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第四章 準々決勝
その10 彼女はピンチな賭けの女王
しおりを挟むうーん、しょうがないな。
作戦は部長に従うと言った以上、それに従うか。
「フハハハハ! 選手のレベルの低さもさるものながら、特別審査員のレベルも低いな! おおっと、俺を評価してくれた飯町先生は別ですよ。いやー、さすがお目が高い」
俺は揉み手をしながら言う。
「はっ、なんだね君は失礼な!」
よし、乗ってきたぞ。
「フハハハハ! ならさっきの体たらくは何だ! 一般審査員のテーブルを見るだけすら出来んのと見える。やはり高尚な身分の方は、我々庶民の気持ちは理解できないようだな。いや、理解しようとしていないのかな?」
「我々を侮辱しているのか!」
「怒る所を見ると図星らしいな。まあ、次のセットの特別審査員は、あの愛しのガキどもよりましな事を願うぜ! フハハハハ!」
俺は笑いながら控え席に向かう。
「そこまでにしなさい、次は私の番よ」
ステージに向かってきた部長と俺はすれ違う。
「ナイスよ、あとは私にまかせなさい」
すれ違いざまに部長は俺に囁いた。
うーん頼もしい。
「おかえりー、りっくんすごかった~」
うん、相変わらず蘭子はエロくていいぞ!
勝負で閉じ込められていた俺の桃闇も元気を取り戻していくぜ!
「ところで蘭子、部長はミンナトさんと何か賭けしてなかったか?」
「してたよ~、りっくんが負けたら、一晩ではなく、三日三晩酒池肉林だったよ~」
えっ、それはご褒美じゃないですかー、やったー!
「坊、楽しいのは1日目までや、2日目で苦しゅうなって、3日目にはお家に帰してって泣くことになるで。うちらも底なしを自負しとんが、ミンナトはんは、ブラックホールや」
俺の肩をポンと叩き、ツクルトさんが言う。
ひょっとして経験があるの!? 三日三晩の!?
そして、あの凛として一番俺の好みのミンナトさんは、そんなキャラだったんですか!? やだー!
「ざーんねん、りっくんが勝ったから、その賭けはなしだよ~」
うーん、残念だ。
「で、蘭子、部長が勝ったらどうなるんだ?」
「えっとね、なでちゃんが勝ったら、なでちゃんが先攻で『料理』を選んで、ミンナトさんは持っている最高の『食材』で勝負する事だったかな」
あれ、あんまり有利とは言えない賭けだな。
でも、だからミンナトさんが受け入れたとも言えるかな。
たとえ賭けに負けても、その条件なら勝ち目がある、というか部長の勝ち目が薄い?
「へー、そりゃあかんわ。どんな料理を選ぼうがミンナトはんの最高等級A5の牛肉に勝てへん。きっとミンナトはんは『食材:牛肉』を選ぶで」
「うちも同じや、何ならもう一度賭けてもええよ」
「奇遇だな。俺もミンナトさんは『食材:牛肉』を選ぶと思っている。賭けにならぬな」
しかし、数分後、俺たちは目を見開いて仰天する事になる。
俺の、俺たちの予想は当たっていた。
ミンナトさんは『食材:牛肉』を選んだ。
「こ、これはもう一度確認します!」
司会者の人も困惑している、あたり前だ。
「お題は『料理:精進料理』と『食材:牛肉』です!!」
何考えてんだ、部長は! だがいいぞ! もっとやれ!
腕や素材で劣った時、俺や部長が勝ち目があるとしたらここしかない!
混沌こそ、俺たちの戦場よ!
部長は魔女よろしく嗤っていた。
もし、俺が悪の幹部だったら、いっしょに踊りたくなるような良い嗤いだった。
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