1 / 18
王都と辺境
しおりを挟む
華々しい王都ホーズからかけ離れた、南の辺境アルハカ。
海と森の恵みをたっぷり受けて、そこに住む人たちはみんな呑気です。
ただ、そこに住む人たちは少し変わっていましま。
どう変わっているかは、そのうち分かると思います。
さて、その呑気なアルハカの領主ドオモには、
6人の子供たちがいます。
息子、息子、息子、息子、息子、娘。
だいたい想像はつくと思うのですが、途中からはお妃が、どーーしても女の子が欲しくて頑張った並びであります。
この末娘さん、甘やかされたというよりは非常に自由に呑気に育てられました。
ただでさえペット的立ち位置だというのに、
18歳になってもなお背が小さくて童顔、
性格もポヨポヨしている。
両親も兄たちも、嫁には出さず一生養ってやればいいや、とか思っていて
特に厳しい「令嬢教育」などはしなかっのです。
どうせ辺境の地ですし。
そんな令嬢はモモナ、といいます…。
こちらは王都ホーズ
何もかもが華々しい街並みは、辺境とは比べ物になりません。
中央広場には、現王を讃える像が立っています。
「ガリオン王」
その名を口にする時は気を付けなければなりません。
なにせガリオン王は、歴代の王の中でも冷酷非道で有名なのです。
しかし人々は、周りの敵国から守ってくれるこの王をとても尊敬しています。
そしてその1人息子、
セオ王子
今年29歳になるセオ王子は、父ガリオン王を凌ぐほどの力を持っているとウワサされていて、
事実その通りです。
美貌、才能、全てにおいて両親の良いところだけを受け継ぎ増幅させているような王子です。
しかし、ガリオン王の「冷血さ」までも受け継いでしまったようで、
国民は今だにこの王子が笑った顔を見たことがありませんでした。
ガリオン王にとって、なんの不満もない後継でしたが、
ひとつだけ、
もういい歳だというのに妻を娶らないというのが困りごとでした。
それどころか女に手を出した、という話も聞いたことがありません。
「我が世継ぎは大丈夫なのだろうか…」
たまに妃と、ため息をつきながらその話になるのです。
セオ王子の部屋に、幼馴染で側近のハリーが入ってきました。
「セオ王子!また妃候補を追い返したのですか⁈」
ハリーはとても怒っています。
というか激おこです。
窓辺にいたセオは、ただ外の様子をブルーの瞳で眺めながらうなづくだけ。
同時に美しい、長い黒髪が滝のように揺れます。
「ああ、これで何人目でしょう…!!!
私は、もう100人以上国内外から美女を集めました!
どの美女もセクシーで男ならふるいつきたくなるような女たちですよ!もうどこを探しても、
今まで以上の美女は出てきませんよ!」
綺麗な金髪を一つに束ねたハリーもまた、セオとは違ったタイプのイケメンではあるのですが、
お気の毒に、苦労が顔に出て、
眉間に皺ができています…
ハリーは眉間の皺をモミモミしつつ、セオに迫りました。
「ガリオン王…お父上から私はキツく申しつかっているのです!!
あと30日以内に、セオ王子に妃候補を見つけなければ、
ウチの一族郎党を縛首にするとーー!!」
セオはため息をつき、ハリーは涙目になっていました。
そんなわけで、モモナの住む辺境の地、
アルハカにも、なりふり構わなくなった王都(のハリー)からのお誘いのお手紙がやってきたのです。
『セオ王子の花嫁募集してます!
採用されたらあなたもお妃さまに!
女性ならば誰でも可!」
海と森の恵みをたっぷり受けて、そこに住む人たちはみんな呑気です。
ただ、そこに住む人たちは少し変わっていましま。
どう変わっているかは、そのうち分かると思います。
さて、その呑気なアルハカの領主ドオモには、
6人の子供たちがいます。
息子、息子、息子、息子、息子、娘。
だいたい想像はつくと思うのですが、途中からはお妃が、どーーしても女の子が欲しくて頑張った並びであります。
この末娘さん、甘やかされたというよりは非常に自由に呑気に育てられました。
ただでさえペット的立ち位置だというのに、
18歳になってもなお背が小さくて童顔、
性格もポヨポヨしている。
両親も兄たちも、嫁には出さず一生養ってやればいいや、とか思っていて
特に厳しい「令嬢教育」などはしなかっのです。
どうせ辺境の地ですし。
そんな令嬢はモモナ、といいます…。
こちらは王都ホーズ
何もかもが華々しい街並みは、辺境とは比べ物になりません。
中央広場には、現王を讃える像が立っています。
「ガリオン王」
その名を口にする時は気を付けなければなりません。
なにせガリオン王は、歴代の王の中でも冷酷非道で有名なのです。
しかし人々は、周りの敵国から守ってくれるこの王をとても尊敬しています。
そしてその1人息子、
セオ王子
今年29歳になるセオ王子は、父ガリオン王を凌ぐほどの力を持っているとウワサされていて、
事実その通りです。
美貌、才能、全てにおいて両親の良いところだけを受け継ぎ増幅させているような王子です。
しかし、ガリオン王の「冷血さ」までも受け継いでしまったようで、
国民は今だにこの王子が笑った顔を見たことがありませんでした。
ガリオン王にとって、なんの不満もない後継でしたが、
ひとつだけ、
もういい歳だというのに妻を娶らないというのが困りごとでした。
それどころか女に手を出した、という話も聞いたことがありません。
「我が世継ぎは大丈夫なのだろうか…」
たまに妃と、ため息をつきながらその話になるのです。
セオ王子の部屋に、幼馴染で側近のハリーが入ってきました。
「セオ王子!また妃候補を追い返したのですか⁈」
ハリーはとても怒っています。
というか激おこです。
窓辺にいたセオは、ただ外の様子をブルーの瞳で眺めながらうなづくだけ。
同時に美しい、長い黒髪が滝のように揺れます。
「ああ、これで何人目でしょう…!!!
私は、もう100人以上国内外から美女を集めました!
どの美女もセクシーで男ならふるいつきたくなるような女たちですよ!もうどこを探しても、
今まで以上の美女は出てきませんよ!」
綺麗な金髪を一つに束ねたハリーもまた、セオとは違ったタイプのイケメンではあるのですが、
お気の毒に、苦労が顔に出て、
眉間に皺ができています…
ハリーは眉間の皺をモミモミしつつ、セオに迫りました。
「ガリオン王…お父上から私はキツく申しつかっているのです!!
あと30日以内に、セオ王子に妃候補を見つけなければ、
ウチの一族郎党を縛首にするとーー!!」
セオはため息をつき、ハリーは涙目になっていました。
そんなわけで、モモナの住む辺境の地、
アルハカにも、なりふり構わなくなった王都(のハリー)からのお誘いのお手紙がやってきたのです。
『セオ王子の花嫁募集してます!
採用されたらあなたもお妃さまに!
女性ならば誰でも可!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる