異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

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第三章 ここは彼方の理想郷

その10 これは! 秘密兵器だ!

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 俺たちはガルガーの町に逃げ帰ると、そこから全員でモモ―の町に移動した。
 荷物は最小限の食料と、秘密兵器その3と4を持ってである。
 前回の転移で道の重要性と車輪のヒントを教えておいたおかけで、移動はスムーズに進んだ。
 草を刈って、石をどけて、土をならしただけの道だが、十分に有効だ。
 おそらく、トカゲ人はガルガーの町に入って略奪するだろう。
 トカゲ人と獣人の食性は似ていて肉が主体だ。
 あの町には肉をたっぷり残してある。
 これで数日は時間が稼げるはずだ。
 その時間で、モモ―の町で体制を整える。
 3000の鉄砲隊へのな!

 ◇◇◇◇◇

 「メー! 硫酸と硝酸の在庫はどうだ?」
 「は、はい! 神様! 順調に進んでいます。大壺に各100かめはあります」
 「よろしい。ガラスの器は?」
 「はい、神様が授けてくれた吹き込み法でコップから皿まで幅広く揃っております」
 「よろしい、では布と人を100人ほど集めろ。これから俺が新たな叡智を授けよう」
 「えいち? エッチな事ですか!」

 メーが頬を赤らめる。
 しまった! 焦って難しい言葉を使ってしまった!
 
 「うー、こほん、叡智とは『神より与えられる知恵』の事だ」
 「そうでしたか! いよいよ、その時が来たのですね!」
 「うむ、さあ、化学の時間だ!」

 ◇◇◇◇◇

 数時間後、俺は神殿に戻る。

 「モモ―、ヤー! これからこの町でちょろーを迎撃する。男手を集めよ! 秘密兵器その3とその4を発動するぞ!」
 「さすがです! 神様!」
 「はい、人を集めます。ですが、その秘密兵器その3とその4についてお教え下さい。トカゲ人の銃に対抗出来るものなのですか!?」
 「無論よ! じゃじゃーん!」

 そう言って俺は秘密兵器その3とその4を取り出す。
 それは、袋と鉄スコップだ!

 ◇◇◇◇◇

 「おっぱい! おっぱい!」
 「おっぱい! おっぱい!」
 「いくぞ! おっぱい!」
 「ほいきた! おっぱい!」

 おっぱい……それは魔法の言葉……
 バンザイの意味に使われることもあれば、ソイヤッの掛け声としても使われ、了解ラジャーの意味にも使われる。
 そして、女神を称える言葉でもあるのだ!
 この言葉で人々のモチベーションが上がらないはずがない!

 「神様! 作業は順調です、おっぱい!」
 「よろしい、疲れが溜まった者にパンとビールと休憩を与えよ、おっぱい!」
 「おっぱい!」
 
 こんな感じである。
 秘密兵器その1の望遠鏡は現代とは倍率も品質も低い。
 秘密兵器その2の黒色火薬を竹筒に詰め込んだ ”てつはう” は鎌倉時代の蒙古襲来の時に使われた武器だ。
 大きな音と煙で驚かせるが、至近距離でなければ殺傷力は低い。
 容器も竹だしね。
 だが、秘密兵器その3とその4は違う。
 これらは現代でも現役活躍中で、その品質もさほど変わらない物なのだ。
 その成果は土や砂をスコップで袋に詰め込んだ物。
 即ち、土嚢どのう
 現代でも災害時に使われ、軍隊でも使われているのだ。
 これで町の周りに土塁を築く。
 袋は俺の命令で、この半年で大量に作らせておいたのだ!
 いや、本当は灌漑に続く『農業革命第2弾! 化学肥料!』で穀物を入れるために袋を事前に作らせておいたんだけどね! 
 ちなみに、素材は麦藁むぎわらだ。
 麦藁は服には向かないが、収納袋としては十二分に機能する。
 そして、素材も十二分にあるのだ!
 スコップも理由は同じだ、開墾に非常に有効だからだ。
 だが、軍隊に採用されるだけあって、その洗練されたフォルムは土を掘るのに最適なのだ。
 この世界には城壁という概念がない。
 中心から建物が広がっていって、その端が町の終わりだ。
 そして、人が増えれば、それは広がっていく。
 侵略がなければ、それで良いと思っていた。
 だが、状況は変わっている。
 火縄銃の攻撃を防ぐには壁が必要だ。

 ◇◇◇◇◇

 「神様、使者が参りました」

 3日が経過し、土塁が完成した頃、ヤーが俺に声を掛けてきた。

 「神殿に通せ」

 そう言って俺はモモ―と神殿に向かう。
 
 使者として来たトカゲ人はトーとカーだった。
 
 「これ、みせにきた」

 トカゲ人が持ってきたのは木の付いた鉄の棒。
 俺の予想通り、火縄銃だ。
 いや、予想とは違うか、これはフリントロック式、火打石を使った銃だ。

 「これ、ゆみよりつよい。おまえたち、かてない、まけ、みとめる」
 「俺がいるから、負けんよ」

 俺はそう言って銃をトカゲ人に返す。

 「たま、かやく、いっぱいある。これ、みんなもってる。まけ、みとめろ」
 「だから、負けんさ」
 「あすまで、まつ。よく、かんがえる」

 そう言って、トカゲ人たちは去っていった。 

 「神様、敵は全員、銃を持っています。戦えば死人が多くでます。それでは、たとえ勝っても意味がありません!」

 ヤーが俺に話しかけてくる。

 「ヤー、神様に向かって、失礼な事を!」
 
 モモ―がヤーに怒りをぶつける。

 「わたくしは、大切な者を守りたいだけです!」
 「そうだな、犠牲者は多く出るだろうな」
 「神様! お分かり頂けましたか! ならば、このヤーが、ちょろーと交渉しましょう。今、ちょろーの手に落ちたガルガーの町を新たなちょろーの縄張りとする線で、ちょろーとの話をまとめてみせます」
 「いや、それにはおよばん、明日、ちょろーと戦って決めよう。勝ち目が薄ければ、ヤーの言う通りにしよう」
 「えっ……!? はい! ありがとうございます」
 「神様……本当にそれでよろしいので?」
 
 俺は悩んでいた。
 この戦いで犠牲者は多く出る。
 爬虫人類レプティリアンの犠牲者が。
 だが、残念な事に、俺にはそれを回避する方法は思いつかなかった。
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