超絶! 悶絶! 料理バトル!

相田 彩太

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第四章 準々決勝

その5 愛しのガキどもの世界

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 「次なる戦いは野菜マイスター、ツクルト選手と! 博愛家族忍者、ニンジャコックだー!」

 ツクルトさんと俺が舞台に上がると司会者が叫ぶ。
 俺のプロフィールに貧乏を付けなかったのは評価しよう。
 
 「それでは、イニシアチブを決めていただきましょう!」
 「あー、それやが、もう決まっとんや」

 ツクルトさんが指をくるくるさせながら言う。

 「えっ、それは談合済って事ですか!?」
 「んー、そんなとこかな?」
 「その通り! 俺が先攻で『テーマ』を選ぶ事は先刻決定済よ! フハハハハ!」

 俺はくるりと回転しながら言う。

 「せや、それであたいは後攻で『料理』を選ぶで」

 再びツクルトさんが指をくるくるさせながら言う。

 「ほほう、それで詳細は?」
 「談合で決まったのはここまでや、詳細の内容はこれから紙に書いて決める。駆け引きやな」
 「左様、ここからが真の勝負よ!」

 俺はポーズを取って叫ぶが、ツクルトさんの顔の笑みは消えない、余裕のある笑みだ。
 俺がどんなテーマを選ぼうとも、野菜という自分の得意分野を生かせる料理ならば負けないという自負があるのだろう。
 駆け引きには、もう勝っているつもりなのだろうが、それは間違っている。
 俺は紙にテーマを書き込む。
 駆け引きは続いているのだ、今、この時も!
 
 「さあ、ふたりのお題が集まりました! こ、これは面白い!」

 俺の紙を見た司会者の人が叫ぶ。
 そうだろう、この★超絶! 悶絶! 料理バトル!★っぽいだろう。

 「へぇー、どんな面白いこと書いとんねん」

 ツクルトさんも興味を持つ。
 彼女は普通の料理を書いたのだろう。

 「お題は『テーマ:対戦相手が選んだ『料理』が嫌いな子供を、その料理嫌いを治す』、『料理:野菜サラダ』だー!!」

 会場から『おおー』という事が上がる。

 「お題を受領しまシタ。これより勝負の詳細条件と審査員ヲ選定しマス」

 フードコンピュータが機械合成音を立て、審査員を電光掲示板に表示していく。
 調理時間は1時間だ。

 「あいやシバラク! 調理時間の延長を申請したい。2時間が望みだ!」

 俺は叫ぶ。
 野菜サラダという比較的短時間で作れる料理だから1時間と設定されたのだろう。
 だが、俺のサラダは1時間では作れない。

 「おおっと! 異世界二刀流侍、いやニンジャコックから延長が申請されたぞ! 進行としても、もちろんOKだ!」
 「時間変更を受領しまシタ。調理時間は2時間デス」

 フードコンピュータが設定を変える。
 そして、その間も俺の目は逃さない、観客の動きを。
 フードコンピュータに選ばれた一般審査員が移動を始めているのだ。
 当然、野菜嫌いの愛しのガキどもと、その保護者だ。
 きっと、一般審査員は愛しのガキどもと、野菜嫌いの子供を持つ、その親だろう。
 予想よりちょっと幼いかな? 
 幼稚園児か小学校低学年って所か。
 そして、特別審査員は食育関係や野菜関係者だ。

 「へぇ、ちょっとは考えたやないか。でも、このお題ではあたいの勝ちは揺るがんで。野菜の素晴らしさを布教するのも野菜マイスターの使命やからな」

 自信たっぷりにツクルトさんが言う。
 だが、俺は知っている、彼女はひとりっ子で、独身だ。
 つまり、愛しのガキどもの扱いなら、俺に一日の長がある。

 「愛しのガキどもを舐めるなよ。あいつらは、素直でとっても可愛いが、時に大人の理解を超えた動きをするぞ」
 
 俺はくるりと回転しながら言う。
 そう、重要なのは回転とそれが生み出すエネルギーだ。
 それが、俺の料理の勝利の鍵だ!

 ◇◇◇

 「さあ、始まりました! 野菜サラダ対決! されど、審査員の主役は野菜嫌いの子供たち! 世間の親御さんの悩みを二人は解決出来るのかー!? この勝負について解説のフリージア様に聞いてみましょう!」
 「ハーイ! 大人のアイドルフリージアよ!」

 おっぱいメガ盛り! メガフリージア様!

 「野菜嫌いの子供たちにとって野菜は見たくもないものよ。生理的嫌悪感を生むといっても過言ではないわ。少しずつ慣らしていくしかないけど、その根気と努力が親御さんへの負担ね。でも、大人になれば治る事が大半デース」

 あれ? 意外とまともだ。

 「エロく例えるなら、大人になれば野菜を上の口でも下の……、えっ、なんで黒服の人が! ちょっ、まっ! いやー!」

 うん、今日もフリージア様は平常運転だな。

 ともあれ勝負が始まった。
 俺は、前もって買っておいた、人参、大根、セロリ、パプリカ、アスパラを取り出す。
 ツクルトさんも持参してきた野菜を取り出す。
 人参、大根、セロリ、キュウリ、ジャガイモ、俺と似ている!?

 「おおーっと、ふたりとも会場の素材は使わず、食材を持参しているぞー! これは期待が持てます!」

 やはり来たか!

 「へへー、これは契約農家から手に入れた無農薬有機栽培野菜やで、野菜本来の味と甘さがしっかり出とんのや」

 俺の予想通り、ツクルトさんは特選素材を持ってきた。
 きっと高いんだろうな……。
 
 「ツクルト選手は素晴らしい特選野菜を準備してきました! 対するニンジャコックの野菜は、どんなスゴイ物なのでしょうか!?」

 司会の人が俺にマイクを向けてくる。

 「は? とくとくマートのセール品だけど」

 俺は言う。
 司会の人の動作が一瞬止まり、部長が頭を抱え、蘭子は能天気に『がんばれー』と声援を送っていた。
 
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