眠れる森のホムンクルス

鼻眼鏡26号

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グルス王国編

グルス王国 1

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「おお~おっきな森……ってまだ王国着かんのかい!」

「……遠かったって事でとりあえず納得してくれ。まだちょっとだけ説明が終わってなかったらしい。」

「んなもん前回で全部話せや!!」

「まぁこの森さえ抜ければ王国はもうすぐだ。」

 ユイトとホムは森では車を使えないため歩いて森を抜ける。

「んで、説明しときたいことってなんですか?」

「ああ、ホムの身体を構築した時にちょっといじって通常より頑丈にしたから慣れておいて欲しいんだ。国に着いた時に破壊神なんて名前つけられたく無いし。」

「いやん…身体弄るとかエッチ。」

 ホムは自身の体を包むかのように反応するがユイトは冷たい目線だった。

 ガサガサッ

 その時草むらが揺れてそこから飛び出す影はユイト達の前に現れる。
 この森には魔獣が存在しよく初心者冒険者もこの森で腕を磨くが、稀に冒険者が無惨に殺される事が起きる。
 それは、稀に姿を表す大型魔獣によるものである。普段は現れる事はなくその気分次第で現れ冒険者を殺して巣に戻るとされる。
 そしてユイトは知っていてもホムは知らず警戒していなかった。そして姿を表した魔獣は。

「か…かわいいーー!!」

 小動物で耳が長く世間的に言えばウサギという生物だった。
 しかし、そのウサギはどこかおかしな感じがしていた。ホムはすぐに近づき抱きしめられるほどウサギは動いていなかった。
 そしてユイトは口を開く。

「うさぎが可愛いのは分かったが、そいつは餌だぞ。」

「え?」

 ホムの言葉と同時に後ろから現れた人の2倍近くはあるだろうカエルのような化け物が大きく口を開けていた。

「どわあぁぁぁ!!」

 化け物が大きな口を閉じる一瞬でホムはとりあえず避けることに成功した。その際抱きしめていたウサギは化け物の口の中に入って行った。
 グチャグチャと咀嚼音にホムは心底避けれてよかったと思う。

「な…な…何なの!この気持ち悪い化け物!」

「こいつは魔獣の大型で名前が付くほどの力を持ってない中途半端な魔獣だな。大した事ないからさっさと倒して先進むぞ。」

「えええ!こんな化け物倒せる訳ないでしょ!さっきの見たでしょ!口の中に入ったらジ・エンドよ!」

「えーと、名前はないが多くの新人冒険者を殺めてるルーキーキラーらしい。ホムの力なら何とかなるぞ。」

 ユイトはいつのまにか出していた魔獣の本を音読する。

「いやユイトが倒してよ!!私戦いなんかした事ないし!!」

「大丈夫大丈夫ホムは強いから。」

「無理無理無理!!こいつ気持ち悪い!だからユイトがーーー「グオオオオ!!」うるさい!!」

 嫌がり大声をあげるホムに狙いを定めたカエルの化け物は再び大きな口を開けて丸呑みしようとするが、大声にキレたホムの拳がカエルの顎に当たりその巨体が持ち上がり空に飛び星となった。

「え?」

「だから言ったろ身体を弄って通常より頑丈にしたって。その力に慣れとけよ、例えば街中でハイタッチなんてしたら相手の腕もげるから。」

「いやいやいや!!やり過ぎでしょ!スーパーパワーすぎるでしょパワーインフレどうなんってんの!!」

「安心しろそれでギリS級の一つ星ほどの力だから。世の中には上には上が居るんだよ。魔力が無い限りそれで補うしか無いんだ。」

「ええ~この作品って俺強えぇぇ系統じゃ無いの?上には上が居るタイプの友情努力勝利系統なの?」

「じゃなきゃ作品がインフレ起こして敵が居なくなったりしたら白けるだろ。一騎打ちで魔王が勇者に即死魔法で一撃だったら盛り上がらないだろ。」

「じゃあ魔力を習得したらもっと強くなるわけね。」

「それだけじゃ足りないけどな。経験とか技とか覚えるべきものは沢山ある。まぁそれは道中教えてやるよ。生かすも殺すも自分次第だ。」

 その後2人は道中に何度か魔獣に会いそいつらを全部ホムにぶちのめさせようやくグルス王国の関所に到着した。

「関所はどこの国もあって基本は身分を証明できるもんがあればほぼ素通りだ。魔力分析で変身の魔法があっても探知されるが俺らは魔力そのものがないから変装してもバレないってわけ。」

