魔王降臨!勇者を討伐に行ってきます!

韋駄天

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魔王の勧誘

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そして魔王は勇者の抱えているであろう困難を打破するのを手助けし、その後に仲間を連れて挑みに。。。少々語弊があったか。嬲りに行く事を心の内で決めながら犬人族の村へと戻っていった。
「あ、戻ってきましたよ!」
「お、本当だ!ウオマさん、こっちだぜ!あれ?長老さんは何処行ったんで?」
二人が迎えに駆け寄ってくると、アランが不在のラグトの行方を声高にウオマに問う。
別れた、と答えると、衛兵は村長の所へと走っていく。

「で、どうするつもりなんですかウオマさん?このまま旅の続きに向かいますか?」
魔王一行の斥候が自分達の隊長に尋ねる。
「取り敢えずここの用もなくなったし、事態が想像以上に切迫しているって事も分かったし、先を急ぐか!」
魔王がそう宣言すると、二人の仲間はそれぞれその決断を肯定する。

そして、三人組が荷物を集めに村の中へ散っていくと、最初から荷物を持ってきていなかったウオマ(食糧は現地調達、服は霊魂の形態変化で着せ替え可能、武器は霊魂召喚で済む)の所へ人影が近付いて来た。

「あ、あのっ、私も、貴方方の旅に連れて行って貰えないでしょうか!」

いきなり犬人の可愛らしい女性が襲撃してきた。

「。。。」
「。。。」
「てっ、敵襲ーーーっ!!!」
「な、何故ですかーーーっ!?」
二人が無言で見つめ合う。
静謐な沈黙がこの森の一角を満たしているが、その場にはただ音一つ立てずに互いに射抜くような視線を投じ続ける。
そして、何故か事態を進展させるべく、ウオマが救援要請の悲鳴を上げると、獣人は更なる悲鳴を重ねて当然の疑問を投げかける。

「ちゃんと聞いて下さい!仲間にして頂けないでしょうか!」
「・・・・・・成る程成る程。君は俺達の冒険に加わりたいと。」
「はい!その通りです!」
女の子が再度主張し、魔王がその要求を再確認する。
そして犬耳の少女その確認を全肯定すると、

「キャーーーッ!!!助けてーーーッ!!!」
「だから何故そうなるんですかーーー!?」
再三の悲鳴が森の犬人の居住地に響き渡る。
それに応えるようにもう一つの絶叫が大気を震わせる。
まるで大規模な地震があったかのような揺れが二人の人間の喉から発され、周囲の空気をブルブル震えさせる。

そして、当然といいますか、大声に反応して村人達が群がって来た。
「何があったんだ?」
村の人間を代表するように一人の三十路半ばかという男が歩み出て、事情を尋ねる。

「このガキんちょがちょっとしつこいんですが、どうにかなりませんかね」
魔王が心底面倒臭そうにそういうと、村人達と中心の男が少女の方へと視線を向ける。
「何をやっているんだリーナ。旅のお客様に迷惑をかけちゃダメだろう。姪が迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません」
男は姪らしい女の子を叱ると、すぐさま魔王の方へと向き直り、謝罪する。

「でも私は何が何でも森から出ないといけないの!見つけないといけない人が。。。いる!だからお願い!冒険者さん、旅に連れて行って下さい!森の外の世界に!私、役に立ちますから!回復魔法も使えます!」
少女が悲壮さを感じさせる叫び声を響かせると、
「やめなさい!これ以上旅人に迷惑をかけてはいけない!それにこの村の掟は絶対だ!」
若い女性の叔父が静かな怒鳴り声で姪を黙らせると、

「何だ、その掟ってのは?」
部外者のウオマが空気を読まずに口を挟む。
それに観衆がどよめくと、男が自ら返答する。
「この村の者は明確な理由と自己防衛手段がない限り、村、及びフォウン大森林から出てはならない、というものだ。この子にはそのどちらもない。故にこの村に留まらせた反動で貴方様に失礼な発言をしてしまいました。どうぞお許しください」

男がそう言うと、姪と共に頭を下げる。

そして、周囲が沈黙しながら状況を見守る中、魔王の決断はというと、

「そのチビ連れて行ってやろう。但し、条件付きだがな」
驚愕の返答をした。

今の魔王の気になる内心の内容は、
ふっふっふ、遂にパーティーの回復担当を見つけたぜ!
こいつにも資質は十分にあるっぽいから役不足にはならないだろ!
これでフルパーティーだ!
それにこいつの目的とやらも気になるし?
連れて行って利用し、利用されるのも悪くない!
さて、後は保護者の許可が出るかどうかだが、ここはもうゴネ通して引き摺ってでも連れて行こう!

「条件というのは何ですか!?私、何でもします!」
「おいこら!何言ってる!ダメだろう!」
少女がここぞというばかりに食いつくと、叔父が小声で嗜める。

「俺の旅について来い!お前の目的にも付き合ってやるし、色々と教えてやろう!」
「やった!喜んでお供させてください!」
「ちょっと!?大丈夫なんですか旅人さん?」
「何、安心しろ。絶対に悪いようにはしない。お前らの長老ラグトと俺の霊魂に誓ってだ!」
「は!?」
犬人族の家族が魔王に振り回されていると、突然、ある声が集まりの中に響いた。

「その話、詳しく聞かせて貰う」
老人が、またもやそこに立っていた。



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