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魔王の勇者討伐後日談
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魔王は勇者を討伐し、そして彼の仇敵を苛む悪意を取り除いた。
晴れて旅を終えた魔王は、故郷(?)に帰ることにしたが、流れで勇者討伐の仲間達と勇者本人がついてくる事になった。
*****
後日。
勇者は魔王一行に同行し、そして魔王が魔族を隔離した孤島を見て回った。
その経験を胸に、今度こそ平等な世界にして魔族も平和に暮らせるような世の中に変えると約束し、帰って行った。
魔族からは当然、恨みや嫌悪、憎悪を向けられる事を予期し、最初はただの人族として成りすまして見物したが、最終的には勇者としての責任を負い、必ず魔族達の為にも国を住みやすくすると言い残した。
リーナは、まだシュムトの下で働いていた母に出会い、一緒に暮らすと言い出した。
二人はその内フォウン大森林の方に顔出しに行くらしいが、先ずは二人が仲を温めてからだろう。
別の日に、リーナが戦闘訓練で男衆に参加し、無類の強さを見せつけた時、あの不死身の魔王陛下がリリーにその日に渡って説教されていたのは、今でも話の種だ。
アランはというと、元聖騎士なだけあって、魔族を蔑視・・・・・・する筈もなく、教会から救出した魔族達とも仲良くやっていた。
それを機に、アランは魔族の平等運動等を行ったりし、時に島に戻って来て愚痴を吐いたりと、彼なりに頑張って聖天教の魔族に対しての遺恨を消そうと尽力していた。
そして、魔王の配下第一号のクレイはというと、魔族達の訓練に混じったり、実力試しをしたりと、最初の数日は戦闘ばっかりだったようだが、シュムトに目をつけられ、今ではシュムトの下で日々上司となった参謀長を追い抜こうと励んでいる。
魔王の配下達、そして一人のおまけについてはそれで終わりだ。
そして、話の焦点は魔王本人へと移るーーー
*****
「ぐわぁぁぁぁぁ~~~!!!もうホント嫌!何故に俺がこんな事せなならんの!?」
「それぐらい言われなくても分かるでしょう?さっさと後始末だけしちゃって下さい。帰りますよ」
「そこは置いてかないで欲しいかな!?」
魔王陛下、またの名を冒険者ウオマが頭を抱え絶叫しながら、やはり魔王制御担当さん、旧魔王軍参謀シュムトが冷徹に返す。
「いやまぁ分かってはいるけどさ!?死んだ筈なのに勝手に復活して好き放題やったから神族に怒られるのは分かってたけど!?でもだからって俺が復活しなかった世界線の並行世界を作れって言われても!?復活前提の魔王討伐の受諾な訳だし仮に俺が復活しちゃいけないってハンデあったら俺最初から勇者撃退してるからね!?俺が復活せずに勇者に倒される世界線なんて元々ある筈ないんですよ!」
「最初に「大人しく勇者にやられるから魔族を死なせないでね!」なんて言って神族の目を外して暴れ回ったのは魔王様じゃないですか」
「だからってこんな面倒なコピペ作業やらせるのはどうかと思う!シュムト、ここはお前に任せて地球で寛いできていい?」
「言語道断です陛下。今度こそ神族と全面戦争になりますよ。面倒は避けたいでしょう?」
「あいあい分かったよやればいいんでしょ!?」
まあ、こんな感じで勇者討伐の事後処理のような事をやっているのである。
シュムトは分身魔法が使えるので、クレイに仕事させているのは分体の一人である。
そんなこんなで今の世界の数週間前、それも魂の中身まで同一の世界を丸ごとを切り取り、別の世界を作り上げ、そこでは魔王が復活しない、という現実を生み出すのだ。
これで少しは神族達との喧嘩が減ればいいが、と考えているシュムトはもう少し悲観的に物事を考えた方がいい。
何せ、この魔王が何もやらかさずに平和を楽しむ等あり得ないからだ。
「まあ別次元の自分が魔王様が復活する事を信じて永遠に待つというのは酷ですけどね」
「そうなんだよ!それをあの神野郎共に訴えたらどう答えたと思う?あいつらまさかの「忠誠を誓う相手を間違えた魔族達の責任だ」とか言ってそのまま帰ってったし!?もうホント信じらんないわ!」
「まぁ、結局は自業自得ですけどね、魔王様の」
「あいあい分かってますよ!」
相変わらず魔王の扱いに長けているシュムトに、魔王が嘆息する。
「こうなったら、この世界創って神族たちに見せたらさっさと偽装工作だけして世界を創り変えるぞ!世界の創造権を貰ったんだ!自由に弄らせて貰う!」
「そんな事して神族達に見つかったら、陛下が自分で責任取ってくださいね。私は巻き込まれたくないので」
「は!お前もやっているのを静観しているだけなら同罪だ!」
「魔王様の舵を取りきれなかったと言えば納得して貰えますので」
「ぐわあああ!その手があったか!」
と、やはり不死身の魔王は相変わらず自由気ままに人生、いや、魔王生を楽しんでいるのであった。
終