 ユイトは説明しながら変身マスクとウィッグ被り別人の顔となっていた。

「うう~暑い、汗がたくさん流れる~。気持ち悪いぃ~。」

 文句ばっかり言いながらホムはマスクを被る。

「と言うか私被らなくて良くない?もともと顔バレしてるわけじゃ無いんだし意味なく無い?」

「これからこの国の王さま殺す時は素顔に決まってるだろ。マスクしながら倒せると訳ないだろうが。」

「うへ~暑い~」

 色々あってユイトが作っていた偽造の冒険者カードで無事入国出来た2人。
 目の前に広がるのは当たり一面がいい匂いしかしないグルメの国と言うに相応しい場所であった。簡易テントを張って料亭を出すところもあれば店をしっかりと構えた料亭もあり観光客や冒険者達で賑わっていた。

「まずは何食べ「メシだーー!!」はぁ…」

 入ってからホムは五感をフル活用し自身が最も食べたいと思ってる場所に走る。ユイトはやれやれとその後を追いかける。
 ホムの入った店はさまざまな国の料理をバイキング形式で食べる料亭。食料が豊富に取れ物価の安いため料金設定もお手頃価格なのが特徴だ。
 ユイトが到着した頃にはホムは机にいっぱいの料理を並べ囲まれていた。それも皿の上の料理は乱雑に入れられているわけではなくしっかりと綺麗に並べられてどれも美味しそうに見えるのだ。
 しかし、ホムは止めどなく皿を積み上げる。その姿は汚らしく口に溜め込むのではなく一皿一皿綺麗にナイフとフォークを使い口に運び上品に食べ進める。
 不思議なのはナイフで切り分けフォークで刺して口に運ぶまではゆっくりなのだが、口を開けて咀嚼する瞬間が見えないのだ。
 彼女は味わってるのかわからない。これは吸い込みなのか、ユイトは目を凝らし食べる瞬間を見る。しかし、彼の鍛えられた目においてもその瞬間は捉えられなかった。
 ユイトは戦慄する。一部とは言えホムは人智を超えた力を有しているのだと。

 まぁ、それはさておきユイトも腹が減っていたので料理を取りに行く。
 料理はさまざま、パンに乗っかった目玉焼きやベーコンが乗っているさながらジ○リ飯の如く見るだけで食欲をそそる品物が並んでいた。
 次々と皿に料理を乗せてそそくさと席に着く。目の前ではホムは沢山の皿を積み上げていく。店員はその皿を片付けて行くが片付ける量より積み上がってく皿の方が早かった。
 それを目の前にユイトはゆっくりと料理にかぶりつく。

「おいしい。」

 その感想だけで十分。長々と語る必要など無い、その一言にどれだけの意味が詰まっているのかが重要だ。
 見た目、匂い、味において全てが完璧。ここの料亭でこのおいしさもっとお高めな店ではどんな料理が出るのだろうとふと考えるが、この店にとって無礼だと思い味に集中する。

「26万8,000ガルドです。」

 食べ放題ではなかったようだ。
 まぁ、金は黄金作って沢山あるから余裕なのだが、今後の食費と食料問題をどうにかしなければと思う。

「美味しかったです!」

「少しは抑えろ。」

「ギャッ」

 ホムの頭にゲンコツを落としこいつにわからせようと思うが意味はないだろう。
 とりあえず次の目的地に向かうとしよう。
 次の目的地はこの街の冒険者ギルドだ。この国の情報が集まる場所として最適な場所だ。
 再び変装マスクでギルド内に入る。
 中は広く正面には大型掲示板に依頼書が沢山貼り付けられている。その紙を持った冒険者は入って左にある受付に持っていき受注料を支払い仲間と旅立つ。
 入って右には酒場のカウンターがあり冒険終わりに一杯やったり冒険者達の情報交換の場となっていた。

