魔王降臨!勇者を討伐に行ってきます!

韋駄天

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魔王の配下の俊剣攻略

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ウオマが迷い、クレイが百足を蹂躙し、リーナがまだ泡を吹き続けていた頃。
アランは未知との遭遇を果たした。

「嘘つけ!絶対おめぇ喋ってねぇだろ!これじゃあ一人ぼっちで心細くなった末に自分の剣が喋ってる幻聴聞いてただの剣に話しかけているイタい大人に見えるじゃねぇか!お前の・・・・・・いや、俺の所為で俺が社会的に死んじまったじゃねぇか!ここに人がいたら!」
「現実逃避している所悪いが汝、我は真に人の言葉を介している。そして、お前に話しかけた」
「思いっきり俺の理想叩っ斬ってくれたな!?」

実際に周りに人がいたらそもそもこの状況にはなってないので、アランの怒りは筋が通っていない。
しかし、それに構わず、アランに執拗に現実を見せようとしている魔剣も、若干愉快に見えなくもない。

「それは置いといて汝、今迷子であろう?」
「迷子言うな!壮大な冒険の果てに人類未踏の魔境に辿り着き呪いをかけられ仲間の元に戻れなくなった伝説の英雄と言ってくれ!」
「要するに迷子であろう?」
「もう少しオブラートに包めませんかね!?」
「汝の言い方だと誇張しすぎであろう」

魔剣が現状確認をしてアランをはっきりと見下す。
アランの反論には耳を傾けず、二人が途方もない大森林の中で遭難したと言い切る。

「取り敢えず、非常に情けないが、汝と同じように我にも道は分からぬ。」
「凄ぇ言葉を喋る剣だと思ったが、俺と同レベルのにしか役立てないとはな。情けねぇー!結局どうすんだよこの状況!打つ手なしじゃんか!」
「そもそもの責任は汝にあるがな。適当に突っ走ったのは汝であり、我はお主に力を貸し……使われただけなのだ」
「今サラッと責任逃れしようとしたな!?お前も黙って俺を野放しにしていた時点で同罪じゃねぇか!」
「年寄に責任転嫁しようとするとは・・・・・・最近の若者は薄情な事よ・・・・・・」
「ここで年を言い訳にします普通!?」

屁理屈をぶつけ合い自分の所為ではないと責任を押し付けあおうとする二人。
情人がもしこの場景を眺めていたのなら間違いなく卒倒していただろう。
何せ、途轍もない闘気を放つ男に、禍々しくも神々しい妖気を溢れ出させている魔剣がいがみ合っているのだから。

「でどうすんですか?結局文句言いあってもウオマさんらのトコ戻れるわけじゃねぇんだから、お前になんか秘策とかはねぇのかよ?超絶速ぇ俊剣ヴィテェス様なら何とかこの状況打開出来ねぇのか?」

アランの精一杯へりくだろうとして序盤で諦めた懇願を聞くと、

「我には何も出来ぬ。出来るなら汝がやるしかあるまい」
「で、それは何なんだよ?」

魔剣が能力不足を詫び、アランならなんとか状況を変化させられると言う。

「そうさの。我はこの世で最も速き者。故に全てを置きざりにし、どこへでも行ける。それは分かるか?」
「なんかこじつけ感パネェが、まぁよしとしよう。で?」
「そして我の本質にあるのは移動だ。所詮人間なんぞには空間移動の超劣化版の高速移動しか出来ぬ。しかし、我の能力を汝が引き出せたならば、汝は汝の望む場所へと移動出来る。やってみぃ」
「いやいや無理過ぎんだろ!だってアンタみたいに高位な魔剣を俺が扱いきれって・・・・・・そんな化け物染みた芸当為せる奴がこの世にいんのかよ!?」

改めて魔剣の凄まじさを思い知ったアランがそんな神器扱える人間が存在する訳がないと悲痛な否定を叫ぶ。
しかし、それに対する真実はというと、

「・・・・・・実はおるのだ。そんな化け物が」
「嘘だろオイ!?大法螺吹くなよ!?」
「なら教えてやろう。その人物は、あの、今はウオマと名乗っている男だ。」
「は!?」

アランが目に見えて狼狽する。
そんなアランを同胞を見るような優しい雰囲気を醸し出し、明らかな同族歓迎という心が滲み出ている魔剣とアランの様子は、客観的に見るととても微笑ましい。

「いやでもこの魔剣を持ってたんだから確かに説明はつくが・・・・・・いやでもそんなヤベェのかよウオマさんは・・・・・・納得いかないでもないが・・・・・・でも剣の才能特になかったよな?力一杯ぶん回して剣の性能に頼る感じだったし・・・・・・」

アランがブツブツとそう呟いているのを、ヴィテェスが静かに見つめる。
その視線(?)を向けていると、アランが突如地面に刺さったままの魔剣の方へ振り向く。

「ウオマさんってホントにアンタ程の魔剣従えられんのかよ?あの人魔剣の質とかはいいけど技術とか無くね?」
「・・・・・・」

そんな魔王を見知っている人間としては当然の疑問を出すと、魔剣が黙り込む。
まさか霊魂を支配されて逆らえないようになっているとか高位の魔剣としての矜持に置いて死んでも言えない。

「まぁまぁそんな事はいいから我の事を使いこなしてみよ汝!我を振れ!」
「今思いっきりはぐらかされた気がする」

そんな二人の会話が他に生命体が存在しない森の一部に響き渡った。


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