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第一章 遥か遠き理想郷
その4 人類は勝利する
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俺の知識の限り、ここは過去のアフリカの可能性が高い。
それは原生動物や植生を見ても明らかだ。
だから今ここで人類が敗北し、場合によっては滅亡してしまうと、俺のいた歴史に影響があるかもしれない。
それは、俺の理想とするおっぱいが出現しないことと同義である。
その事態だけは避けねばならない。
「ルー」
俺は少女に声をかける。
名前は俺がつけた。
名前と言う概念もこいつらにはなかったのだ。
今では29人全員が名前を持っている。
「ルー! がるー殺す! 草、干す、いっぱい、丸める!」
「るー、わかった! がるーころす、くさ、たいようあびる。いっぱい、ひも、まるめる」
ルーは、この中で一番俺の言葉を理解している。
ルーは、身振りと言葉とで、仲間に俺の指示を伝える。
1週間で、枯れ草の束が大量に出来上がった。
獣人は夜行性である。
昼間は寝ていることが多い。
奴らの群れは30体程度である。
だが奴らの習性として、体を寄せ合って寝ることが多いことを俺は観察して知っていた。
俺たちのアドバンテージは道具を持っていることだ。
道具といっても、磨製石器と、火と、紐である。
植物の蔓を割いて作ったものであるがなかなか頑丈で非常に便利だ。
これで色々な道具が作れる。
例えば担架。
二本の木の枝の間をこの紐で巻けば、担架の完成だ。
1人が持てる枯れ草の束は2つか3つだが、これを使えば二人で20は持てる。
そして俺たちは、日中にえっほえっほと枯れ草を運ぶ。
獣人達の寝床を遠巻きに見ながら、その枯れ草を円状に並べる。
枯れ草で包囲する形だ。
それに気づいている個体もあるが、眠たさが勝るのであろうか、それとも人類など狩る対象としてしか見ていないのだろうか、こちらを気に留める様子もない。
だが俺たちは、いや俺の知恵を授けた人類は、もはやその対象でないことを、獣人達は思い知るだろう。
俺たちは各所に散会し、そして一斉に火を取り出す。
紐を手に入れたことで俺達が手に入れた道具は担架だけではなかった。
火縄だ。
これを使えば、一定時間、種火を持ち運ぶことができる。
何度も練習させて、使い方はみんな熟知している。
これが人類最初の火計となるのだ。
煙の匂いに気づいた獣人が周りを起こし始める。
だがもう遅いよ、生の草ならいざ知らず、枯れ草の火の回りは、お前らの想像を超える。
数分もたたず辺りは火の海になった。
俺はあえて、枯れ草の少ない場所を作っておいた。
それを見つけた獣人達がそこへ殺到するように。
当然だがそれは罠だ。
そこには人類の手練れが配置されている。
手練れとは強い者ではない。
投げる、すなわち投擲の上手い者だ。
彼らが投げるのは、人の頭ほどの石を結びつけて作ったボーラ。
俺が最初に鳥を落とすのに作った道具だ。
投げ方もちゃんと練習させた。
砲丸投げの要領で体を回転させて投げる。
ルーはその仲間は運動神経においては現代人をはるかに上回ってると言わざるを得ない。
彼らは1週間程度の短期間でこの投げ方を身につけたのだ。
燃え盛る火の中から飛び出してくる獣人達。
だが彼らを待ち受けていたのは紐と石による身体の拘束であった。
普段なら避けることができたであろう。
だが、火による混乱と煙による臭いと視界の欠如、これらが彼らの能力を大きく低下させていた。
俺の出る幕はなかった。
20を超える個体が炎の中で死に絶え、5の個体がその動きを封じられ捕虜となった。
体を縛る縄も、紐から派生した人類の道具である。
「ひー、ひー」
ルーが、高らかに叫ぶ。
「ルー、あれは炎だ。強い火だ」
「おー、ほのおー、ほのおー!」
新しい単語を覚え、ルーが喜びの踊りを踊る。
こうして人類は勝利した。
◇◇◇◇◇
木と紐で作った檻、これも俺がこいつらに教えたものだ。
捕まえた獣人は、 ムーに世話させることにした。
と言っても食べ物と水を与えるだけだが。
俺は獣人に言葉を投げかけてみたが意思の疎通を図れなかった。
うわっ、こいつらの知能低すぎ!
