52 / 97
―楽園編―
ラストバトル
しおりを挟む
ダンジョンの内部は大そう複雑な構造なのだろうとばかり思っていた……そんな僕の予想を裏切り、だだっ広いドームのような構造になっている。
そして、御多分に漏れず、こういうエリアの中央には、定石の如くドラゴンが待ち構えているのだ。
洞窟の中央には、その天井に大穴が開いており、空からの光が差し込んでいる。
土気色のドラゴンは、陽光が射すダンジョンの中央で、その体を丸めて眠っているようだ。
少しずつ近づく僕らは、ある違和感に気が付いた。
どれほど歩いてもドラゴンのもとへとたどり着けないのだ。
「思ったよりも、巨大なドラゴンですね――」
藍里がそう言って指さす先に見えるドラゴンは、とてつもなく巨大であり、このダンジョンも思ったより広いのだ。
そう、想像以上に広いダンジョンだったために、遠近法でドラゴンが実際より小さく見えていたのだ。
実際、ドラゴンからみて、僕らは手のひらサイズほどの大きさしかないのだろう――そう考えると、恐怖で身震いしてくる。
「あの、ミィコさん、こんなに巨大だなんて聞いてないよ」
僕は弱気になってミィコに泣きついた。
「ミコも聞いていません!」
「いったん出直して、もう一度作戦を立て直そう!」
僕がそう言って二人に撤退の提案をしていると――
カッ、と目を見開いたドラゴンは、その大きな翼を広げ、ものすごい勢いでこちらへと飛翔して向かってきた。
そして、ドラゴンは僕らの退路をその身で塞いだのだ。
「ミィコ、どうすれば!?」
僕は焦ってミィコに聞いた。
「ミィコにもわかりません。サトリ、魔剣を使うのです!」
ミィコは顔面蒼白だ。いわゆる、絶体絶命大ピンチといったところだろう。
「さとりくん! これを飲んで!」
マジか!? 藍里が何かよく分からないポーションを僕に投げ渡した。怪しさ満点だが、背に腹は代えられまい――
一か八か、僕はそのポーションを受け取り、小瓶の蓋を取り、口から一気に流し込んだ。
――意識が朦朧とし、グワン、グワンとする感覚が僕を襲う。
藍里は僕に何を飲ませたんだ……!?
「さ……と……り……く……ん」
「サ……ト……リ……大……丈……夫……で……す……か……?」
うわ、なんだ、これは気持ち悪い。時間の流れが遅く感じられる。
というか、明らかに遅い。これはあれだ! 僕だけ速く動ける効果があるのだろう。
藍里、すごいぞ! みんなが止まって見える! ありがとう、藍里!
――これなら勝てる! 僕は確信した。
――僕は魔剣『グラジール』を両手で握りしめ、ドラゴン目掛けて飛びかかった。
あれほど重たく感じていた魔剣。普段なら鈍重にしか振り回せない大剣も、今ならまるでナイフを振るうかの如く、振り回すことができる!
僕はHit and Awayを繰り返し、その動きでドラゴンを翻弄する。
一撃、また一撃、ドラゴンに大きな傷跡を残していく!
さすがのドラゴンも僕の動きを追うことができず、一方的に斬りつけられるのを、ただ耐えているしかないようだ!
巨大なドラゴンが怯んでいる! これはチャンスだ! 僕はトドメの一撃をドラゴンの頭にお見舞いした――はずだった――
僕はその光景に目を疑った――僕が頭を狙うタイミングで、ドラゴンは重たい剣の一撃をその大きな顎で受け止めたのだ。
大きな牙が、魔剣の強固で頑丈な刀身に食い込む。
そのまま、大きな音を立てて、その刀身が砕かれた。
まさかの展開――魔剣『グラジール』はドラゴンの硬い牙によって粉々に噛み砕かれてしまったのだ。
迂闊だった。ドラゴンはその時をじっと待っていたのだ――僕がドラゴンの頭を狙うタイミングを。
そうして、僕にかかっていた薬の効力も薄れていく――
「さとり……くん……逃げ……てくだ……さい!」
「サト……リ!」
僕は戦意喪失のまま、二人の声に従って後ろを振り向いた――が、その瞬間、ドラゴンからの攻撃! その大きな尻尾で薙ぎ払われて、僕は地面に激しく叩きつけられた! その衝撃で僕の全身を激痛が走る。
そして、ドラゴンは鋼鉄をも簡単に溶かす炎の吐息、『ドラゴンブレス』の溜めモーションに入る。
回避不能――強力な攻撃を食らってしまった僕は、逃げるどころか動くことすらできなくなっていた。
――ダメだ、このままでは消し炭にされてしまう。
僕が戦意喪失している後ろで、藍里が強力なルーン石をフルセットした杖を構え――それをドラゴン目掛けて思いっきり投げつけた!
