20 / 50
イリアスの新しい教え子はあなたでした
1.
「…。」
時空巻き戻し魔法の魔導書を見ながらも羽根ペンを持って考え込むリリアーナ。
あれからリリアーナは、部屋にこもって時空巻き戻し魔法の解読を試みていた。
たまに、アッシュやクレアがこもっているリリアーナを見て心配になって部屋に入ろうとしていたが入られる前にリリアーナは丁寧にお断りして追い返していた。
邪魔をされては困ると思いながらも、解読をし続けた。
バレないように、アッシュ達とは距離を置いていたが
不思議なことにアッシュや、クレア、そしてルナティア達がリリアーナに関わろうとしていた。
ルナティアのことはともかく、二人は自分を心配して関わろうとしてきた。
その度に、前世の記憶が流れてきて胸が締め付けられるためロロナや他の召使い達を呼び出しては追い返していた。
そうしたことをしていたからか、ルナティアの召使い達やその他の人達からは表情豊かだったリリアーナがある日静かな湖のように変わり果てていたと言われるようになった。
それから、数日の時が過ぎた後
変わらずリリアーナは解読を続けていたが…。
(終盤は私の力では解読ができないわ…。)
前世の時から解読する力を身につけており
序盤から中盤までの解読は難なくできたものの
終盤は自分の力では解読できない状態であった。
おそらく、終盤の方に自分が過去に巻き戻ることができた魔法があるかもとリリアーナは思った。
なぜなら、終盤のページは大きな時計のような図面が反時計回りになっていたから。
この魔法が過去に巻き戻ることができる魔法だと確信して解読を試みた。
が、自分では読めない言語があったりなどして
解読が上手くいかない。
解読ができずにふと頭の中で思い浮かんだのは。
魔道士であるイリアス。
そして今日は、イリアスの所へ行く日だと気づく。
(1度、イリアス様に解読を頼んでみようかしら。
よし、ここに解読してほしいと印をつけておこう。)
そう思いながら、付箋を付けておき
ロロナが来るまで椅子に座って解読をしている装いをする。数分後、「リリアーナ様。」と扉の先から聞こえ
「入ってちょうだい。」と返答をした後
ロロナが入ってきた。
いつものように「お嬢様、そろそろイリアス様の所へ行くお時間です。」と言われ
リリアーナは椅子から立ち上がり「準備を手伝ってくれる?」といってクローゼットの前に来て今日はどんな服にするか決める。黒いリボンの着いた白いブラウスに
紺色の膝まで長さのあるスカートを選びそれに合わせたストラップパンプスを選ぶ。
着ていた服をロロナに渡してから、ブラウスとスカートに着替えてから、レースソックスを履きストラップパンプスを履く。
それからドレッサーの目の前にある椅子に座り
ロロナに髪の毛を整えつつもハーフアップにしてもらう。
全ての準備が終わり、リリアーナは鞄の中にいつもの物を詰め込んだ後ロロナに見届けられた後
侯爵邸から外に出ていつもの馬車に乗り込んだ。
しばし時間が経った後、馬車の窓から塔が見えてから
自分の座っている先の座席に置いてある鞄を手に取り
馬車が停車するのを待つ。
ピタリと馬車が止まるのを感じれば御者の人が
馬車の扉を開いてリリアーナに手を差し伸べ
御者の手を引かれながら馬車を降りた後は同じように
「いってらっしゃいませ。」と微笑んで自分を見送ってくれた御者が馬車を走らせるまでリリアーナは見届け
馬車が走っていった後、リリアーナはいつものように
魔法塔の扉を数回ノックしてから扉が開いた後、
ひとひらの光った蝶がイリアスの元へまで導かれた。
階段を上がり、大きな扉の前に立ち
ノックをしながら「イリアス様、私が来ました。」と言ってから「入ってこい。」と扉の先から聞こえて
リリアーナは扉を開く。
変わらない空間の中に、今回は不思議なことに
イリアスに客人がいたようだった。
緑色のふんわりとした髪に黄色の瞳をして
メガネをかけていながらも黒い服を身に纏うイリアスとは対照的に白い白衣を身に纏っていた。
「おやぁ、君がリリアーナちゃんだね?」
