっと持って来た方がよかったかしら」
「元気になったらお腹がすいたんだ。もっとあるなら食べたい」
昨日体力も魔力も使い切ってゼロになったから、たくさん食べないと魔力が戻らない。ジークさんの飴を食べ尽くすのはもったいないし。
食べているとシエラが真面目な顔でこっちをじっと見つめてきた。
「とうしたの? シエラ」
「カル……ケネスお兄様のこと、ごめんなさい。許してもらえないかも知れないけど王族の一員として謝らせてちょうだい」
「シエラが悪いんじゃないよ。シエラはケネスが好きなの?」
「ケネスお兄様とはあまり話したことがないの。でも血のつながった兄に代わりはないわ。ケネスお兄様のお母様は正妃だったけれど、ケネスお兄様を産んですぐにお亡くなりになって、別の妃に育てられたんですって。お兄様は昔はとても病弱で、何度も生死の境をさまよったってきいたわ。王城の一室で寝たきりで、ずっと外に出られなかったそうよ。私、それを聞いてから、大きくなったらケネスお兄様を治して差し上げたいと思って回復魔法の勉強をしたの。でも、私が大きくなる前にお兄様はお元気になられたわ。ダリという宮廷魔道士のおかげなの。だからお兄様はあの魔道士の言いなりなのよ」
「シエラは優しいんだね」
シエラは、ヒースはもちろん、エリオットとも仲良しだった。兄弟の仲が悪くてきっと悲しんでるんだろうな。俺も少し悩んでる。ヒースのために、ヒースに危害を加えるケネスを倒してしまおうかと思ったけど、ケネスはヒースのお兄さんだから、傷つけてしまったらきっとヒースは悲しむだろうな。ヒースがどうしたいのかよく分からない。
「この国は魔物の森に囲まれているし、隣国や少数部族とも長い争いの歴史があるの。だから兄弟で協力して国を治めた方がいいと思うのだけれど、エリオット兄様にそう伝えても、お前は女だから分からないですって。たしかに分からないわ。男がどうしてあんなに好戦的なのか」
「俺はシエラが女王になったらいいと思う。ケネスとエリオットとヒースには国境のお城を守らせたらいいよ。どう?」
いい提案だと思ったけど、シエラは目を丸くした。
「やあね、私には無理よ。そのうち隣国の王子のところへ嫁ぐしかないわ」
「そうなの? 好きな人とは結婚しないの?」
俺が聞くと、シエラは少し悲しい顔をした。
「私が隣の国に嫁いでも、また会いに来てね、カル」
「うん」
シエラが恋愛小説をたくさん読んでいたのは、自由に恋愛ができないからなのかな。
毒を受けて瀕死のはずの病人が歩き回っていたら怪しまれるとヒースに言われて仕方なく部屋に残る。こっそり竜になってヒースの服に潜り込むことも考えたけど、治療師とシエラが部屋にやって来たので服に潜入作戦は中止するしかなかった。
「カル、元気になって本当に嬉しいわ。一時はどうなることかと思ったのよ。お兄様の愛が通じたのね」
涙ながらにシエラに言われて、嬉しいようなくすぐったい気持ちになる。シエラは学園の時にも見かけた付き人と一緒で、身体にいい食事やおやつを持ってきてくれていた。さっそく用意されていたパンにジャムを塗ってミルクと一緒に口に流し込む。すごく美味しい。身体にエネルギーが溢れる。お肉があるともっと嬉しいけど。
「カル、すごい食欲ね。もっと持って来た方がよかったかしら」
「元気になったらお腹がすいたんだ。もっとあるなら食べたい」
昨日体力も魔力も使い切ってゼロになったから、たくさん食べないと魔力が戻らない。ジークさんの飴を食べ尽くすのはもったいないし。
食べているとシエラが真面目な顔でこっちをじっと見つめてきた。
「とうしたの? シエラ」
「カル……ケネスお兄様のこと、ごめんなさい。許してもらえないかも知れないけど王族の一員として謝らせてちょうだい」
「シエラが悪いんじゃないよ。シエラはケネスが好きなの?」
「ケネスお兄様とはあまり話したことがないの。でも血のつながった兄に代わりはないわ。ケネスお兄様のお母様は正妃だったけれど、ケネスお兄様を産んですぐにお亡くなりになって、別の妃に育てられたんですって。お兄様は昔はとても病弱で、何度も生死の境をさまよったってきいたわ。王城の一室で寝たきりで、ずっと外に出られなかったそうよ。私、それを聞いてから、大きくなったらケネスお兄様を治して差し上げたいと思って回復魔法の勉強をしたの。でも、私が大きくなる前にお兄様はお元気になられたわ。ダリという宮廷魔道士のおかげなの。だからお兄様はあの魔道士の言いなりなのよ」
「シエラは優しいんだね」
シエラは、ヒースはもちろん、エリオットとも仲良しだった。兄弟の仲が悪くてきっと悲しんでるんだろうな。俺も少し悩んでる。ヒースのために、ヒースに危害を加えるケネスを倒してしまおうかと思ったけど、ケネスはヒースのお兄さんだから、傷つけてしまったらきっとヒースは悲しむだろうな。ヒースがどうしたいのかよく分からない。
「この国は魔物の森に囲まれているし、隣国や少数部族とも長い争いの歴史があるの。だから兄弟で協力して国を治めた方がいいと思うのだけれど、エリオット兄様にそう伝えても、お前は女だから分からないですって。たしかに分からないわ。男がどうしてあんなに好戦的なのか」
「俺はシエラが女王になったらいいと思う。ケネスとエリオットとヒースには国境のお城を守らせたらいいよ。どう?」
いい提案だと思ったけど、シエラは目を丸くした。
「やあね、私には無理よ。そのうち隣国の王子のところへ嫁ぐしかないわ」
「そうなの? 好きな人とは結婚しないの?」
俺が聞くと、シエラは少し悲しい顔をした。
「私が隣の国に嫁いでも、また会いに来てね、カル」
「うん」
シエラが恋愛小説をたくさん読んでいたのは、自由に恋愛ができないからなのかな。
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