野菜士リーン

longshu

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第1章

1-7 野菜士誕生

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「天高く馬肥ゆる秋、強奪搾取されていたマリエの皆さんも皆、開眉笑眼な顔をしていますね~、悪逆非道の『ウェールズ』王国を開放する天下為公の『レジスタンス』推参、至誠通天、天網恢恢疎にして漏らさず、ですね~。」

「なんでもかんでも四字熟語でまとめるんじゃね~よサフラ!常人には何言ってるかさっぱり分かんねーだろうが!!!」
と、マサムネ。

「しかし、激戦だったな。みんな無事で良かったな、おいレーネ何してんだよ?」


「ねぇ、みてみてガラハド、『ロキの経典』を基にこんな魔法を開発したわ、ホラ!」

《フェイシン!》(浮かびなさい)

と、レーネが簡単な呪文の詠唱を唱えると、レーネとガラハドがスーッと宙に浮きだした。二人の周辺の空間だけ重力の楔から解き放たれたようだ。

「お、おい、いきなりなんだ!?」

一瞬の後、逆さまになって10mくらい上空で宙ぶらりんになるガラハド。城壁の外の丘陵地にて、それを見つけた『レジスタンス』の若手メンバー達が二人の様子を見て笑っている。

「他の人の姿勢制御はできないのね、まだまだ改善の余地ありか、、、。」

「おい!!」

「ふふふふふ、ごめんなさーい(笑)。」

「鴛鴦鳳侶、水魚の交わり、微笑ましいですね~。」

「分かんねーって言ってるだろ!!」

マサムネは、サフラやメル、その他レジスタンスの若手メンバーたちと戯れながら、暗い瞳で二人の飛翔をそれとなく見ていた。

[なんとか読者の気を引こうと、三角関係を入れ込もうとしている作者の糸が見え見えね(笑)。マサムネも本気なのかしら?](メル)

「お、恐ろしい事言うんじゃねー!相変わらずだな、お前は!!」

『英雄戦争』の最中、圧政に苦しんでいた一つの都市を『レジスタンス』が陥落させ、一息ついているある秋の朝である。戦勝の翌朝、早速、次の都市解放に向けた作戦会議に余念がないカーンやレーネの父マキシムといった主力将たち(彼らは後に『古の英雄』と呼ばれる)とは別に、若手達はつかの間の平和を満喫している。

それを少し離れて暖かい目で微笑みながら見守るリーンとシグルス。まだ『野菜士』や『竜殺し』の称号がつく前の事だ。

「あっちの方に『ユグドラシル』と『緑水青山の森』が見えるわね、私、あの『世界樹』を見ていると、とてもあたたかい気持ちになるの、この世界は彼女の大きな息吹とルーンの流れによって循環しているんだって、私達もその大きな家族の中の一員なのよ。」

「ふ~ん、そんな風に感じてるのか、(土魔道士)ルーンの目から見える世界は独特なのかもな?オレには全然ルーンの流れは見えないけど、確かに厳かではあるよな。」

「うん、彼女を見ていると、やがて来る平穏な日々が目に浮かぶように見えるのよ。まだまだ先の事かもしれないけど、そんな時にはみんなと一緒にいたいわね、ね、シグルス。」

「そうだな、そのためにはオレ達ももっと腕を磨いて、圧政を続けている『ウェールズ』王国を打倒しないとな。オレは最近、リョウジンさんに剣の稽古をつけてもらってるよ。北辰流の実践的な剣法で勉強になるんだよ。」

「熱心ね~、危なくなったら逃げればいいのよ。怪我しない程度に志を持てば。」

「そうだな、でも、こうしている今でも遠くの街の多くの子供達が奴隷になったり、むち打ちされてたりするかと思うと、気が気でないよ。」

「頑張って、応援してるわ。」

「ああ、見ててくれよ。お前の土魔法も頼りにしてるぜ、この前も助けてもらったしな。」

すごくいい雰囲気だ。

「おーい、リーン達。そんな所でイチャイチャしてないで、こっち来なよ。今回の戦果と次回の作戦について会議だって。」

「はや!マキシムさんは気が早いわね~(笑)、ちっともゆっくり出来ないわね、シグルス、行きましょ?」

「あぁ、次の作戦かワクワクするな!」

「また、剣士の鏡ね。」

と、立ち上がりざまにスキを見てシグルスの唇を奪うリーン。遠くで見ていた皆が囃し立てていた。

--- 宿営にて ---

「皆、今度の作戦ご苦労だった。今回の作戦もカーンの圧倒的な突破力と、魔法隊の支援の的確さもあり、被害は僅少だ。我々『レジスタンス』の戦況も、当時の窮地から脱して、着実に『ウェールズ』王国に一泡吹かせわれるような戦力・装備が集まりつつある。ここいらで、どこからとも無く付いた通り名、『マキシム・カーン・レジスタンス』を改め、『革命軍』と名を定めたいと思うがどうだ?」

首領のマキシムが皆に向けて提案をしている。

「ちょっとシンプルすぎねーか、あんた達の名を冠して、マキシム革命軍とかカーン革命軍とかしたらどうだ?」

主力将の問いかけに、猛将カーンはこう答えた。

「マキシムとも十分議論したのだが、オレの個人的復讐がキッカケになっちまったこの『レジスタンス』だが、この軍の在り方として、オレやマキシムが絶対権限を持つのは良くねぇ。もちろん、『ウェールズ』王国を打倒して、貴族たちの犯罪を根絶やしにして、未だ『ミズガルズ』の中原至る所にいる奴隷を解放する青写真は描いちゃいるが、その行き着く先が個人の絶対制じゃぁ、いつミイラ取りがミイラになるかわからねぇ。そこで、単に『革命軍』として、将来的にも皆の連帯(共和制)で、この集団を運営してきたいと思ってるんだ。」