と容姿とは全く違う不思議とした雰囲気で話しかけられて戸惑ってしまい言葉が出なくなるリリアーナ。
それ見たイリアスはため息をつきながら
「やめろ。アレット。突然話しかけたからリリアーナが困っているだろう。まずは名前を言え。」と言う。
「ごめんごめん。」
と言った後、リリアーナの前に立って軽く頭を下げる。
それから自分の名前を言う。
「僕の名前は、イリアスが言った通りアレットていうんだ。イリアスとはまあ…親友みたいな立ち位置かな?」
「俺は親友になったつもりはないぞ。」
「ええ…?ひどいなぁ。」としくしくと泣くアレット。
やれやれと呆れながらイリアスはリリアーナに視線を向けて口を開いた。
「こんな奴だが、アレットは優秀な魔法医療士だ。」
そう言われても、そんな彼が魔法塔にいるのか分からなかった。
「こんな奴とはなんだよぉ…」
と苦言を発していたが、イリアスは華麗にスルーし
「少し私に諸事情があってな…しばらくの間リリアーナは私ではなくアレットに講師を受け持ってもらうこととなった。」
そう言われ
「しばらくの間は、イリアス様は講師は受け持たないということですか…?」と残念そうな声で言う。
その様子にアレットはニヤリと笑みを浮かべて
「リリアーナちゃん、残念そうな顔してるけどぉ?」
「仕方がないだろう?もう一人の知人から息子に治癒魔法を教えて欲しいって頼まれたのだから。」
「僕がその子教えてあげても良かったのに。」
「知人からは絶対に私が教えろと言われたんだ。」
そう2人が話しているのを見ながらも
リリアーナはイリアス様の言っていたことを思い出す。
(治癒魔法を教えると言っていたけれど…
まさか…)
治癒魔法という言葉にふと頭の中であの時の記憶が流れる。今度から治癒魔法を学ぶことになったと言っていた
濃い赤紫色系統の髪と瞳をした少年が思い浮かぶ。
そうこう考えているとふと、扉が思い切り開かれ
ビクリとするリリアーナ。
扉の先にいたのは
濃い赤紫色系統の髪と瞳を持つ
フィルア公爵家次男の
ネオ・ルト・フィルアだった。
時空巻き戻し魔法の魔導書を見ながらも羽根ペンを持って考え込むリリアーナ。
あれからリリアーナは、部屋にこもって時空巻き戻し魔法の解読を試みていた。
たまに、アッシュやクレアがこもっているリリアーナを見て心配になって部屋に入ろうとしていたが入られる前にリリアーナは丁寧にお断りして追い返していた。
邪魔をされては困ると思いながらも、解読をし続けた。
バレないように、アッシュ達とは距離を置いていたが
不思議なことにアッシュや、クレア、そしてルナティア達がリリアーナに関わろうとしていた。
ルナティアのことはともかく、二人は自分を心配して関わろうとしてきた。
その度に、前世の記憶が流れてきて胸が締め付けられるためロロナや他の召使い達を呼び出しては追い返していた。
そうしたことをしていたからか、ルナティアの召使い達やその他の人達からは表情豊かだったリリアーナがある日静かな湖のように変わり果てていたと言われるようになった。
それから、数日の時が過ぎた後
変わらずリリアーナは解読を続けていたが…。
(終盤は私の力では解読ができないわ…。)
前世の時から解読する力を身につけており
序盤から中盤までの解読は難なくできたものの
終盤は自分の力では解読できない状態であった。
おそらく、終盤の方に自分が過去に巻き戻ることができた魔法があるかもとリリアーナは思った。
なぜなら、終盤のページは大きな時計のような図面が反時計回りになっていたから。
この魔法が過去に巻き戻ることができる魔法だと確信して解読を試みた。
が、自分では読めない言語があったりなどして
解読が上手くいかない。
解読ができずにふと頭の中で思い浮かんだのは。
魔道士であるイリアス。
そして今日は、イリアスの所へ行く日だと気づく。
(1度、イリアス様に解読を頼んでみようかしら。
よし、ここに解読してほしいと印をつけておこう。)
そう思いながら、付箋を付けておき
