異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

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第二章 再び遠き理想郷

その4 やっぱり、仲間は……生臭い!

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 ある日事件が起きた。
 その日はいつもよりか雨が激しかった。
 こんな日は川に近づかない方が良い。
 あの魚人が住んでいる大河はもとより、近くを流れている小さな川にもだ。
 その日の夜は、嵐とも言える天候になった。
 俺は住人たちを神殿に避難させた。
 酒盛りが始まった。

 そんな中、一人の少年が何かを抱えて入ってきた。
 ウナギである、足の生えた。
 
 「かみさま、こいつけがしてる、たすけたい」

 少年はそういった。
 増水した川の流木で怪我をしたのであろう。
 ウナギは 所々に裂傷があった。

 「ここ、ひとのなわばり、ぎょーだめ!」
 
  シリーが拒否する。

 「よい、ゆるす」

 俺は言った。

 「かみさまゆるした! ぎょーいい!」

 うーん、俺の威光ってすごくね!?

 だがウナギの状態は深刻だ。
 このままでは傷が膿んで死んでしまうかもしれない。
 俺はウナギの体を水で洗うように指示をした。
 そして俺はバックの中から未来アイテムを取り出す。
 じゃーん! 消毒用アルコール!
 試供品でもらったやつだ。
 本来は手を洗うものだが、傷口の消毒にも使えるだろう。
 それ ブシュ―っと振りつけると、ウナギは痛みで暴れた。
 
 そういえばこいつら、陸上で息できるのかな。
 肺呼吸? えら呼吸?ウナギだから皮膚呼吸?
 
 「いき、できるか?」

 俺は尋ねてみる。

 「みず、かけて、いき、できる」

 どうやら皮膚呼吸らしい。
 俺は少年に命じて、一晩中水をかけさせた。
 少年の名はパーと言う らしい。
 ウナギの名はハトというらしい。
 うーん、ウナギなのにハト、紛らわしい。 
 数日たつと傷もふさがって元気になってきた。
 こいつら食性は俺達と変わらないようだ。
 肉も食べる魚も食べるパンも食べる。
 試しに酒を飲ませてみたら、見事に酔っ払った。

 「もっと、もっと、さけ、ちょうだい!」

 居候の身で酒をもっとよこせと言ってきやがる。
 仕方ないので、こっそりパーの酒を増量しておいた。
 二人は仲良くそれを分け合っていた。

 ◇◇◇◇◇

 雨季が終わり、俺の左手の数字は300を切った。 
 その間に俺は新しい道具を作っていた。
 車輪付きの荷台である 。
 金属がないので、車軸受けは石で作らざるを得なかった。
 結果は失敗である。
 道もろくに整備されていないので、車軸も車軸受けもすぐにダメになった。
 しょうがないのでハトの移動は輿こしを使う事にした。
 わっせ、わっせ。
 ビールの入った壺も同行である。
 俺たちは再び大河に向かっていた。
 目的の一つは、ハトを魚人達に戻すため。
 そしてもう一つは宴会である。

 大河の川岸に近づくと、先日と同じように魚人が出てきた。

 「ここ、ぎょーのなわばり、ひと、かえれ!」
 「ぴー、あたし、はと、ひとにたすけられた! びーるおいしい!」

 こいつ何を言ってんだ!?
 そんなにビール飲みたいのか!?

 「かみさま、ぎょーとともだちになりにきた! びーるおいしい!」

 シリー、おまえもか!

 「はと、たすけてくれた。ありがとう、うれしい」
 「ともだちのまつり!」

 シリーが持ってきた壺を指して言う。
 そこには、ビールの他、肉や果物があった。
 そして、祭りが始まった。

 「ぎょははは、ごはうー! びーるおいしい!」
 「かみさま! すごい! いっぱいいる!」
 
 祭りは3日間続いた。
 
 「びーる、もうない……」

 魚人はさめざめと泣いた。
 ビールが尽きた時、祭りは終わった。
 ここで俺は取引に出た。

 「ビールは畑から作れる。俺たち、畑いっぱい作りたい。ここ、畑にしていいか?」
 「びーる、つくれる! はたけからつくれる!?」
 「かみさますごい! びーるのつくりかた、おしえた!」

  魚人はそのぬめぬめした手で俺の手を握ってきた。
 
 「かみさま! ぎょー、ひと、ともだち、じめん、ひとのもの、はたけ、いい!」

 本来この川辺は魚人の狩猟場だったのだろう。
 奴らは肉を食う食性がある。
 水を飲みに来た動物を狩っていたのだ。
 だが本来なら、魚だけでも十分暮らしていける。
 俺はハトから、そのことを聞いていた。

 こうして俺たちは新しい耕作地を手に入れた。
 シリーの村の住人は、大麦がパンとビールとなる事を知ると、一心不乱に畑を作り始めた。
 草を刈り、土を掘り、石を取り除き、畑を作る。
 そして大麦の種を蒔いた。
 
 「水路、つくりたい、水の道」

 そして俺は魚人たちに水路の相談をしていた。
 魚人たちは陸上活動に制限がある。
 体が乾けば息が出来なくなるし、長時間歩く事もできない。
 だから、ビールを手に入れるには、人が川辺までビールを持ってくるか、魚人が村まで取りに来るしかない。
 そのためには 、水の道、すなわち水路が必要になる。
 本来は灌漑用なのだが、それは魚人の輸送路ともなるのだ。

 「びーるほしい! みち、つくる! たすける!」

 俺は水路が完成するのは1年間では無理だと思っていた。
 だが魚人たちは水中から大地を削り水路を作ってくれた。
 完成まで3ヶ月しかかからなかった。

 パンとビールの効果すげぇ!
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