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第0章 プロローグ

プロローグ……そして、いきなり最終回

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さて……どの世代が一番不幸かという結論をこの話ではだすぞい。


ちょ、何おわらせてんのよ!


まあ、いいではないか。


一番不幸なのは俺たち氷河期って決まってるからな。


いや、不幸度で言えば戦前が最大なのじゃ。


えっ? 儂ってそんなに不幸なの?


うむ、どの世代にもメリットデメリットがある。
では、戦前生まれのメリットを並べてみようかの。


経済成長の真っただ中なのと、上の世代が戦争で減ったので、中卒でも就職は楽勝。
お見合いからの結婚が主流で家庭を持つのが当たり前。
※1941年生まれの戦前が49歳になった1990年の調査結果では生涯未婚率は男性5.6%、女性4.3%
※生涯未婚率とは50歳時点で一度も結婚したことのない割合
 


ちなみに、僕の最新の2015年の調査結果は男性で24.2%、女性で14.9%だブー。
※1964年生まれのバブルが51歳の時の調査結果
※出典:厚生労働省 H26年度版厚生労働白書
 

住宅はバブル前なのでローンで簡単に手に入る。
インフレしていったのでローン返済も楽勝。
団地や社宅も用意してもらえた。


バブル絶頂期(1989年)に48歳を迎えたので、40代の給料はウハウハ!
ボーナスが年3回あったよ!
ボーナス支給額がほぼ手取りさ!
※ボーナスには健康保険料と厚生年金保険料が2003年までは、ほぼ掛からなかった。


社会保険料や税金は今と比較して大幅に安く消費税も1989年(48歳)までは無かった。
年金は男ならば定額部分(国民年金の部分)は61歳からになったけど、報酬比例部分(プラスされる厚生年金部分)は60歳からもらえたよ。
何と女性ならば60歳から両方もらえちゃうんだ。
老後もばっちりだね!


ええと……かなり恵まれてない?


はっはっはっユキちゃんや、戦前という名前を忘れておらんかい?


はっ! そうか戦争の被害を受けたんだ……


うむ、デメリットはそこじゃ!
15歳生存率(15歳人口÷出生人口)を計算すると、それは88%じゃ!


9人にひとり以上が死んでる!


うむ、氷河期世代は社会に出たらDEAD or ALIVE状態じゃったが……
戦前は『いきなりDEAD or ALIVE』じゃ!


しかも生まれたてなので、自分で運命を切り開けられない!


そうじゃ! Luc(幸運値)だけで生き残らなくてはならない!
努力とか才能とか以前の問題じゃ。


うわぁ……社会的不安(物理)つよい。
これは不幸だわ……


その代わりメリットにもある通り、社会に出てからは比較的順調じゃ。
真面目に働いていれば、能力が低くてもそれに見合った仕事や伴侶を見つけられ、幸せになれた世代じゃ。


Luc値が高いだけはある。


要するに、おとぎ話のように善良な人が報われた世代なのね。


うむ、15歳まで生き残った戦前生まれは、Luc値が高いのじゃろう。
作者があまり戦前生まれを批判しない理由もここにある。


正直、戦前生まれになりたいとは思えない。
多分死んでる。


ちなみに、さっきの15歳生存率の他の世代はどうなの?


団塊で94%,バブル以降は98%以上じゃ。
バブル以降は社会的不安での死亡率は極めて少ないと思っていい。


そーなんだ


まあ、氷河期世代は将来の不安に怯えながら、何もできず日々を無為に過ごしているという社会的不安があるでな。
ひと思い楽になれた方とどちらが良いかは本人次第じゃ。


じゃが、そんな事もわからないままで死んでいった戦争と戦後直後の混乱の犠牲者は、やはり不幸としか思えんのじゃぞ。


戦争……よくない!


これはもう……痛ましい歴史に……


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