超絶! 悶絶! 料理バトル!

相田 彩太

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第一章 大会前

その3 女の戦い

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 「こんなのにどうやって勝つのぉ~?」

 蘭子が俺たちの心の声を音にした。

 「まずは冷静に分析してからね。映像をもう一度見ながら解説するわ」

 部長がチャプターを戻しながら言う。

 「俺も意見を所々で挟まさせてもらうぜ」
 「いいわよ。陸と私の認識の違いも確認しておきたいわ」

 画面に3人の男性が映し出される。

 「彼らは寿司屋割烹『魚鱗鮨ぎょりんすし』の料理人よ。『ギョギョギョ』の愛称で親しまれているわ。星もひとつ持っている世界的な評価の高い店ね」
 「寿司屋って事は寿司の腕前が高いって事だな」
 「りっくん、当たり前だよ~、お寿司屋さんなんだもの」
 「そうね、高いと思われるわ。いえ、店の評価を見ると、確実に高いわ」
 「そこが、彼らの恐ろしい所だな。誰にも負けない『料理』を持っている。これは強い」
 「そうね。じゃあ、蘭子ちゃん、あなたが戦うとして、先攻を取ったら『料理』『食材』『テーマ』のどれを選ぶ?」
 「もっちろん『料理』だよ! 相手に『料理』を取られて、寿司を指定されたら、かなわないもん」

 蘭子よ、それではきっとお前は負ける。
 俺だったら、選ぶとしたなら……

 「陸は?」
 「『食材』だな」

 俺は答える。

 「さっきのビデオを見れば明らかでしょ、ああなったら俺は勝てません。ちなみに部長は?」
 「私は『テーマ』よ」

 そうきたか! 確かにそれもありだな。

 「みんなバラバラだね~、でもホントにお寿司であの人たちに勝てるの? 特になでちゃんは満足に魚を捌けもしないのに」
 「くっ……」

 部長が痛い所を突かれている。

 「それでも『食材』を指定されるよりましよ。蘭子ちゃんこそ、あんな魚を捌く事ができるって言うの?」
 「鮟鱇あんこうなら捌けるよ~、吊るし切り出来るよ~」
 「そうそう、俺っちが冬に1,2回は鮟鱇あんこうを持ってくるで。お嬢ちゃんは七つ道具もばっちりさね」

 ブビュ!
 俺と部長が吹いた。

 「そ、そ、そう。女子高生の割には経験値高いわね」
 「えへへ~、あたし経験は多いんだ~」

 うん、そこだけ聞くとほのかにエロくて良いぞ。

 「それでも、私は蘭子ちゃんが勝てるとは思わないわ」

 俺も部長と同意見だ。
 はきっと寿司には必殺料理フェイバリットと言える料理を用意している。
 確証はないが、俺の勘がひしひしとそれを告げている。

 「えー、じゃあ勝負しましょ! あたしとなでちゃんで!」

 話が意外な展開に跳んだ。

 「わかったわ。三日後の定休日に勝負しましょう。あたしから少しハンデをあげるわ」
 「またハンデ~、今度はあたしに~、なでちゃん、それはちょっと調子に乗りすぎじゃない」
 「その代わり、蘭子が負けたら……」
 「いいよ~、何でも言う事聞くよ~」

 男どもの目がカッと見開かれる。
 もちろん俺も。
 今、何でもって言ったよね、という心の声も同じだ。

 「そんな事はしないわ。ただ、私が勝ったら大会期間中の指示や方針はあたしに従ってもらうわ。陸にもね」
 「いいよ~」

 蘭さん、俺を巻き込むんじゃない。

 「よろしい、陸は本気で取り組む事だし、私に逆らう事はできないわ。いいわよね!」

 部長が俺に顔を近づけて言う。

 「えっ、えーと」
 「!」
 「……はい」

 蘭子がんばれ、超がんがれ。

 「で、ハンデって何~?」
 「お題は今決めましょ、考える時間をあげるわ。ご家族と相談してもいいわよ」

 蘭子の頭は悪くない。
 だが、部長に比べると劣るのは確かだ。
 時間を与えられるのはありがたいだろう。

 「それに、審査員はそこの魚吉さんとお友達に頼みたいわ。よろしい?」
 「まかせとけ!」

 魚吉さんとその仲間が力強く胸を叩いた。

 「よし、じゃあお題を決めるわよ。蘭子さん『先攻か後攻か好きな方を選びたまえ』」

 やっぱそうくるか。
 ロールプレイってやつだな。

 「じゃあ『料理』を選ぶよ~」
 「それでは、私は『テーマ』を選びますわ」

 そして二人は紙にお題を書き始める。

 「はい、りっくん」
 「ん、陸」

 二人に差し出された紙を開き俺は読み上げる。

 「決まったー! 二つのお題は『料理:和菓子』『テーマ:アメリカン』だー! 和とベイ! 二律背反するようで同盟をも結びそうなこの二つのお題に、大和撫子とカントリーガールはどのような戦いを見せるのだろうか! チャンネルは三日間そのままにしておいてくれ!」

 俺も俺でノリノリだな。
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