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第2章 夢からさめても
2-27.忍耐の海 花畑 蜜子
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死んでいく。
大好きなセンパイが死んでいく。
一発目は肩、これはまだいい。
よくないけど、これなら助かるかもって思える。
だけど2発目、これはダメ。
胸、多分だけど肺。
口から何度か血を吐いたもの。
展望台から少し離れた所で蜜子は本をギュっと胸に抱く。
それは凛悟から渡された”本”。
最後のページにはこうある。
”この本は所有者である鈴成凛悟が死亡すると消滅する”
”本”が消えていない間はまだ死んでない。
その感触を確かめながら蜜子は思い出す。
ここまでの道程で聞いた凛悟の作戦を。
『俺の作戦はこうだ。俺を囮にしてダイダロスとエゴルトの刺客をおびき出す。ダイダロスは普通に交渉するか死なない程度の脅ししかしないだろう。だがエゴルトの刺客は殺す気でやってくるはずだ。おそらく狙撃で頭を一瞬で吹き飛ばそうとするだろう』
凛悟の予想は的中している。
それが頼もしくもあり、不安でもある。
『スナイパーは2人体制で行うのが一般的だ。こちらの挙動はリアルタイムで実行側に伝わる。それを利用する。ダイダロスと俺が一緒にいる時に聖痕の偽装シールを剥がす。こうすればターゲットはダイダロスに移る。”祝福”を持ってない方を殺しても無駄だからな』
やっぱりセンパイはスゴイ。
ここまではカンペキ。
『そこで俺はダイダロスをかばって恩を着せお願いするのさ。タイムリープをこの”祝福ゲーム”の最後まで使わないでくれってな。なあに、死んでも気にするな。俺の作戦が成功しようと失敗しようといずれダイダロスはタイムリープを使う。そうすれば俺は生き返る。いや、死なない時間まで巻き戻る』
センパイはそう言ったけど不安だよ。
辛いよ、苦しいよ、もう見ていられないよ。
”本”を抱きしめ蜜子は涙を流す。
凛悟はもう口から血を流してなかった。
死んでるかもしれなかった。
今なら”祝福”を使えば助かるかもしれない。
タイムリープが起きたとしても、それはダイダロスが目の前から消えるだけで、あたしはこのままセンパイの死んだ世界を過ごすのかもしれない。
『これは完全に俺の仮説だが、タイムリープが起きても世界は増えない。パラレルワールドのような世界は生まれない』
『どうして?』
『あの”神”の視点に立って考えるのさ。タイムリープが起きた時、世界が枝分かれしたとすると”祝福”はタイムリープ前と後の両方の世界に存在することになるだろ』
『うん、そうかも』
『そうなると”祝福”の総数が増えてしまう。これはルール上ありえない』
『なるなる』
あの時は納得したけど、やっぱり今でも不安は残る。
だけど、あたしは見守るしかない。
見守るべき。
センパイはあたしを信じてくれたのだから。
センパイの作戦が成立するまで。
不安に押しつぶされるそうな心をグッと堪え、蜜子はふたりから視線を逸らし、遠くに隠れているひとりの女性を見る。
凛悟の言葉を思い出しながら。
『俺の作戦の決め手は、ダイダロスの妹、ティターニアに”祝福”を使わせることだ』
自分を信じてくれているセンパイの言葉を噛みしめながら。
大好きなセンパイが死んでいく。
一発目は肩、これはまだいい。
よくないけど、これなら助かるかもって思える。
だけど2発目、これはダメ。
胸、多分だけど肺。
口から何度か血を吐いたもの。
展望台から少し離れた所で蜜子は本をギュっと胸に抱く。
それは凛悟から渡された”本”。
最後のページにはこうある。
”この本は所有者である鈴成凛悟が死亡すると消滅する”
”本”が消えていない間はまだ死んでない。
その感触を確かめながら蜜子は思い出す。
ここまでの道程で聞いた凛悟の作戦を。
『俺の作戦はこうだ。俺を囮にしてダイダロスとエゴルトの刺客をおびき出す。ダイダロスは普通に交渉するか死なない程度の脅ししかしないだろう。だがエゴルトの刺客は殺す気でやってくるはずだ。おそらく狙撃で頭を一瞬で吹き飛ばそうとするだろう』
凛悟の予想は的中している。
それが頼もしくもあり、不安でもある。
『スナイパーは2人体制で行うのが一般的だ。こちらの挙動はリアルタイムで実行側に伝わる。それを利用する。ダイダロスと俺が一緒にいる時に聖痕の偽装シールを剥がす。こうすればターゲットはダイダロスに移る。”祝福”を持ってない方を殺しても無駄だからな』
やっぱりセンパイはスゴイ。
ここまではカンペキ。
『そこで俺はダイダロスをかばって恩を着せお願いするのさ。タイムリープをこの”祝福ゲーム”の最後まで使わないでくれってな。なあに、死んでも気にするな。俺の作戦が成功しようと失敗しようといずれダイダロスはタイムリープを使う。そうすれば俺は生き返る。いや、死なない時間まで巻き戻る』
センパイはそう言ったけど不安だよ。
辛いよ、苦しいよ、もう見ていられないよ。
”本”を抱きしめ蜜子は涙を流す。
凛悟はもう口から血を流してなかった。
死んでるかもしれなかった。
今なら”祝福”を使えば助かるかもしれない。
タイムリープが起きたとしても、それはダイダロスが目の前から消えるだけで、あたしはこのままセンパイの死んだ世界を過ごすのかもしれない。
『これは完全に俺の仮説だが、タイムリープが起きても世界は増えない。パラレルワールドのような世界は生まれない』
『どうして?』
『あの”神”の視点に立って考えるのさ。タイムリープが起きた時、世界が枝分かれしたとすると”祝福”はタイムリープ前と後の両方の世界に存在することになるだろ』
『うん、そうかも』
『そうなると”祝福”の総数が増えてしまう。これはルール上ありえない』
『なるなる』
あの時は納得したけど、やっぱり今でも不安は残る。
だけど、あたしは見守るしかない。
見守るべき。
センパイはあたしを信じてくれたのだから。
センパイの作戦が成立するまで。
不安に押しつぶされるそうな心をグッと堪え、蜜子はふたりから視線を逸らし、遠くに隠れているひとりの女性を見る。
凛悟の言葉を思い出しながら。
『俺の作戦の決め手は、ダイダロスの妹、ティターニアに”祝福”を使わせることだ』
自分を信じてくれているセンパイの言葉を噛みしめながら。
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