ロロナが来るまで椅子に座って解読をしている装いをする。数分後、「リリアーナ様。」と扉の先から聞こえ
「入ってちょうだい。」と返答をした後
ロロナが入ってきた。
いつものように「お嬢様、そろそろイリアス様の所へ行くお時間です。」と言われ
リリアーナは椅子から立ち上がり「準備を手伝ってくれる?」といってクローゼットの前に来て今日はどんな服にするか決める。黒いリボンの着いた白いブラウスに
紺色の膝まで長さのあるスカートを選びそれに合わせたストラップパンプスを選ぶ。
着ていた服をロロナに渡してから、ブラウスとスカートに着替えてから、レースソックスを履きストラップパンプスを履く。
それからドレッサーの目の前にある椅子に座り
ロロナに髪の毛を整えつつもハーフアップにしてもらう。
全ての準備が終わり、リリアーナは鞄の中にいつもの物を詰め込んだ後ロロナに見届けられた後
侯爵邸から外に出ていつもの馬車に乗り込んだ。
しばし時間が経った後、馬車の窓から塔が見えてから
自分の座っている先の座席に置いてある鞄を手に取り
馬車が停車するのを待つ。
ピタリと馬車が止まるのを感じれば御者の人が
馬車の扉を開いてリリアーナに手を差し伸べ
御者の手を引かれながら馬車を降りた後は同じように
「いってらっしゃいませ。」と微笑んで自分を見送ってくれた御者が馬車を走らせるまでリリアーナは見届け
馬車が走っていった後、リリアーナはいつものように
魔法塔の扉を数回ノックしてから扉が開いた後、
ひとひらの光った蝶がイリアスの元へまで導かれた。
階段を上がり、大きな扉の前に立ち
ノックをしながら「イリアス様、私が来ました。」と言ってから「入ってこい。」と扉の先から聞こえて
リリアーナは扉を開く。
変わらない空間の中に、今回は不思議なことに
イリアスに客人がいたようだった。
緑色のふんわりとした髪に黄色の瞳をして
メガネをかけていながらも黒い服を身に纏うイリアスとは対照的に白い白衣を身に纏っていた。
「おやぁ、君がリリアーナちゃんだね?」
と容姿とは全く違う不思議とした雰囲気で話しかけられて戸惑ってしまい言葉が出なくなるリリアーナ。
それ見たイリアスはため息をつきながら
「やめろ。アレット。突然話しかけたからリリアーナが困っているだろう。まずは名前を言え。」と言う。
「ごめんごめん。」
と言った後、リリアーナの前に立って軽く頭を下げる。
それから自分の名前を言う。
「僕の名前は、イリアスが言った通りアレットていうんだ。イリアスとはまあ…親友みたいな立ち位置かな?」
「俺は親友になったつもりはないぞ。」
「ええ…?ひどいなぁ。」としくしくと泣くアレット。
やれやれと呆れながらイリアスはリリアーナに視線を向けて口を開いた。
「こんな奴だが、アレットは優秀な魔法医療士だ。」
そう言われても、そんな彼が魔法塔にいるのか分からなかった。
「こんな奴とはなんだよぉ…」
と苦言を発していたが、イリアスは華麗にスルーし
「少し私に諸事情があってな…しばらくの間リリアーナは私ではなくアレットに講師を受け持ってもらうこととなった。」
そう言われ
「しばらくの間は、イリアス様は講師は受け持たないということですか…?」と残念そうな声で言う。
その様子にアレットはニヤリと笑みを浮かべて
「リリアーナちゃん、残念そうな顔してるけどぉ?」
「仕方がないだろう?もう一人の知人から息子に治癒魔法を教えて欲しいって頼まれたのだから。」
「僕がその子教えてあげても良かったのに。」
「知人からは絶対に私が教えろと言われたんだ。」
そう2人が話しているのを見ながらも
リリアーナはイリアス様の言っていたことを思い出す。
(治癒魔法を教えると言っていたけれど…
まさか…)
治癒魔法という言葉にふと頭の中であの時の記憶が流れる。今度から治癒魔法を学ぶことになったと言っていた
濃い赤紫色系統の髪と瞳をした少年が思い浮かぶ。
そうこう考えているとふと、扉が思い切り開かれ
ビクリとするリリアーナ。
扉の先にいたのは
濃い赤紫色系統の髪と瞳を持つ
フィルア公爵家次男の
ネオ・ルト・フィルアだった。
