今世、悪女が消えた世界で

shinonome

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イリアスのスパルタ指導・微笑む顔に隠された顔。

1.

「おい、人が話している間に居眠りをするな。」
とイリアスが1冊の魔導書をネオの頭目掛けて振り下ろした。スパァン!と綺麗な音がリリアーナやアレットの所まで響き渡っていた。
「痛ってぇ!何すんだよ!」
「お前が、居眠りしているのが悪い。」
「なんだとぉ…?!」
とイリアスとネオの喧嘩している光景を遠目で見るリリアーナと愉快そうにしているアレット。

この光景が起こる数時間前
魔導書を片手に持ちながら入ってきたネオ。
リリアーナの姿を見て「ああ!お前!」と言いながら
近づいてきた。
「お前、あの時の!名前は…なんだっけ?」
「…。」
あの時、行ったはずなのに忘れてしまうとは呆れてしまうリリアーナ。仕方ないと思いながら
「リリアーナ・ギーベンラートです。」とまた自分の名前を言えば「ああ!そうだ!」と言って
「リリアーナだったな!
知り合いから、学んでるって言ってたけど
イリアスだったのか!」
「は、はい…。」
「偶然だな!俺もイリアスの所で前も言ったけど治癒魔法を学ぶことになったんだ!」
そう言いながら、自分の片手を無理やりリリアーナの手に握らせる。そうして笑顔で
「これから、よろしくな!」と口にした。
それをリリアーナは苦笑いをしながらも
「こちらこそよろしくお願いします…。」
そう言えば、アレットはニヤニヤとしている様子だったよほど彼のことが面白い人なんだ感じているのだろう。
アレットはともかくイリアスは
とんでもない人を教え子にしてしまったと頭を抱えながらもズカズカと2人の前にやってきては
ネオの手をリリアーナの手から引き離した。
「レディーに許可なく気安く触るのは無作法だぞ。ネオ・ルト・フィルア。」
「え?なんでだよ?イリアス。」
そうネオが言えば、イリアスはネオに向かって強烈な拳骨を食らわした。
「いってぇな!何すんだよ!」
「目上の人間に呼び捨てなど失礼だ。
私のことはイリアスと呼べ
呼び捨てそれ以外の名では許さん。」
「はあ…肩苦しいなぁ。」
と喧騒な雰囲気になっている様子を止めなきゃいけないと思い近づこうとしたリリアーナだが、楽しそうに見ているアレットに「止めなくていいよ。やるだけやらせばいいさ。」と言われてしまった。

そして今。
未だに、最初の時と同じように喧騒な雰囲気になりながらもイリアスはネオに治癒魔法を教えていた。
今は擦り傷などに効果のある治癒魔法をイリアスはスパルタながらにネオに叩き込んでいた。
そしてまた、ネオが居眠りをすればイリアスからの魔導書叩きが繰り出されまた喧騒な空気になる。
2人を見て楽しそうな顔をしつつアレットは、リリアーナと一緒に浮遊魔法の実践をしていた。
前世の記憶があるおかげか、難なく浮遊魔法を習得したリリアーナ。
「すごいねぇ。8歳で習得できるなんて。」
「は、はい、一応飲み込みが早いので。」
それからは、時空巻き戻し魔法の解読をアレットと一緒に試みた。アレットからこれはこういうことだよ。と教わりながらも解読していきながらもふとネオの方を向くリリアーナ。さっきの治癒魔法は習得したのか次の治癒魔法を叩き込まれている様子だった。
(さすが。剣術を極めてるから飲み込みが早いのね。)
そう思っていると。
「…君って、斬新だね。時空巻き戻し魔法の解読をしているなんてさ。」
アレットから不意にそう言われ慌てつつも
「は、はい…。気になっている魔法でしたので。
(言えるはずがない…。自分が巻き戻ることができた魔法かもしれないからと調べているなんて…。)」
本音を笑顔で隠しながらアレットにそう口にするリリアーナ。
しばし、沈黙が流れた後に
アレットは「…ふうん。そうなんだ。」と言った。
「…?」
リリアーナは見逃していなかった。
ニコニコしているアレットが突然真顔になった瞬間を。
無のような感情になった真顔にしばしビクリとしてしまったリリアーナ。
がすぐに、ニコニコとした顔に戻り
「じゃあ、続きをしようか。」と言って魔導書の方を向く。
「は、はい。」そう言ってリリアーナも魔導書の方へ視線を向けて羽根ペンを手に取った。
(一体…どんなことを考えてあのような表情をしたのかしら…。)
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