杖は、ドラゴンの顔面に見事クリーンヒットして大爆発を起こしていた。
藍里の一撃により、『ドラゴンブレス』がキャンセルされたのだ! すごい! 藍里にとって、ルーンの埋め込まれた杖は完全に飛び道具のような扱いになっている。
「私が相手です!」
藍里はそう言って、勇敢にも僕の前でドラゴンに向かって仁王立ちをした。
――挑発に乗って、藍里に向かっていくドラゴン!
藍里は回避行動を取りながら、ドラゴンを僕から引き離していく。
ドラゴンの隙を見つけると、藍里はすかさず、手当たり次第に持ち物をドラゴンに向かって『投げて』いる。
危なそうな薬品から鋭い刃物のようなものに、工具のような鈍器まで、『どこで入手したの?』と聞きたくなるような物をドラゴンにぶつけていく。
手当たり次第に投げる攻撃、そんなのは大して効果がないだろうと思っていた僕の予想とは裏腹に、ドラゴンはかなりのダメージを受け、よろめき、悲痛な叫び声をあげ始めている。
――藍里の比類なき『投げる』攻撃により、無残な姿となったドラゴンはその場に崩れ落ちていった。
「アイリ! さすがです! すごすぎです!」
「藍里、お手柄だよ……君が、MVPだ――」
僕とミィコは藍里を全力で称賛した!
そうして、僕は、肩を貸してくれた藍里に寄り添い、ボロボロになったその体を引きずりながら、ミィコのいる方へと向かって歩いていた。
ふと、藍里が振り返り――
「さとりくん、まだ終わっていません!」
振り向きざまにそう叫んだ!
その言葉にハッとして、僕は慌ててドラゴンのいる方向に振り向いた。
すると――ドラゴンが黒紫のオーラに包まれ始めた。そうか、これはお約束の第二形態だ!
そして、御多分に漏れず、こういうエリアの中央には、定石の如くドラゴンが待ち構えているのだ。
洞窟の中央には、その天井に大穴が開いており、空からの光が差し込んでいる。
土気色のドラゴンは、陽光が射すダンジョンの中央で、その体を丸めて眠っているようだ。
少しずつ近づく僕らは、ある違和感に気が付いた。
どれほど歩いてもドラゴンのもとへとたどり着けないのだ。
「思ったよりも、巨大なドラゴンですね――」
藍里がそう言って指さす先に見えるドラゴンは、とてつもなく巨大であり、このダンジョンも思ったより広いのだ。
そう、想像以上に広いダンジョンだったために、遠近法でドラゴンが実際より小さく見えていたのだ。
実際、ドラゴンからみて、僕らは手のひらサイズほどの大きさしかないのだろう――そう考えると、恐怖で身震いしてくる。
「あの、ミィコさん、こんなに巨大だなんて聞いてないよ」
僕は弱気になってミィコに泣きついた。
「ミコも聞いていません!」
「いったん出直して、もう一度作戦を立て直そう!」
僕がそう言って二人に撤退の提案をしていると――
カッ、と目を見開いたドラゴンは、その大きな翼を広げ、ものすごい勢いでこちらへと飛翔して向かってきた。
そして、ドラゴンは僕らの退路をその身で塞いだのだ。
「ミィコ、どうすれば!?」
僕は焦ってミィコに聞いた。
「ミィコにもわかりません。サトリ、魔剣を使うのです!」
ミィコは顔面蒼白だ。いわゆる、絶体絶命大ピンチといったところだろう。
「さとりくん! これを飲んで!」
マジか!? 藍里が何かよく分からないポーションを僕に投げ渡した。怪しさ満点だが、背に腹は代えられまい――
一か八か、僕はそのポーションを受け取り、小瓶の蓋を取り、口から一気に流し込んだ。
――意識が朦朧とし、グワン、グワンとする感覚が僕を襲う。
藍里は僕に何を飲ませたんだ……!?
