今世、悪女が消えた世界で

shinonome

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魔法塔へ

2.

扉の先にリリアーナを待っていたかのように立っているクレアがいた。
怒りの感情が瞳の中から見えており、リリアーナは
それを見てすぐに察した。きっとルナティアのことで怒っているのだと。
「あなたは、ルナティアの姉でしょう?どうして昨日のお茶会でルナティアを庇わなかったの?」
やはり予想はしていた。ルナティアのことで怒っているのだと。
前世の時もそう。大体クレアこの人はこっちに来るのは自分がルナティアに何かをした時だけ。
言い返すことも許されず、言い返せば平手打ちがやってくる泣けば、ますます怒鳴りつけてくる。
その光景を思い出して、前世の時の自分に戻ってしまったかのような気分になりそうになる。
落ち着け自分と言い聞かせながらも冷めた瞳で対抗しながらも口を開く。
「こんな所にずっと立ってらっしゃって、開口早々それですか?まずは、説明してくださりませんか?」
そう言えば、驚いたような顔をしていたがすぐに表情を怒りへところりと変える。
「ルナティアは昨日、王太子様の前で転けてしまって大勢の令嬢の前で恥を晒されたのよ?
あなたは、そんなルナティアを可哀想だと思って庇おうとしなかったの?」
口から出るのはルナティア、ルナティアばかり。
そして、どうして自分が責められないといけないのか。
ルナティアがやってしまったことだ。責任は、ルナティアの方にあるはずなのにどうして矛先が自分になってしまうのか意味が分からなかった。

クレアを冷めた眼差しで見ながら返事をするリリアーナ。
「ルナティアが転んで恥を晒されただけで、何で私が責められなければいけないのですか?転けたのも恥を晒されたのも全部ルナティアのせいではありませんか。」
そう言えば、クレアは驚いた顔をするのと同時に顔が青ざめる。
今まで言い返してこなかったリリアーナが言い返したからだ。
「あ、あなた…っ母親に向かってなんて口を…っ」
言い返せば、今にでも泣きそうに肩を震わせ被害者面するような醜態を見せる。
どうしてそちらが被害者面するのか。
先に吹っかけてきたのはそちらだというのに。
呆れて、この時間は無駄だ。と感じる。
そろそろ魔法塔へ行かないと。イリアス様を長く待たせる訳にはいかないと思いこの話を早く終わらせねばと
リリアーナは口を開く。
「…話すことがないのなら、もういいですよね?
その件は、ルナティアと一緒に対処してください。
無関係の私を巻き込まないでください。」
冷気の増したリリアーナの瞳と突きつけられた言葉に
クレアはもっと青ざめて倒れそうな勢いだった。
どうでもよかったリリアーナはクレアの前を通り過ぎていった。
遠く離れた時
「リリアーナ…っ」と声がしたが
聞こえない、聞こえないと思いながら長い廊下を歩いて
公爵家から外に出て、魔法塔へ行くための馬車に乗り込む。
リリアーナが馬車に乗ったことが分かればすぐに馬車は走り出す。
馬車の窓から景色を眺めながらもさっきの光景を思い出してしまい表情が曇ってしまう。
運良く怒ることはなかったが恐らく次はきっと…。

せっかく疲れが取れたと思ったらさっきので酷く
疲れが出てしまった。
あの人のせいで。
「はあ…。」
と思わずため息をこぼしてしまうリリアーナであった。
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