 まずはこの国の情勢からーー

「この国の王様ってどこにいるんですか?」

「あ?なんだ嬢ちゃん?」

「いやぁ王様をたお「し…失礼しました~。」おお?」

 ユイトは急いでホムを掴んでギルドの外に出た。

「馬鹿正直に全部話すやつがあるか!!」

「え~回りくどいのめんどくさくない?」

「情報集めはそんなもんだから!…ハァ…もういいや多分ホムは向いてないから、この金でどこか遊びに行っといてくれ。」

「おお!ついに独り立ちですな!」

「ハァ、じゃあ俺は戻るから集合場所はあの宿を取っておくからカサリって名前で取っておく。」

「はーい♪…行ってきまーす!」

「あまり遅くなるなよ!」

 ユイトはホムが見えなくなるまで見送ると再びギルドの中に入っていった。



 ユイトと別れたホムは早速屋台の食べ歩きをしていた。

「ん~美味しいですな。特にこのグルスフルーツ盛り合わせは。」

 皿に乗っけられたただのフルーツ盛り合わせを片手にさまざまな屋台を片っ端から見て食べたいものを激選して歩く。

「おおっあちらは何か盛り上がってますな。どんな美味しいものがあるのやら。」

 ホムの視界の端に捉えた人混みをホムは、人気商品なのかと思い近づき覗こうとしたその瞬間に。
 ホムの目の前に巨大な影が覆う。
 しかし、ホムは神がかった反射でその巨大な影を避けることに成功した。
 そして全力でカッコつけたポーズを取る。
 ちなみに巨大な影の正体はガタイの良い男だった。

「ん?」

 そこでホムは一つの違和感を感じた。先程持っていたはずのグルスフルーツ盛り合わせが手元になかった。先程の神回避を思い出すと、その巨大な影に弾かれてそのまま地面に落ちていることを確認した。

「………」

 その顔は絶望?それとも怒り?混沌とした感情が変化してホムに初めての殺意が芽生えた。

「俺に…俺にあの食材を食わせろ!!」

 暴れる巨漢の男は周りの人間にもお構いなしに暴れそれを取り押さえようとするが、その男は魔力を纏い向かう人間を投げ飛ばす。飛んでいった人間は近くの屋台にぶつかり被害を拡大させていた。

「警備隊か騎士団を早く呼べ!俺らだけじゃ手に負えないぞ!」

 先ほどから簡単に人が飛ばされて疑問に思うことがあるだろう。魔力を持ったハンターが弱すぎると。
 実は国に入る際には魔力を一定数まで抑え込む腕輪を付けられてこの情報端末により現在地から自身の心電図も管理されて異常が発生すればその場に急行するという国の安全対策である。
 男が呼べと言った警備隊と騎士団においては国の安全保持のために魔力を抑えず鎮圧することのできる部隊である。

「あれが…あれが無いと俺は!!」

 巨漢の男は子供のような駄々をこねるがその姿は異常であると一目で分かるほどだった。
 目は血走り涎を垂らし明らかに焦点のあっていない視線で何かに依存していて禁断症状に似ていた。

「うおおおお!!よこせぇぇぇぇ!!」

 巨漢の男は走り出しホムの目の前にまでやってくる。
 誰も止められず巨漢の男がホムに当たり最悪の光景を想像した。
 しかし、現実は違った。

「ふっっっっざけんな!!!」

 ホムは突進する巨漢の男の頭を片手で掴むとピタリと動かなくなった。そして、ホムのか細い腕から血管が浮かび上がり筋肉が膨張しそのまま地面に巨漢の男の頭を叩きつけた。
 地面に振動が走り蜘蛛の巣のように地面に亀裂を入れた。

「う…うそだろ」

「あんなか細い子が…」

「し…信じられん。」

 周りで見ていた人達は驚き目を見開いてホムと巨漢の男を交互に見る。

「ハッ……こ…怖かった~」

 ホムは流石にまずいと思い急にか弱い女の子を装うがかなりの無理があった。
 その時、ガシャガシャと鎧を着た人達が集まってきた。

「ここか!暴れている者が居ると言う場所は!」

 鎧の人達の1番前にいる奴が声を大にして叫び辺りは静まり返る。

「あ…暴れてたのはその人で~私は~その~鎮圧したというか~シバいたというか~」

 ガシャン

 ホムはとりあえずこの場から抜け出そうと言い訳を始めるが、それを無視して鎧を着た人がホムの両腕に手錠を嵌めた。
 この手錠は魔力を持つ者を取り押さえるため魔力を封じ込める力がある。

「ハァ!?なんで私にこんなんつけられなきゃならんの!!暴れてたのはそっちだろ!!」

「やかましい!おおかた貴様がこの暴れている者を力でねじ伏せたのだろう。だが、問題はその者をねじ伏せる力がある事が問題だ!まずは暴行罪の容疑にて貴様を逮捕する。」

「うげっ…めっちゃ早口のくせに割と反論できない事言いやがる。」

「とりあえず連行だ。」

「いやだ~!」

 勢いで行動するのは控えましょう。
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