魔王降臨!勇者を討伐に行ってきます!

韋駄天

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魔王の悪霊除霊

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かくして魔王は勇者と共に最近の勇者の不調の原因を探ることになった。

「よし、じゃあ先ずその魔法防護外せ。邪魔」
「は、はい」

物凄い命令口調の魔王陛下に勇者もタジタジ。
それを黙って見ているクレイは一体何を思っているのだろうか。
勇者が自分に常時掛けてある防護魔法を解くと、魔王が霊魂魔法を行使する。
そんな無防備な勇者を青白い光が包むと、ふとその鈍い煌めきが途絶える。

「あ~お前の霊魂に国王と教皇の邪念が合体した感じの怨念がこびり付いてっから剥がすぞ」
「待ってんな物凄い激痛伴いそうな表現は何なんですか!?出来ればもう少し優しく・・・・・・」
「んな悠長にお前の貧弱精神に付き合ってたら世紀のラスボスみたいの降臨して魔王と勇者で共闘する事になんぞ?いいのかそれはお前の価値観的に」
「良くないですね。さっさと剥がしとっちゃってくださぐごぎるべぇ~!?」
「取れたぞ」

魔王の荒療治に悲鳴を上げる勇者。
傍観していたクレイは二人の共闘を見てみたいと思ったりしたが、介入しうる前に話が纏まって終わってしまった。

「ぐごのお"ぉ~~~絶対に~ゆ" る"ざん~っ!」
「成仏せい!」
「ギィヤアァ~~~!」

そして出現した怨霊を即座に霊魂破壊!
輪廻転生すら出来ないレベルの処理を行ったから絶対安全!
不死身の魔王をも脅かす最強の邪神は惜しくも降臨失敗!
奇跡の共闘、起こらず!

「なんか、呆気なかったですね」
「この人とはいつもこんなです」
「世界の理不尽全て詰め込んだような奴だよね」
「存在するだけでこの次元の秩序を乱す異常生物ですね」
「酷い言い様だと思うんですけど!?」

せっかく世界の破滅が関わるような事態を防いだのに仇敵と仲間に揃って超危険人物認定される魔王様。
新たな伝説が生まれる前に元凶を始末したが、結局それを知る人間は自分に対しての警戒を強めただけ。
報われぬ。

「ていうかここで最終決戦みたいなのは出来なかったのか?もうちょっと平等な戦いが出来た奴」
「お前勇者な~魔王討伐とか言って仲間とか皆連れて襲撃してきた癖に、自分が復讐される側になった途端に正々堂々タイマンで戦えとか馬鹿なの?お前らもパーティーで来た後に軍とかも連れてきて数の暴力で俺を押し潰しておいて自分は四人相手に卑怯だとか抜かすのか?正義の勇者様はホント偉いお人だな」
「ごもっともですすみませんでした」

完全に世界に甘えた発言に魔王の正論が飛来する。
勇者の華麗な土下座に魔王が少しだけ目を見開いているが、こんな過ぎた話で盛り上がってもしょうがない。

「じゃあもう本当にこれで終わりかね?この旅も案外呆気なく終わったというか、特に苦難もなかったな~」
「そうですね、ラスボスも普通に秒でしたし、特にキツイ場面も無かったですね」
「地味に期待裏切ってしまった感がして、罪悪感が湧き上がる!」

遂に終わったという実感を篭らせたセリフを口にし、それを肯定したクレイが最後の強敵の弱さへの拍子抜けぶりを再度言葉にする。

「まあこれで晴れて復讐の旅路も終わったし、ここらで帰るかな!」
「・・・・・・それは何処に?」
「あ~ついてくるか?」
「・・・・・・僕は」
「帰ってきたぞー!」
「た、ただいまです!」

と、魔王の帰省宣言に敏感に反応するクレイ。
それに同行、するかは空気の読めない出会った瞬間に喋り出す馬鹿に遮られた。
但し、一緒に天使を連れてきたので、一応相殺してやる。

「これでリーナも晴れて冒険者だぜ!しかも最高ランク!どうよウオマさん!」
「お、お使い済ませてきました!」
「よし!じゃあお前らはこれで自由だ!魔王一行解散!」

何故か用事を済ませて来たら解雇されてしまった。
そんな事実に思わず固まる二人。
そして釣られて固まる他の二人。
中心には満面の笑みで仁王立ちする魔王陛下だけ。

「う、ウオマさん!?それは急すぎるでしょう!もうちょっと事の顛末を説明してから言いません!?」
「魔王さん!それはあんまりだと思います!」

すかさず入る二人の文句に、魔王が疑問顔で答える。

「ん?いや旅の目的も果たしたし、これで自由になれたら万々歳かと思ったんだが?」
「「「「そんなわけないでしょう!」」」」

相変わらず人の気持ちを読み取るのだけは下手くそな魔王様。
しかし、実際もうこれ以上やる事がある訳でもないので、事情を説明する。
その現状確認と情報共有を終えると、今度は魔王が配下達に望みを聞く。

「じゃあお前らはどうしたいんだ?俺はさっさと帰りたいんだが」
「貴方をついて行きますよ勿論!」
「俺もアンタをついてくぜ!何もやる事ないしな!」
「わ、私もついていかないと!」
「ぼ、僕も連れてってもらっていいかな?」

クレイとアランがそれぞれついていくと宣言し、リーナもまだついていく必要があるので、同行。
自然と勇者が割り込んで来るが、

「お前は危険な真似したら即殺処分だからな」
「は、はひ!」

と、カッコつかない同行許可を貰ったのだった。


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