超絶! 悶絶! 料理バトル!

相田 彩太

文字の大きさ
23 / 120
第一章 大会前

その9 新生覆面忍者誕生!

しおりを挟む

 「少年が言った通り、違いは同時に口に入るか否かだ」
 「チガウ! チガウ! パインといっしょに口の中に入レルンデス!」
 「ゥンまああ~いっ」

 部長と善子さんが何やら言っているが無視する事にする。

 「だから拙者はパインをかつらむきにし、肉に巻いた。これで同時に口に入る。さすれば結果はご覧の通りだ!」

 覆面忍者の手の先にはからになった皿があった。
 ご覧のありさまだよ……

 「よしっ、じゃあ投票よ!」

 部長が嬉しそうに言う。

 「で、そちらの忍者さんのお名前は?」

 ペンと紙を持った善子さんが問いかける。

 「そうだな……さすらいの忍者料理人『食影しょくかげ』とでも呼んでもらおうか!」

 高らかに覆面忍者、いや食影は言った。

 「はいはい、じゃあふだを配りますよ」

 俺と食影を除く全員に二枚のふだが渡される。

 「じゃあ、投票よ! せーの!」

 部長は盛り上がっているが、俺は既に敗北を感じている。
 俺はパインをかつらむきにして一体化させるアイディアは思いつかなかった。
 フルーツという言葉で巧妙にパインを避け、白瓜を使うという姑息な手も使った。
 愛しのガキどもの好みも利用した。
 だが、食影はそれを真正面から驚きをもたらす料理で打ち破った。
 俺の完敗だ。

 「陸」「陸」「陸」「食影」「陸」「食影」「食影」「食影」「食影」
 「5対4で食影のしょう……りー!?」

 あれ~? 思ったより健闘してる!?
 部長も意外なのか声に精彩を欠いている。

 「うむ! ナイスクックだ! 少年!」

 食影は相変わらずハイテンションだ。

 「なんで? 俺、完敗と思ってたのに?」

 俺は俺に投票してくれた人達を見る。
 4票は魚吉さん達と善子さんだ。

 「食影の料理はうまいが甘ったるいわな」
 「そうそう、酒に合わんとよ」
 「陸の料理は懐かしい感じが良いな」

 あー、魚吉さん達は酒を呑んでるからか。
 酒に合うとなると俺の方が良いんだ。

 「食影の忍者はパインと肉が合体しかしてないのが欠点さね。あたしはパイン酢豚は好きだから、パインも肉も、それが一緒になったのも味わいたかった。それが叶わないのが減点ね。その点、陸ちゃんのは今までにないのがええわ」

 善子さんが俺の料理を褒めてくれる。
 そっか、合体にもデメリットがあるのか。

 「忍者の料理! おもしろかった!」
 「パインをいっぱい食べる事ができました」
 「兄さんの白瓜酢豚は何度も食べてますから」

 うん、愛しのガキどもよ、お前らは物珍しさが良かったのね。

 「純粋にすごかったよ~、とっても早いんだもん」

 蘭子よ止めてくれ。
 お前の『早いんだもん』は俺の桃闇ピンクダークに効く。

 「腕も発想も陸の一枚上手だと思ったわ」

 つまり蘭子と部長は覆面忍者のテクにやられたってことだな。

 「ぎ、ギリギリだったけど負けは負けよ! 陸、これからあなたは痛い中二キャラになってもらうわ!」
 「ぐぬぬ、し、仕方がない。部長に従ってやる」
 「従ってやる?」
 「従います」

 屈辱だ。

 「よしっ、まずは裏手でプチリハーサルよ。みんな5分待っててね」

 そして俺は部長に拉致された。

 ◇◇◇

 5分後。

 「お待たせ! さあ! 料理愛好倶楽部の謎の男の登場よ! じゃじゃーん!」

 部長の口から擬音に続いて、俺は現れる。

 「誰が呼んだか!? 謎の覆面! 俺の名はニンジャコック! 俺のコックを味わいな!」

 顔から火が出そうだ。

 「ふぎゃががぎゃぼあ!」

 魚吉さんたちが腹を抱えて笑っている。

 「はい次!」
 「目にするのは一夜の奇跡! 料理を作る一陣の流星シューティングスター! 自ら名乗るのも烏滸おこがましいが、烏賊イカと読み間違えるなお嬢さん! ニンジャコック、ただいま参上! 俺のコック、見てみるかい!?」

 あー、海美と空楽の視線が痛い。

 「もう一丁!」

 部長め、気楽に言ってくれるな。

 「ニンジャコック! ただいま推参! ちなみに推参とは"およびじゃなくとも参上"って意味だ! 無頼がブライガーって事さ! 俺のコック、召し上がれ!」

 「ぶひゃひゃひゃ! もうダメ! 限界!」

 善子さんが椅子から転げ落ち、床をゴロゴロする。

 「すご~い! たべたーい!」

 蘭子さん!?
 あなたわかって言っているのですか!?
 わかって言っているとしたら、俺の桃闇ピンクダークはリミットブレイクですよ!?
 うーむ、あの顔はきっとわかってない顔だな。
 宙弥と同じ顔してるもん。
 お願いだから、コックの隠語を検索するまねはしてくれるなよ。

 何はともあれ、俺は敗北し、ニンジャコックとして生まれ変わった。
 部長、でもこれ中二キャラというより、ただの変態じゃないかな?
 まあいいや、もうどうにでもなーれ! だ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

処理中です...