異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

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第一章 遥か遠き理想郷

その1 人類は神と出逢う

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 俺は息を荒くして走る。
 目指すは学園の女神、芽ヶ野めがの ひとみとのデートの待ち合わせ場所。
 彼女は C カップ、俺の理想とするおっぱいを持つ女だ。
 俺の名は猿渡さるわたる 朱鷺雄ときお、どこにでもいる平凡な男子高校生だ。
 
 学園の女神を狙う男は多い、だがその悉くことごとくが撃沈している。
 ある陽気な男は暗い顔をしてガタガタ震えるだけの陰キャラになり、またあるものは学園に来なくなった。
 
 俺が彼女に告白するとき、俺の友人はそれを止めた『あの女はやめとけ』と。
 だが俺の情熱はその時点で止まることはない。
 なぜなら彼女のおっぱいは、俺が知りうるあらゆるものの中で最上であるからだ。
 まさに神おっぱい!

 俺は美術部員だ、いや芸術部員と言った方がいい。
 中学生の時、俺は理想の Bカップと出会った。
 俺の情熱はとどまることを知らず、制服の上から、体操着姿から、スクール水着姿から想像されるその女のおっぱいを創っていた、石膏像で。
 その石膏像を手にその女に告白した時、その時の彼女の顔を俺は忘れることができない。
 この上なく汚らわしいものを見る目、ゴミムシですらもう少しましな視線を受けたかもしれない。
 翌日から俺はおっぱい変態と呼ばれるようになった。

 全く芸術を知らない無知蒙昧むちもうまいな者どもめ!
 彼女の胸は最高であったが、その心は俺とは決して相容れぬものであった。
 まあいい、芸術を理解できる者は真の天才のみだ。
 だが俺とて男である。
 心を通じ合える理想のおっぱいを持ったパートナーが欲しい。
 そして彼女は、瞳は、俺の理想の Cカップを持っている。
 後は俺の良き理解者であらんことを願うのみだ。
 そして、そのためならば、俺は何でもする、どんな困難でも打ち破ってみせる!

 そして俺は今を走る。
 右手に抱える大きなバッグには彼女の胸をかたどった胸像が入っている。
 今度は俺は 気合を入れた。
 石膏像ではない!  大理石像だ!
 裏社会にある裸婦芸術祭、学生の部で大賞を取った逸品だ。
 やはり俺の芸術は 理解できる人の間では理解されるものだ。
 まあ裏といっても、ネットで検索すれば簡単に見つかり、誰でも応募できるものなんだけどね。

 約束の時間まで残り2時間、余裕は大いにある。
 何かトラブルさえ起きなければ。

 キキ―!

 大きなブレーキ音がして、俺が振り向くと黒豹のマークが入ったトラックが突っ込んできた。
 かわせる!
 猿渡家は 代々武術の家系である。
 父は俺に家を継がそうとは思っていなかった。
 だが男子のたしなみとして、武芸を身につけておけと俺を鍛えた。
 1日1時間、それだけでいい、そう言って父は 俺を鍛え続けたのである。
 
 そして鍛え上げられた俺の反射神経はこの程度のトラックなど十分に見切れる。
 だが、俺は見てしまった、そのトラックに一緒に巻き込まれようとする少女の姿を。
 俺はおっぱいが好きだ。
 そして未来の可能性のあるおっぱいの芽を潰すことはできない。
 俺の体は少女を助けるために動いた。
 大きな衝撃を感じ、視界が暗転した。 

 ◇◇◇◇◇

 気が付くと俺は暗闇の中、草の上を転がっていた。
 視界は暗い。
 やばい目をやられたのか!
 だがそうではなかった。
 俺が次に見たのは満天の星。
 都会では見ることのできなくなった光のシャワーである。
 いつの間に夜になったのだろう。

 「うぺうぽうぱぱ、うぽぽぽぽ!」

 理性を感じない音を聞いた。
 目の前の暗がりで少女が何かの影に襲われてるではないか!
 
 「おいこらちょっとあんた!」

 俺は影の肩を掴む。
 影が振り向き、俺はその顔を見てぎょっとした。
 人ではない獣、ネコ科のように縦長の光彩、ぴくぴくと動く毛むくじゃらの耳、斑点の付いた顔。
 そうそれは、豹の顔であった。
 
 「うぺぽぽうぱあ!」

 少女が叫ぶ、少女に襲いかかるそれが犯罪者であろうが 猛獣であろうが問題はない。
 この時、男がとるべき行動はただ一つである。
 そうドロップキックだ。

 どげしっ!

 俺の渾身のドロップキックが炸裂する。
 敵は吹っ飛び「ギシャー」と声を上げて俺を威嚇する。
 そしてそいつは俺に跳び掛かってきた。

 だがそんなことで臆する俺ではない。
 俺は怪しい影の手を掴むとそのまま背負い投げた。
 
 どんっ!

 運が良かったなここがコンクリートだったら お前の骨は折れていた。
  
 「ギシャー」

 そいつは再び唸り声を上げる。
 懲りない奴だ、気づいていないのだろうか、まだ俺は貴様の手を離してはいないぞ。

 どんっ!
 どんっ!
 どんっ!
 
 俺の投げが三度そいつを地面にたたきつける。 

 べきょっ!

 4回目は地面が悪かった、そこには岩があったのだ。
 哀れなそいつは、くぐもった声を上げるとそれっきり動かなくなった。
 
 「ぴぽぽぽふへふ」

 少女が俺に抱きついてくる。
 
 「これからは 夜道に気をつけなお嬢ちゃん」

 そう言ったその時、月の光が少女の姿を浮かび上がらせた。
 少女は全裸だった。
 そのおっぱいは俺の理想からほど遠かった。

 待て俺、落ち着け俺、ひょっとしたら俺は今、痴女のプレイ中に侵入してしまったのではないか!

 いやそれよりも、俺には目的があったはずだ、あの麗しの女神とのデートの待ち合わせに早く行かなくては。
 だが、ここはどこだろう?
 月明かりに照らされた周囲は見渡す限りの草原で、ここが日本ではないということを俺に思い起こさせた。
 これってひょっとして、俺は先ほど叩きつけた悪辣漢を見る。
 顔は豹だ。
 だが体つきが違う、毛も薄めだ。
 そして指が長く肉球が小さい。
 ぷにぷに、という感触は楽しめなかった。
 俺は顎の下に手をかけマスクの境目があるのではないかと弄る。
 だが俺の期待は外れた。
 こいつはマスクをかぶっているのではなく、本当に豹の顔をしているのだ。
 ああ、女神よ! 君のおっぱいは遥か時空の彼方!
 俺は気づいてしまった、ここはひょっとして、ひょっとしなくても異世界だ。

 全裸の少女が俺の手を引っ張る。
 ついて来いと言っているのだろう。
 
 「うぺぽぽえ」

 言葉は全くわからない。
 まあ他にあてもないしとりあえず人のいるところに行くか。
 俺は周囲を見渡し、俺の魂のこもった芸術作品の入ったバックを見つけると、それを肩にかけ少女に続いて歩き出した。
 少女は、豹顔の男を体躯に似合わず引き擦っていた。
 しょうがないので、俺が手を貸してやった。 
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