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第2章 夢からさめても
2-28. ふたりの耐久 ダイダロス・タイター 鈴成凛悟
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日本海に面した展望台で響いた2発目の銃声。
それは盾の胸を貫通し、ダイダロスの腕まで貫いていた。
銃弾を受けた腕は焼けるように痛く、盾は鉛のように重かった。
数百のタイムリープの中でダイダロスが銃弾を受けたのは初めてではないが、その痛みに耐えるのは初めてだった。
なぜなら、銃弾を受けた時、ダイダロスは迷わずタイムリープを発動させるか……、即死していたからだ。
「ちっくしょう! いてぇ! おめぇ! わからねぇ! なんとかいいやがれ!」
痛みを少しでも忘れるようとダイダロスは大声で悪態を吐く。
だが彼によりかかる盾は、凛悟は何も話さない。
数秒前に咳とともに血の塊を吐いたっきりだ。
「くそっ、だめか」
凛悟に聞きたいことはいくらでもある。
だが、彼が答えられる状態ではないことは明白だった。
ついさっきまで聞こえていたゼイゼイという呼吸の音も消え、流れる血も勢いを無くしていた。
「死ぬなこれは、いや、もう死んでるか」
遠くからパンパンという銃声が聞こえダイダロスは再び身体を硬直させるが、今度は何の衝撃も感じなかった。
ポリでも来てくれたか、まあいい、この間を活かさない手はない、リープするのはそれからだ。
ダイダロスは一瞬リープしようかとも考えたが、少し離れた車に蜜子がいるのを見て思いとどまった。
「おい! 女! このままだと俺もコイツも死ぬます! 助けてくれださい!」
妙な日本語になっちまったが、その方が迫真っぽく見えるかもしれないとダイダロスは思った。
だが、車からは何の反応もない。
「お願いです! その”祝福”で助けて下さい! 手遅れになる前に!」
あいつは”祝福”を持っているはず。
ダイダロスは左手の偽物の聖痕を見る。
その数字は11から変化していない。
「わかった! 俺はいい! 俺はまだ助かる! だけど、コイツだけは助けてやってくれ! 恋人なんだろ! 大切なヤツなんだろ!」
いいから早く”祝福”を使いやがれ。
この数字が減ったら俺がリープしてやる。
そうしたらコイツは死ななかったことになるからよ。
そうすればお前らは晴れて”祝福ゲーム”からドロップアウトだ。
ティターニアを最後のひとりにする俺の目的に一歩近づくし、お前らは平穏な日常に戻る。
それでいいじゃねぇか。
ここまで来たんだ。
せめて”祝福”のひとつくらいは無駄撃ちさせねぇと、やりきれねぇ。
もはや完全に肉の盾となった凛悟を引きずりながらダイダロスは車へと近づく。
そして、サイドガラスから見えるように凛悟の身体を持ち上げた時、ダイダロスは見た。
中の女が”本”を抱きしめながらどこかを見ていることを。
こっちを見ていない!?
困惑しながらダイダロスは蜜子の視線の先を見る。
そこにはひとりの女性の姿があった。
暗くでハッキリとは見えなかったが、彼女をダイダロスが見間違うはずがなかった。
「ティターニア!?」
彼がそう叫んだ時、再びパゥンという音が響きダイダロスは胸に激しい痛みを感じる。
いったいどうして!?
東京のホテルにいるはずのティターニアがどうして!?
誰かが連れてきた!? どいつが教えた!? それともティターニアが自分の意志でつけてきた!?