あなたにおすすめの小説
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
ジェリー・ベケットは愛を信じられない
砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。
母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。
それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。
しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。
だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。
学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。
そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。
※世界観はゆるゆる
※ざまぁはちょっぴり
※他サイトにも掲載
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
春の避暑地
朝山みどり
恋愛
ミネルバの婚約者テリウスは、妹フローラと頻繁に顔を合わせるようになり、二人はミネルバの前でも親しげに会話を重ねながら距離を縮めていく。
買い物への付き添いや夜会のダンスなどをきっかけに、二人の仲は次第に深まり、周囲の若者たちも「二人はお似合いだ」と面白がりながら応援するようになる。
その関係は、まるでミネルバの存在を忘れているかのようだった。
やがて両家が集まる席で、テリウスはミネルバとの婚約を解消し、フローラと婚約したいと告げる。
こうして、ミネルバを置き去りにしたまま、テリウスとフローラの関係は周囲の後押しの中で進んでいくのだった。
婚約を失ったミネルバは、家の跡取りの立場も妹に譲ることになり、父の姉ガーベラのいるフォード元伯爵家へ送られる。そこでは理由を詮索されることもなく、ただ静かに休むように受け入れられる。
穏やかな生活の中でミネルバは、自分が思っていた以上に疲れていたことに気づく。伯母に「そのドレスはとても似合う」と言われたことをきっかけに、これまで母や妹の影に隠れていた自分の人生を少しずつ取り戻し始める。
やがて伯母に連れられてローハン元侯爵夫人の茶会に参加すると、ミネルバの美しい筆跡が評価され、令嬢マーガレットに字を教えてほしいと頼まれる。
最初は通いで教えるだけだったが、ローハン夫人は娘が気に入っていることから、住み込みの家庭教師として迎えたいと申し出る。
ミネルバは迷いながらも、過去に縛られない新しい人生を選ぶ決意をする。
この世界は貴族制度が廃止されたばかりです。力のある平民が台頭してきています。 ほかのサイトにも投稿しています。
愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらちん黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】愛してました、たぶん
たろ
恋愛
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
どうやら婚約者の隣は私のものではなくなってしまったようなので、その場所、全てお譲りします。
皇 翼
恋愛
侯爵令嬢という何でも買ってもらえてどんな教育でも施してもらえる恵まれた立場、王太子という立場に恥じない、童話の王子様のように顔の整った婚約者。そして自分自身は最高の教育を施され、侯爵令嬢としてどこに出されても恥ずかしくない教養を身につけていて、顔が綺麗な両親に似たのだろう容姿は綺麗な方だと思う。
完璧……そう、完璧だと思っていた。自身の婚約者が、中庭で公爵令嬢とキスをしているのを見てしまうまでは――。