晴れて旅を終えた魔王は、故郷(?)に帰ることにしたが、流れで勇者討伐の仲間達と勇者本人がついてくる事になった。
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後日。
勇者は魔王一行に同行し、そして魔王が魔族を隔離した孤島を見て回った。
その経験を胸に、今度こそ平等な世界にして魔族も平和に暮らせるような世の中に変えると約束し、帰って行った。
魔族からは当然、恨みや嫌悪、憎悪を向けられる事を予期し、最初はただの人族として成りすまして見物したが、最終的には勇者としての責任を負い、必ず魔族達の為にも国を住みやすくすると言い残した。
リーナは、まだシュムトの下で働いていた母に出会い、一緒に暮らすと言い出した。
二人はその内フォウン大森林の方に顔出しに行くらしいが、先ずは二人が仲を温めてからだろう。
別の日に、リーナが戦闘訓練で男衆に参加し、無類の強さを見せつけた時、あの不死身の魔王陛下がリリーにその日に渡って説教されていたのは、今でも話の種だ。
アランはというと、元聖騎士なだけあって、魔族を蔑視・・・・・・する筈もなく、教会から救出した魔族達とも仲良くやっていた。
それを機に、アランは魔族の平等運動等を行ったりし、時に島に戻って来て愚痴を吐いたりと、彼なりに頑張って聖天教の魔族に対しての遺恨を消そうと尽力していた。
そして、魔王の配下第一号のクレイはというと、魔族達の訓練に混じったり、実力試しをしたりと、最初の数日は戦闘ばっかりだったようだが、シュムトに目をつけられ、今ではシュムトの下で日々上司となった参謀長を追い抜こうと励んでいる。
魔王の配下達、そして一人のおまけについてはそれで終わりだ。
そして、話の焦点は魔王本人へと移るーーー
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「ぐわぁぁぁぁぁ~~~!!!もうホント嫌!何故に俺がこんな事せなならんの!?」
「それぐらい言われなくても分かるでしょう?さっさと後始末だけしちゃって下さい。帰りますよ」
「そこは置いてかないで欲しいかな!?」
魔王陛下、またの名を冒険者ウオマが頭を抱え絶叫しながら、やはり魔王制御担当さん、旧魔王軍参謀シュムトが冷徹に返す。
「いやまぁ分かってはいるけどさ!?死んだ筈なのに勝手に復活して好き放題やったから神族に怒られるのは分かってたけど!?でもだからって俺が復活しなかった世界線の並行世界を作れって言われても!?復活前提の魔王討伐の受諾な訳だし仮に俺が復活しちゃいけないってハンデあったら俺最初から勇者撃退してるからね!?俺が復活せずに勇者に倒される世界線なんて元々ある筈ないんですよ!」
「最初に「大人しく勇者にやられるから魔族を死なせないでね!」なんて言って神族の目を外して暴れ回ったのは魔王様じゃないですか」
「だからってこんな面倒なコピペ作業やらせるのはどうかと思う!シュムト、ここはお前に任せて地球で寛いできていい?」
「言語道断です陛下。今度こそ神族と全面戦争になりますよ。面倒は避けたいでしょう?」
「あいあい分かったよやればいいんでしょ!?」
まあ、こんな感じで勇者討伐の事後処理のような事をやっているのである。
シュムトは分身魔法が使えるので、クレイに仕事させているのは分体の一人である。
そんなこんなで今の世界の数週間前、それも魂の中身まで同一の世界を丸ごとを切り取り、別の世界を作り上げ、そこでは魔王が復活しない、という現実を生み出すのだ。
これで少しは神族達との喧嘩が減ればいいが、と考えているシュムトはもう少し悲観的に物事を考えた方がいい。
何せ、この魔王が何もやらかさずに平和を楽しむ等あり得ないからだ。
「まあ別次元の自分が魔王様が復活する事を信じて永遠に待つというのは酷ですけどね」
「そうなんだよ!それをあの神野郎共に訴えたらどう答えたと思う?あいつらまさかの「忠誠を誓う相手を間違えた魔族達の責任だ」とか言ってそのまま帰ってったし!?もうホント信じらんないわ!」
「まぁ、結局は自業自得ですけどね、魔王様の」
「あいあい分かってますよ!」
相変わらず魔王の扱いに長けているシュムトに、魔王が嘆息する。
「こうなったら、この世界創って神族たちに見せたらさっさと偽装工作だけして世界を創り変えるぞ!世界の創造権を貰ったんだ!自由に弄らせて貰う!」
「そんな事して神族達に見つかったら、陛下が自分で責任取ってくださいね。私は巻き込まれたくないので」
「は!お前もやっているのを静観しているだけなら同罪だ!」
「魔王様の舵を取りきれなかったと言えば納得して貰えますので」
「ぐわあああ!その手があったか!」
と、やはり不死身の魔王は相変わらず自由気ままに人生、いや、魔王生を楽しんでいるのであった。
終
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