ダイダロスはどうしてこんな状況になっているのかわからなかった。
だが、彼は彼の目的を忘れてはなかった。
たとえ、このリープが自分の死で終わるとしても、最後まで望みを捨てようとはしなかった。
フロントガラスに己と凛悟の頭を押し付け、最後まで蜜子に訴える。
「助けてくれ」と。
それは迫真の演技を超えた、文字通り死に物狂いの最期の演技だった。
凛悟は死ぬまで戦った。
ダイダロスは死ぬまで戦い抜こうとあがいた。
勝負の命運を分けたのは──
ふたりが大切に想っている相手に、作戦を明かしているか、秘めているかだった。
それは盾の胸を貫通し、ダイダロスの腕まで貫いていた。
銃弾を受けた腕は焼けるように痛く、盾は鉛のように重かった。
数百のタイムリープの中でダイダロスが銃弾を受けたのは初めてではないが、その痛みに耐えるのは初めてだった。
なぜなら、銃弾を受けた時、ダイダロスは迷わずタイムリープを発動させるか……、即死していたからだ。
「ちっくしょう! いてぇ! おめぇ! わからねぇ! なんとかいいやがれ!」
痛みを少しでも忘れるようとダイダロスは大声で悪態を吐く。
だが彼によりかかる盾は、凛悟は何も話さない。
数秒前に咳とともに血の塊を吐いたっきりだ。
「くそっ、だめか」
凛悟に聞きたいことはいくらでもある。
だが、彼が答えられる状態ではないことは明白だった。
ついさっきまで聞こえていたゼイゼイという呼吸の音も消え、流れる血も勢いを無くしていた。
「死ぬなこれは、いや、もう死んでるか」
遠くからパンパンという銃声が聞こえダイダロスは再び身体を硬直させるが、今度は何の衝撃も感じなかった。
ポリでも来てくれたか、まあいい、この間を活かさない手はない、リープするのはそれからだ。
ダイダロスは一瞬リープしようかとも考えたが、少し離れた車に蜜子がいるのを見て思いとどまった。
「おい! 女! このままだと俺もコイツも死ぬます! 助けてくれださい!」
妙な日本語になっちまったが、その方が迫真っぽく見えるかもしれないとダイダロスは思った。
だが、車からは何の反応もない。
「お願いです! その”祝福”で助けて下さい! 手遅れになる前に!」
あいつは”祝福”を持っているはず。
ダイダロスは左手の偽物の聖痕を見る。
その数字は11から変化していない。
「わかった! 俺はいい! 俺はまだ助かる! だけど、コイツだけは助けてやってくれ! 恋人なんだろ! 大切なヤツなんだろ!」
いいから早く”祝福”を使いやがれ。
この数字が減ったら俺がリープしてやる。
そうしたらコイツは死ななかったことになるからよ。
そうすればお前らは晴れて”祝福ゲーム”からドロップアウトだ。
ティターニアを最後のひとりにする俺の目的に一歩近づくし、お前らは平穏な日常に戻る。
それでいいじゃねぇか。
ここまで来たんだ。
せめて”祝福”のひとつくらいは無駄撃ちさせねぇと、やりきれねぇ。
もはや完全に肉の盾となった凛悟を引きずりながらダイダロスは車へと近づく。
そして、サイドガラスから見えるように凛悟の身体を持ち上げた時、ダイダロスは見た。
中の女が”本”を抱きしめながらどこかを見ていることを。
こっちを見ていない!?
困惑しながらダイダロスは蜜子の視線の先を見る。
そこにはひとりの女性の姿があった。
暗くでハッキリとは見えなかったが、彼女をダイダロスが見間違うはずがなかった。
「ティターニア!?」
彼がそう叫んだ時、再びパゥンという音が響きダイダロスは胸に激しい痛みを感じる。
いったいどうして!?
東京のホテルにいるはずのティターニアがどうして!?
誰かが連れてきた!? どいつが教えた!? それともティターニアが自分の意志でつけてきた!?
ダイダロスはどうしてこんな状況になっているのかわからなかった。
だが、彼は彼の目的を忘れてはなかった。
たとえ、このリープが自分の死で終わるとしても、最後まで望みを捨てようとはしなかった。
フロントガラスに己と凛悟の頭を押し付け、最後まで蜜子に訴える。
「助けてくれ」と。
それは迫真の演技を超えた、文字通り死に物狂いの最期の演技だった。
凛悟は死ぬまで戦った。
ダイダロスは死ぬまで戦い抜こうとあがいた。
勝負の命運を分けたのは──
ふたりが大切に想っている相手に、作戦を明かしているか、秘めているかだった。
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