異世界ワードローブ

韋駄天

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中古屋でワードローブを

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異世界ワードローブ旅行


今俺の前で悠然と存在感を主張しているのはワードローブの中に浮かぶ闇の空間である。そもそも何故こうなったのか。事の顛末を見直そう。

俺は三十一歳独身のもやし男、空野由樹(そらのなおき)だ。
筋トレとかも一応それなりにやり、身体のイメージアップを図ろうとしたが、やはり遺伝的な関係でどれだけ努力してもマッチョにはなれない運命らしいという事が判明した瞬間ほぼ何も運動しなくなった引きこもりである。
それに彼女は。。。話したくない。取り敢えず俺の人生目標がリア充の仲間入りだと言っておこう。
俺は所謂ブラック企業に勤務するしがないサラリーマンだ。毎日残業、僅かながら貰える給料も生活費でカツカツになるような人生と社会の最底辺を歩く人間である。
そんな俺の毎日の楽しみは会社から帰宅後、夜遅くというよりかは朝早くに読書する事だ。
ジャンル問わず、ミステリーから恋愛物、ファンタジーから経済学の本まで取り敢えず何でも読む。
引っ越して来てまだ間もないウチの超貧相な六畳程度のボロアパートにあるベッドの上で寝転がって読む行為が何とも言えない至福の時間である。
まぁ俺の部屋には寝床の他にあるものと言ったら小さな冷蔵庫、電子レンジ、古いテレビに、コンビニ弁当のゴミ専用のゴミ箱だけだが。ちなみにこの俺の新本拠地から三分程のところに俺の三食全てが提供されてるファミ◯がある。
上京してから少し前までは近くに住む親戚の家に泊めてもらっていた。

二日前、そんな俺も今日は中古屋に家具を新調しに来ていた。そこで俺が目にしたのはとても綺麗な装飾の施された赤茶色のワードローブだった。俺は即座に店員さんを呼んだけれど誰もいなかったので、店員さん探しに行き、連れてきて値段を聞いてみた。
「すみません。このワードローブの値段はどれぐらいですかね?」
「この商品になりますと、税込で六万五千百円になります。」
「たっかっっっ!!!」という声は流石に心の内から出さない。これでも一応常識は弁えているのだ。
「あの。。。もう少し安めの商品はないでしょうか?」
「それならこちらの特別価格の品がございますがいかがでしょうか?」
「是非見せてください。」俺は取り敢えず奥の方のコーナーへと店員さんをついていく。
「はいかしこまりました、では奥に」
そこで俺が目にしたのは普通のワードローブだった。値段は、、、まあまあ安めで目立った損傷もなかったので買うことにした。
初めは良い買い物をしたと思ったが、その夜変な音がずっと鳴り止まなくて寝れなかった俺はその音が怖くて怖くてどうすることもできなかった。しかも翌日には早朝会議があって死ぬかと思った。その夜また例の怪音が聞こえて、勇気を振り絞ってワードローブの戸を開いてみた。
俺は動揺が隠せず尻餅を着いた。
まあそりゃあ当然だ。だってワードローブの中に青白く光る円盤があったからだ。


俺は目を細めていたなぜなら急に強い光はキツイから。
そろそろ目も慣れてきた俺の目の前に壮大な景色が広がっていた。
そこにはエメラルドグリーンの高原が広がり神秘的なほど綺麗な世界が存在していた。
空気は都会の物と違ってとても澄んでいたまさに田舎って感じだった。
俺はこの美麗な世界に見とれていた。
でも僕は気をしっかり保たなければいけない。
何故なら俺は明日も会社に行かなきゃならないからだ。
じゃないと首だからな。
俺はひとまず落ち着いて周りを見回した。右を見ても左を見てもただ延々と高原が続いていた。
俺がさっきの光の輪を潜って戻ろうと振り向くと、そこには一本の木が生えていた。
俺はもうどうしようもないと思ったから木に寄っかかった。
その瞬間僕は真っ暗な部屋に放り込まれた。
俺は自分の部屋に戻って来ていた何とも言えない奇妙な経験だった。
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