異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

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第三章 ここは彼方の理想郷

その9 これは! ピンチだ!

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 ふんふふんふーん。

 「ご機嫌ですね、神様」

 おっと、気が緩んでしまったかな。
 神の威厳を保たねば。

 「ふっ、計画は順調に進んでおるかな?」
 「はい、ガルガーの町もこの半年をかけて町の設備も整ってきましたし、すごい石の家のメーも量産計画は順調と聞いています。ゴムの木と竹の生育も順調です」

 よしよし、この感じなら、最後にゴムを作って、それでスポーツブラが作成できるぞ。
 
 「神様、本日の神託は……」
 「うむ、歯車とピストンを教えよう。回転を上下運動に変える仕組みだ。その集大成である旋盤と、基本となる数学だな」
 
 俺は今、工業化に必要な要素を教えている。
 人力ではあるものの、ギミックで動く機械というものを知れば、工業化や工場の設立が可能だ。
 そろそろ人間の第二の都市を作って、学校の概念も教えるべきだな。
 俺はそう思ってきた時、それは来た。

 「神様! ちょろーが再び侵攻してきました! 戦争です!」

 神殿にヤーが飛び込み、叫んだ。
 はい!?
 ちょ、ちょっと待って、いくら何でも早すぎるだろう。
 前回の侵攻から約9ヶ月。
 俺の左手の数字は、先日100を切ったばかりだ。
 傷ついた兵士の回復や武器や食料の調達にも足りない。
 いや、ひょっとして、トカゲ人は食料が現地調達できるのか!?
 可能性はある、虫のような小動物を直接食べれるのならば、兵站の必要がない。
 その可能性はあるな。

 まあいい、何度来ようと同じ事だ。
 前回の戦いから俺は兵士たちに訓練を施していた。
 単純な身体訓練だけでなく、笛や太鼓で動きを命令する。
 流動的な機動戦術が取れるようになっている。
 
 「敵の位置は?」
 「大河の西支流の北方です。狩りに出ていた、がるーが見つけました」
 「数は?」
 「すごく、いっぱいです!」

 あー、やっぱ学校は必要だな。
 獣人はまだ教育レベルが足りない。
 人類と魚人と獣人の種族間を超えた学園の建設もプランにいれておくか。

 「よし、建設中のガルガーの都市に向かうぞ!」

 建設中とはいえ、都市での籠城は有利だ。
 あの都市には武器だけでなく、食料も水も酒も十分にある。
 それに、俺には秘密兵器があるしな。

 ◇◇◇◇◇

 じゃーん! 秘密兵器その1! 望遠鏡ー!
 ガラスが出来た事でレンズが作れるようになったよ。
 研磨はガラスと同じケイ砂で磨いたよ!
 いずれは、おっぱいメガネっ子も、この世界に登場するよ!

 「さすがです! 神様! この、ぼうえんきょうは相手が近くに見えます!」
 
 見るのはモモ―に任せている。
 俺より目がいいからだ。
 というか、この世界の住人たちって視力が5.0くらいあるんじゃね!?
 というくらいスゴイ。

 「そうか、数は?」
 「3000くらいでしょうか」

 え!?
 こっちは500が精々だ。
 前回と同じ戦法でもちょっとキツイな。
 籠城とゲリラ的ヒット アンド アウェイで消耗させるか。

 「しかし、思ったより距離があるな」

 トカゲ人は、このガルガーの町の目と鼻の先にある大河の西支流ではなく、それよりもっと下流の西支流を渡ったのだ。
 そして、十分な休息を取ったらしい。
 一番の懸念は、俺たちがガルガーの町に入る前に速攻でこの町が攻略される事だった。
 だが、俺たちが第二都市に入っても、トカゲ人の群れは遠く、偵察に出る猶予すらあった。
 まあ、渡河中に弓を射かけられるのを恐れたのだろう。

 「よし、モモ―! ガルガー! 20人程度で威力偵察に出るぞ!」
 「いりょくていさつ?」
 「ちかづいて、弓を射って逃げる。それで相手の正確な数や装備を見る事さ」
 「そうだったのですね! さすがです! 神様!」
 「かみさま、ガルガー、がんばります!」
 「うむ、足の速いがるーを集めよ」
 
 さて、少し早いが秘密兵器その2のお披露目といこうか。

 ◇◇◇◇◇

 俺とモモーは獣人の背に乗ってトカゲ人の群れに近づく。
 敵が弓を放ってきたら散開して逃げる手立てだ。
 なあに、獣人の足は俺を乗せてても時速40km近い。
 疲労すれば、別の獣人の背に乗り換える。
 作戦は完璧だ。

 「神様、その袋には何が入っていますの」

 モモ―が俺の秘密兵器に気付いたようだ。

 「これか?」

 俺は紐の生えた竹筒を取り出す。

 「これはな、大きな音を立てて、相手を驚かすものだ」

 これが俺の秘密兵器その2!

 「ぱぁーん! ってスゴイ音が出るぞ!」

 パァーン! 
 ボスッ

 そう、あんな音が……えっ!?
 俺は望遠鏡を取り出し、トカゲ人の軍団を見た。

 「みんな! にげろー!!」

 俺は大声で叫ぶ。
 獣人たちは、一瞬あっけにとられていたが、ガルガーの「かみさまの、めいれい! にげろー!」との声で一目散に逃げ始めた。
 俺とモモ―も獣人に乗り逃げる。

 「神様! いったい何が……?」

 俺はモモ―の声に答えなかった。
 何が起きたかはわかっていた。
 だが、かはわからない。
 なんで!? どうして!?
 どうしてトカゲ人が黒色火薬ガンパウダーと火縄銃を持っている!?

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