ルーたち人類も決して高いとは言えなかったがこいつらはそれ以下だ。
こうして俺たち人類は安全とサバンナの縄張りを手に入れた。
左手の数字は150を切っていた。
俺がルーたちに教えたい事はたくさんある。
だがそれには日数が足りない。
ここでやっと俺の未来アイテムが役に立つ時が来たのだ。
洞窟の奥には女神の像が飾られている。
俺のバックに入っていた裏裸婦像祭、学生の部で大賞を取った彼女の胸像だ。
「かみさま、それなーに?」
ルーが尋ねてくる。
ルーは俺のことを神と呼ぶ、その単語は最初からルーが、人類が、持っていた単語だ。
「女神の像だ」
俺は答えた。
「めがみー、かみーちがう?」
ルーが再び質問してくる。
「あれは素晴らしいものだ。あれを讃え、あのようになるんだよ」
もちろん、ああいう見事なおっぱいになれと俺は言っているのだ。
「るーなる、めがみなる!」
俺はルーを温かい目で見つめた、大きくなれよ。
そして俺は仕事に取り掛かる。
作るのは粘土を使って作るレリーフと文字だ。
ひらがなだけだが、あいうえおの五十音を粘土板に刻む。
「これは『あ』」
「「「あー」」」
そうやって俺は彼らに文字を教える。
これで文化の伝達ができるであろう。
左手の数字は100を切った。
それは原生動物や植生を見ても明らかだ。
だから今ここで人類が敗北し、場合によっては滅亡してしまうと、俺のいた歴史に影響があるかもしれない。
それは、俺の理想とするおっぱいが出現しないことと同義である。
その事態だけは避けねばならない。
「ルー」
俺は少女に声をかける。
名前は俺がつけた。
名前と言う概念もこいつらにはなかったのだ。
今では29人全員が名前を持っている。
「ルー! がるー殺す! 草、干す、いっぱい、丸める!」
「るー、わかった! がるーころす、くさ、たいようあびる。いっぱい、ひも、まるめる」
ルーは、この中で一番俺の言葉を理解している。
ルーは、身振りと言葉とで、仲間に俺の指示を伝える。
1週間で、枯れ草の束が大量に出来上がった。
獣人は夜行性である。
昼間は寝ていることが多い。
奴らの群れは30体程度である。
だが奴らの習性として、体を寄せ合って寝ることが多いことを俺は観察して知っていた。
俺たちのアドバンテージは道具を持っていることだ。
道具といっても、磨製石器と、火と、紐である。
植物の蔓を割いて作ったものであるがなかなか頑丈で非常に便利だ。
これで色々な道具が作れる。
例えば担架。
二本の木の枝の間をこの紐で巻けば、担架の完成だ。
1人が持てる枯れ草の束は2つか3つだが、これを使えば二人で20は持てる。
そして俺たちは、日中にえっほえっほと枯れ草を運ぶ。
獣人達の寝床を遠巻きに見ながら、その枯れ草を円状に並べる。
枯れ草で包囲する形だ。
それに気づいている個体もあるが、眠たさが勝るのであろうか、それとも人類など狩る対象としてしか見ていないのだろうか、こちらを気に留める様子もない。
だが俺たちは、いや俺の知恵を授けた人類は、もはやその対象でないことを、獣人達は思い知るだろう。
俺たちは各所に散会し、そして一斉に火を取り出す。
紐を手に入れたことで俺達が手に入れた道具は担架だけではなかった。
火縄だ。
これを使えば、一定時間、種火を持ち運ぶことができる。
何度も練習させて、使い方はみんな熟知している。
これが人類最初の火計となるのだ。
煙の匂いに気づいた獣人が周りを起こし始める。
だがもう遅いよ、生の草ならいざ知らず、枯れ草の火の回りは、お前らの想像を超える。
数分もたたず辺りは火の海になった。
俺はあえて、枯れ草の少ない場所を作っておいた。
それを見つけた獣人達がそこへ殺到するように。
当然だがそれは罠だ。
そこには人類の手練れが配置されている。
手練れとは強い者ではない。
投げる、すなわち投擲の上手い者だ。
彼らが投げるのは、人の頭ほどの石を結びつけて作ったボーラ。
俺が最初に鳥を落とすのに作った道具だ。
投げ方もちゃんと練習させた。
砲丸投げの要領で体を回転させて投げる。
ルーはその仲間は運動神経においては現代人をはるかに上回ってると言わざるを得ない。
彼らは1週間程度の短期間でこの投げ方を身につけたのだ。
燃え盛る火の中から飛び出してくる獣人達。
だが彼らを待ち受けていたのは紐と石による身体の拘束であった。
普段なら避けることができたであろう。
だが、火による混乱と煙による臭いと視界の欠如、これらが彼らの能力を大きく低下させていた。
俺の出る幕はなかった。
20を超える個体が炎の中で死に絶え、5の個体がその動きを封じられ捕虜となった。
体を縛る縄も、紐から派生した人類の道具である。
「ひー、ひー」
ルーが、高らかに叫ぶ。
「ルー、あれは炎だ。強い火だ」
「おー、ほのおー、ほのおー!」
新しい単語を覚え、ルーが喜びの踊りを踊る。
こうして人類は勝利した。
◇◇◇◇◇
木と紐で作った檻、これも俺がこいつらに教えたものだ。
捕まえた獣人は、 ムーに世話させることにした。
と言っても食べ物と水を与えるだけだが。
俺は獣人に言葉を投げかけてみたが意思の疎通を図れなかった。
うわっ、こいつらの知能低すぎ!
ルーたち人類も決して高いとは言えなかったがこいつらはそれ以下だ。
こうして俺たち人類は安全とサバンナの縄張りを手に入れた。
左手の数字は150を切っていた。
俺がルーたちに教えたい事はたくさんある。
だがそれには日数が足りない。
ここでやっと俺の未来アイテムが役に立つ時が来たのだ。
洞窟の奥には女神の像が飾られている。
俺のバックに入っていた裏裸婦像祭、学生の部で大賞を取った彼女の胸像だ。
「かみさま、それなーに?」
ルーが尋ねてくる。
ルーは俺のことを神と呼ぶ、その単語は最初からルーが、人類が、持っていた単語だ。
「女神の像だ」
俺は答えた。
「めがみー、かみーちがう?」
ルーが再び質問してくる。
「あれは素晴らしいものだ。あれを讃え、あのようになるんだよ」
もちろん、ああいう見事なおっぱいになれと俺は言っているのだ。
「るーなる、めがみなる!」
俺はルーを温かい目で見つめた、大きくなれよ。
そして俺は仕事に取り掛かる。
作るのは粘土を使って作るレリーフと文字だ。
ひらがなだけだが、あいうえおの五十音を粘土板に刻む。
「これは『あ』」
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そうやって俺は彼らに文字を教える。
これで文化の伝達ができるであろう。
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