「さ……と……り……く……ん」
「サ……ト……リ……大……丈……夫……で……す……か……?」
うわ、なんだ、これは気持ち悪い。時間の流れが遅く感じられる。
というか、明らかに遅い。これはあれだ! 僕だけ速く動ける効果があるのだろう。
藍里、すごいぞ! みんなが止まって見える! ありがとう、藍里!
――これなら勝てる! 僕は確信した。
――僕は魔剣『グラジール』を両手で握りしめ、ドラゴン目掛けて飛びかかった。
あれほど重たく感じていた魔剣。普段なら鈍重にしか振り回せない大剣も、今ならまるでナイフを振るうかの如く、振り回すことができる!
僕はHit and Awayを繰り返し、その動きでドラゴンを翻弄する。
一撃、また一撃、ドラゴンに大きな傷跡を残していく!
さすがのドラゴンも僕の動きを追うことができず、一方的に斬りつけられるのを、ただ耐えているしかないようだ!
巨大なドラゴンが怯んでいる! これはチャンスだ! 僕はトドメの一撃をドラゴンの頭にお見舞いした――はずだった――
僕はその光景に目を疑った――僕が頭を狙うタイミングで、ドラゴンは重たい剣の一撃をその大きな顎で受け止めたのだ。
大きな牙が、魔剣の強固で頑丈な刀身に食い込む。
そのまま、大きな音を立てて、その刀身が砕かれた。
まさかの展開――魔剣『グラジール』はドラゴンの硬い牙によって粉々に噛み砕かれてしまったのだ。
迂闊だった。ドラゴンはその時をじっと待っていたのだ――僕がドラゴンの頭を狙うタイミングを。
そうして、僕にかかっていた薬の効力も薄れていく――
「さとり……くん……逃げ……てくだ……さい!」
「サト……リ!」
僕は戦意喪失のまま、二人の声に従って後ろを振り向いた――が、その瞬間、ドラゴンからの攻撃! その大きな尻尾で薙ぎ払われて、僕は地面に激しく叩きつけられた! その衝撃で僕の全身を激痛が走る。
そして、ドラゴンは鋼鉄をも簡単に溶かす炎の吐息、『ドラゴンブレス』の溜めモーションに入る。
回避不能――強力な攻撃を食らってしまった僕は、逃げるどころか動くことすらできなくなっていた。
――ダメだ、このままでは消し炭にされてしまう。
僕が戦意喪失している後ろで、藍里が強力なルーン石をフルセットした杖を構え――それをドラゴン目掛けて思いっきり投げつけた!
杖は、ドラゴンの顔面に見事クリーンヒットして大爆発を起こしていた。
藍里の一撃により、『ドラゴンブレス』がキャンセルされたのだ! すごい! 藍里にとって、ルーンの埋め込まれた杖は完全に飛び道具のような扱いになっている。
「私が相手です!」
藍里はそう言って、勇敢にも僕の前でドラゴンに向かって仁王立ちをした。
――挑発に乗って、藍里に向かっていくドラゴン!
藍里は回避行動を取りながら、ドラゴンを僕から引き離していく。
ドラゴンの隙を見つけると、藍里はすかさず、手当たり次第に持ち物をドラゴンに向かって『投げて』いる。
危なそうな薬品から鋭い刃物のようなものに、工具のような鈍器まで、『どこで入手したの?』と聞きたくなるような物をドラゴンにぶつけていく。
手当たり次第に投げる攻撃、そんなのは大して効果がないだろうと思っていた僕の予想とは裏腹に、ドラゴンはかなりのダメージを受け、よろめき、悲痛な叫び声をあげ始めている。
――藍里の比類なき『投げる』攻撃により、無残な姿となったドラゴンはその場に崩れ落ちていった。
「アイリ! さすがです! すごすぎです!」
「藍里、お手柄だよ……君が、MVPだ――」
僕とミィコは藍里を全力で称賛した!
そうして、僕は、肩を貸してくれた藍里に寄り添い、ボロボロになったその体を引きずりながら、ミィコのいる方へと向かって歩いていた。
ふと、藍里が振り返り――
「さとりくん、まだ終わっていません!」
振り向きざまにそう叫んだ!
その言葉にハッとして、僕は慌ててドラゴンのいる方向に振り向いた。
すると――ドラゴンが黒紫のオーラに包まれ始めた。そうか、これはお約束の第二形態だ!
0
あなたにおすすめの小説
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【アラウコの叫び 】第1巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎日07:20投稿】 1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
また動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる