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伝説の女性騎士候補生・アナベル (オズワルドside)
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騎士団に戻ったオズワルドは、早速自分の執務室に足を運ぶことにした。
その途中、丁度いいタイミングでカミーユに出くわしたため、歩きながら彼にライトナー子爵家の事を聞いてみる事にしたのだが…。
「なぁ、カミーユ。お前は『ライトナー子爵家』って知ってるか?」
「…へ?えっ?えええええええ!?」
「ちょっ、煩いぞカミーユ。耳元で叫ぶな。なんでそんなに驚いているんだ?」
「い、いやいやいや!まさか、騎士団長がライトナー子爵家に興味を持ってくれるとは、思わなくて…!」
まさか、戦いと訓練しか頭にない殆ど脳筋のオズワルドが他に興味を示してくれたとは思わず、カミーユは大声をあげながら、驚きの表情を見せた。
「と、とうとう団長も知りたくなったんですね!?アナベル・ライトナー嬢のことを!」
「は?アナ、ベル…?」
「はい!アナベル嬢です!」
「……」
前にのめり込むように令嬢の名前を連呼するカミーユが鬱陶しくて、オズワルドは彼の顔を片手で掴んで遠くに追いやった。
「グフゥ!イダイイダイイダイ!な、何掴んでるんですかぁ~!って、ようやく手が外れた…」
「はぁ~。本当にお前は、戦う事以外鬱陶しいな。的確に指示を出して、この国にやってくる敵や魔物を効率的に倒す事は出来ても、それ以外がうるさい。まぁ、事務手続きの締切が差し迫っている時は、まだマシだが」
「え~?だって戦いは生と死の瀬戸際ですよ?効率よく戦略考えて、死なないように先手打って戦うのが、一番いいじゃないですか!それ以外は差し迫った危機なんて、殆どないんですよ!?だから、今は楽しく元気に笑って騒げばいいんですって!暗い感情を持ち続けると、ゆくゆくは心も身体も潰れて、死んじゃいますよ?」
「……」
意味深な発言をしながらニヤリと笑う目の前のお調子者に、やはりイラッときて、オズワルドはまたカミーユの顔を片手で掴んだ。
「イダイー!魔物に噛まれる方が痛いけど、やっぱりこれもイダイー!」
「はあぁ~…本当にギャーギャーと喚く野郎だ。あと、さっさとライトナー子爵家について教えろ」
「はいぃ!緊急時カミーユくんモードをONにするので、離して下さいぃ!」
「…ふん!」
今度は投げ捨てるように手を離され、カミーユは一瞬泣きそうな顔になるが、すぐ切り替えて、アナベル・ライトナーについて話し始めた。
「いったぁ…。もう本当に加減を知らないんですからっ!はあぁ~…。それで、ライトナー子爵家についての話をして欲しいんでしたっけ?言っておきますけど、俺が知っているのは元女性騎士候補生のアナベル・ライトナー嬢だけですよ。団長は女性だからって見向きすらもしてませんでしたし、恋のライバルが一人減って良かったとは思いましたが。とにかく、彼女は団長と同じぐらい強くて俊敏で、とっても素晴らしい候補生でしたよ」
「…ふーん…。元女性騎士候補生か…」
「はい。そうなんです」
カミーユは大きく縦に頷いてから、顎に自分の指を置いた。
「本来、十八歳にならないと騎士にはなれないのですが、アナベル嬢は本物の女性騎士と遜色ないほどの実力を、幼少期から身につけておりまして。二年前に行われた女性騎士のみが参加する剣術大会では、候補生ながら優勝を果たしたりもしていました」
「…は!?候補生なのに、優勝!?」
「はい。もちろん優勝したからには、彼女のファンも多くなりまして。中には、俺のように恋慕う男性も多かったようですが…『自分を負かす事が出来る男』という条件でなければ、求婚すら出来ず…。あ、ちなみに俺はすんでの所で負けまして…」
「はあぁ!?トップクラスに強いお前でさえも負けたのか!?」
唯一自分の背中を預けられると言っても過言ではないカミーユが、女性騎士候補生に負けたという事実に、オズワルドは口をあんぐりと開ける。
その一方で、カミーユは頭を掻きながら眉根を下げ、ハハッと声を出して笑った。
「はい。というか彼女に戦いを申し出たのは、その大会が終わってすぐでしたし。しかも、俺が副騎士団長になったのは一年前ですよ!?…まぁ、その時期にはもう、アナベル嬢は忽然と騎士団から姿を消していましたが…」
「えっ!?あんなに強い候補生が、騎士団から姿を消した…!?…もし彼女がまだ騎士団にいたら、今なら特例で女性騎士にする事も可能だったろうに…」
「そうなんですよね~。というか、やっと女性に興味持ち始めた感じですか、団長?すっごく女嫌いなのに、やっぱりアナベル嬢は特別って事ですか?」
「ち、違う!俺が気になっているのは、アナベル嬢じゃない!アンディ・ライトナーだ!」
いつの間にか、話がずっとアナベルに染まっていた故、オズワルドはハッキリと否定して、本来の目的を口にする。
けれど、オズワルドの言った発言に思うことがあったのか、急にカミーユは悲しそうな顔を浮かべて、こう言い放った。
