超絶! 悶絶! 料理バトル!

相田 彩太

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第四章 準々決勝

その6 氷結の世界

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 「えっ、とくとくマートはあのスポンサーの地域奉仕型スーパーマーケットのとくとくマートですか!?」
 
 うーん、この司会者、さりげなくスポンサーに媚びを売っているぞ。

 「その通り! お求めやすいお値段で! 人と胃袋と家計にやさしい! みんなの食卓へ笑顔をとくとく注ぐ! とくとくマートだ!」

 俺も媚びを売るぜ!

 「ははははは、ぼんには何か作戦があるかと思ったんけど、なんや、コスイ策やなぁ」

 ツクルトさんが笑って言う。
 ふん、何とでも言うがいい、その笑顔が屈する顔を俺の桃闇ピンクダークは期待しているのだ!
 いや違う! 集中しろ、今は妄想よりも手を動かせ、時間が無いのだ! 

 俺はアスパラを電子レンジで温め、野菜をスティック状にカットする。
 そして、それらを持って食肉用移動型大型冷蔵室に入る! 寒い! 
 俺は野菜を置いて、数分でそこを出る。
 
 外に出ると、会場からいい匂いがしていた。
 ジャガイモを茹でる匂いだ。
 ツクルトさんの作業台にはマッシャーが用意されていた。
 そうか、相手はポテトサラダで来るのか。
 ジャガイモは嫌いな子供が少ない野菜だ、むしろ好きな方が多い。
 ポテトサラダをベースにする事で野菜嫌いの愛しのガキども対策をする作戦だな。

 俺はパットに調味液を用意し、背の高いグラスを準備する。
 そして、しばし瞑想し、時を数える。
 時は来た! ここからが忍者の真骨頂よ!

 俺は冷凍庫に再び入り、凍った野菜を持ち出すと調味液に浸ける。
 そして、日輪の野菜を取り外し、それを再び背負う。

 「おおっ、ニンジャコックが怪しい動きをしているぞ! ただのパフォーマンスの飾りだと見られていた背負いが……動き出したー!」

 ふっ、俺の背負いはただの日輪ではない! 
 何と! 扇風機が仕込んであるのだ! 
 というか、畜産用の大型扇風機を野菜で偽装して日輪にしてたんだけどね!
 ありがとう江戸川! ありがとう畜産同好会! ありがとう愛しのガキども! 俺が寝込んでいる間に工作してくれて!

 「これがニンジャコックの『忍法! 神風の術』よ! かーみーかーぜー!」

 電源のスイッチを入れると背中の風車が回り回転がエネルギーを生む!
 風というエネルギーを!
 俺は足を踏ん張り耐える。

 真夏の温かいというか暑い風が凍った野菜を溶かしていく。

 「ニンジャコックの『神風の術!』 それは、足を高速で地面に擦り付け、上昇気流を起こしてスカートをめくる技! ではなく! 巨大扇風機から風を生み出し、冷凍野菜に吹き付けていくー!」

 あの司会者、本当に博識だな!

 「フハハハハ! フハハハハ!」

 俺はキッチンステージを狭しと動き回り、野菜を溶かして回る。

 「みてー、おかあさん、あの忍者さんおもしろーい」

 愛しのガキどもにも好評だぞ!

 「はー、いろんな事してんなー、でも料理はパフォーマンス合戦やないで!」

 ツクルトさんはジャガイモをマッシュし、マヨネーズとあえていく。
 あれ? その他の野菜を混ぜないのか!?

 まあ、俺は作業を続けるしかないのだが。
 残り時間も少ない、急がないと。
 俺は扇風機を下ろし、野菜を調味液から取り出し、新しいパットに載せる。
 そして、背の高いグラスと一緒に冷凍室に入る。

 「ニンジャさん、いなくなちゃった……」

 少し寂しそうな愛しのガキどもの声が聞こえた。
 俺は、冷凍庫からちょっと戻ると、再び扇風機を背負う。

 「フハハハハ! しばしの別れだ愛しのガキどもよ! 拙者は氷の世界に参る!」

 高笑いを残し、俺は再び冷凍室に入る。
 ハンドサインでカメラさんに同行を求めて。

 「ニンジャコックは消えてしまいましたが、わが社の優秀なスタッフは諦めません! 彼を密着取材してみましょう!」

 冷凍室の外からうっすらと司会者の人の声が聞こえる。
 きっと、会場のモニターには俺の後ろにいるカメラさんからの映像が映っているのだろう。

 「溶けただけで終わりと思うな! 再びニンジャの技が冴えわたる! 『忍法! 氷結吹雪!』」
 
 ブオォーン

 再び背中の扇風機が回り、今度はマイナス25度の冷気の風が野菜を再び凍らせていく。
 全冷凍する必要はない、半冷凍でいいのだ。
 寒い! 超寒い!
 重たい扇風機を背負って動いていなければ耐えられんぞ。
 半袖のカメラマンさんは寒さで震えている。

 「ニンジャコックがノーズ・フリージングよろしく冷気の風を叩きつける。時間が加速アクセラレーションしたかのように野菜が再び凍りついていくー! 凍らせて溶かして凍らせる! これでニンジャコックはどんな野菜サラダを作ろうとしているのかー!」

 本っ当に博識だな、あの司会者は!
 そして、カメラマンさんは寒さに耐えられず退出していった。

 ともあれ、俺のサラダは完成した。あとはグラスに盛って出すだけだ。
 懸念点は時間だ、ジャストタイムでなければ、この料理の完成度は下がってしまう。
 俺は時計を見る。

 「いいぞ! 時間ピッタリだ!」

 そして俺は光あふれる世界へ飛び出した。
 あー寒かった。

 
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