「…あー、なるほど。団長の真の目的は、彼でしたか…。まぁ、アンディ・ライトナーは実在していた人物である事は確かです。…既に六年前に亡くなってはいますが…」
その途中、丁度いいタイミングでカミーユに出くわしたため、歩きながら彼にライトナー子爵家の事を聞いてみる事にしたのだが…。
「なぁ、カミーユ。お前は『ライトナー子爵家』って知ってるか?」
「…へ?えっ?えええええええ!?」
「ちょっ、煩いぞカミーユ。耳元で叫ぶな。なんでそんなに驚いているんだ?」
「い、いやいやいや!まさか、騎士団長がライトナー子爵家に興味を持ってくれるとは、思わなくて…!」
まさか、戦いと訓練しか頭にない殆ど脳筋のオズワルドが他に興味を示してくれたとは思わず、カミーユは大声をあげながら、驚きの表情を見せた。
「と、とうとう団長も知りたくなったんですね!?アナベル・ライトナー嬢のことを!」
「は?アナ、ベル…?」
「はい!アナベル嬢です!」
「……」
前にのめり込むように令嬢の名前を連呼するカミーユが鬱陶しくて、オズワルドは彼の顔を片手で掴んで遠くに追いやった。
「グフゥ!イダイイダイイダイ!な、何掴んでるんですかぁ~!って、ようやく手が外れた…」
「はぁ~。本当にお前は、戦う事以外鬱陶しいな。的確に指示を出して、この国にやってくる敵や魔物を効率的に倒す事は出来ても、それ以外がうるさい。まぁ、事務手続きの締切が差し迫っている時は、まだマシだが」
「え~?だって戦いは生と死の瀬戸際ですよ?効率よく戦略考えて、死なないように先手打って戦うのが、一番いいじゃないですか!それ以外は差し迫った危機なんて、殆どないんですよ!?だから、今は楽しく元気に笑って騒げばいいんですって!暗い感情を持ち続けると、ゆくゆくは心も身体も潰れて、死んじゃいますよ?」
「……」
意味深な発言をしながらニヤリと笑う目の前のお調子者に、やはりイラッときて、オズワルドはまたカミーユの顔を片手で掴んだ。
「イダイー!魔物に噛まれる方が痛いけど、やっぱりこれもイダイー!」
「はあぁ~…本当にギャーギャーと喚く野郎だ。あと、さっさとライトナー子爵家について教えろ」
「はいぃ!緊急時カミーユくんモードをONにするので、離して下さいぃ!」
「…ふん!」
今度は投げ捨てるように手を離され、カミーユは一瞬泣きそうな顔になるが、すぐ切り替えて、アナベル・ライトナーについて話し始めた。
「いったぁ…。もう本当に加減を知らないんですからっ!はあぁ~…。それで、ライトナー子爵家についての話をして欲しいんでしたっけ?言っておきますけど、俺が知っているのは元女性騎士候補生のアナベル・ライトナー嬢だけですよ。団長は女性だからって見向きすらもしてませんでしたし、恋のライバルが一人減って良かったとは思いましたが。とにかく、彼女は団長と同じぐらい強くて俊敏で、とっても素晴らしい候補生でしたよ」
「…ふーん…。元女性騎士候補生か…」
「はい。そうなんです」
カミーユは大きく縦に頷いてから、顎に自分の指を置いた。
「本来、十八歳にならないと騎士にはなれないのですが、アナベル嬢は本物の女性騎士と遜色ないほどの実力を、幼少期から身につけておりまして。二年前に行われた女性騎士のみが参加する剣術大会では、候補生ながら優勝を果たしたりもしていました」
「…は!?候補生なのに、優勝!?」
「はい。もちろん優勝したからには、彼女のファンも多くなりまして。中には、俺のように恋慕う男性も多かったようですが…『自分を負かす事が出来る男』という条件でなければ、求婚すら出来ず…。あ、ちなみに俺はすんでの所で負けまして…」
「はあぁ!?トップクラスに強いお前でさえも負けたのか!?」
唯一自分の背中を預けられると言っても過言ではないカミーユが、女性騎士候補生に負けたという事実に、オズワルドは口をあんぐりと開ける。
その一方で、カミーユは頭を掻きながら眉根を下げ、ハハッと声を出して笑った。
「はい。というか彼女に戦いを申し出たのは、その大会が終わってすぐでしたし。しかも、俺が副騎士団長になったのは一年前ですよ!?…まぁ、その時期にはもう、アナベル嬢は忽然と騎士団から姿を消していましたが…」
「えっ!?あんなに強い候補生が、騎士団から姿を消した…!?…もし彼女がまだ騎士団にいたら、今なら特例で女性騎士にする事も可能だったろうに…」
「そうなんですよね~。というか、やっと女性に興味持ち始めた感じですか、団長?すっごく女嫌いなのに、やっぱりアナベル嬢は特別って事ですか?」
「ち、違う!俺が気になっているのは、アナベル嬢じゃない!アンディ・ライトナーだ!」
いつの間にか、話がずっとアナベルに染まっていた故、オズワルドはハッキリと否定して、本来の目的を口にする。
けれど、オズワルドの言った発言に思うことがあったのか、急にカミーユは悲しそうな顔を浮かべて、こう言い放った。
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