「オレも、一族全部殺されて、あんたの復讐にすべてを賭けている身だ。あんたらの主義主張や対面なんて気にしねーぜ、あんたらがそれで行きたいなら、それで行こう!」

「そうだ。」「そうしよう。」「異論なし。」

ここは、占領した都市マリエの宮廷で、そこを間借りして宿営としている。10m四方の一室に、数十名の、バラバラな出で立ちと武器を持った戦士達が膝をつき合わせ、むんむんと非常な熱気である。占領したとは言っても、彼らの装備は貧弱で、当然、甲冑に身を包んだ騎士などいるはずもなく、皆、必死に戦っては来たものの規律と言ったものは微塵も感じられず、その様はどちらが敗軍か分からないくらいのみすぼらしい集団であった。

現在は、戦闘の総括としての戦況報告が終わり今後の組織の体制を議論している。組織を引っ張ってきたリーダーのマキシムや筆頭のカーンは、レジスタンスの面々から非常な信頼を得ている様子だ。

レジスタンスの成り立ちは今から2年前、現レジスタンス筆頭のカーンの妻が、貴族領主に虐待死させられたことによる。

当時、東にある強大なスペニアとの国境沿い、名も無き村に住む、辺りの林業を仕切る名うての木こりだったカーンは、最愛の妻トーニャが貴族の館で鞭打たれて死んだと聞くと、それに激高し領主宅を強襲、留守居の騎士や食客10名を含む30名を殺害、領主に、妻につけられた倍の傷を与え殺害した。

なおも怒りの冷めやらぬカーンは村主のマキシムの家へ駆け込み、『ウェールズ』への復讐を主張。このままでは貴族たちの報復による村民皆殺しは目に見えており、自身も暴虐を見かねていたマキシムは、仲間数人と共謀して領主の館に建て込むんだ。数日後、カーンの武神とも言える活躍も虚しく周辺の貴族領主達に崩壊寸前まで追いつめられるものの、旧友『土の賢者』の力を頼り何とか撃退。

その時レジスタンスの救援に加わったのが『土の賢者』唯一の家族リーンであった。その後体制を立て直したマキシムたちは、彼自身の政治力、義理堅さ、大義名分の効果的な宣伝により、『レジスタンス』を組織し今に至る。なお、カーンは今に至るまでに子息も戦死により亡くしていた。

「では、今日の日を持って、我々『レジスタンス』は『革命軍』と名を改める。今後はゲリラ的な作戦ばかりではなく、明確な意思と組織を持った軍として正々堂々『ウェールズ』王国と対決しよう!」

「おー!」

高揚した勝鬨の声。『ウェールズ』貴族たちの理不尽な暴虐に耐えかねていた民衆たちの唯一の希望の光が、首領マキシム、勇将カーンを掲げる『革命軍』なのであった。

勝鬨が収まった頃、ふと厳然とした初老の剣士が声をかける。

「川というのを知っているか?」

「当然知っていますが?」
マキシムが礼儀正しく敬意をもって答える。

「初めは山々からの岩清水だったちいさな水の流れも、いろんなところから集まり地下からの湧水も合流したりと徐々に大きくなっていき、最終的には大河となり海へ注ぐ。共和制というのはその中流に当たるいかにも平等で覇気に満ち弾力に満ちた制度に思う。」

彼は、発明の国『ハマツ』から参戦してきている、良心の徒リョウジンだ。

『ミズガルズ』の北端、『ウェールズ』王国やここマリエのある大陸とは海を隔てた孤島に浮かぶ城塞都市である『ハマツ』は、その地理的優位から『ウェールズ』王国より圧倒的に小さいものの独立を維持していた。大陸の事情に敏感なヤストモ市長は、常に情報収集を怠らずレジスタンスの動きも把握し、戦況は『ハマツ』の市民に公開されていた。そして、義に燃えるリョウジンが貴族の暴虐を改めるべく、『革命軍』に参戦したというわけだ。

ちなみに彼は北辰流の免許皆伝、ソードマスターである。

「そんな考え方もありますか、では我々『革命軍』は今後その流れをどんどん大きくし大河となって、『ウェールズ』の暴虐を打ち破ろう!!!」

リョウジンの例えとマキシムの宣誓にまたもや熱狂する皆。

なお、この後『革命軍』はマキシムの名声もあり、『ハマツ』以外にも義に燃える者、『ウェールズ』王国と敵対する国からの助力などを得て吸収膨張し、『ウェールズ』王国と同程度の戦力をもつ組織に急成長する。

「あの~、兵力でちょっと提案があるんですけど~。」

末席で聞いていたリーン達若手だったが、常に戦力不足な『レジスタンス』の中にあって、彼女たちも戦力の一員として常々戦闘や戦略会議に参加しているのだった。

「おぉ、リーンか。お前のアダマンアーマーや、砂塵雲隠れなんかには随分助けられたな。どんな案だ、また土魔法の応用か?言ってみろ?」

「この間、こんな魔法を開発したの。ラディッシュくんどうぞ。」

リーンが紹介した先に、50cmくらいの人の形を模した大きな大根が立っている。そしてその大根は、なんと会話を始めた。

「こんにちは、大根戦士のラディッシュです。少しでもみんなの助けになるように頑張るよ!」

その大根は、リーンに呼ばれると会場の端からヒョコヒョコと歩いてくる、、、その足並みもたどたどしいが、極めつけは論壇への階段でつまずいて足が折れてしまうのであった、、、。

「ぎゃははは、おい冗談か!?」

「おい、いくら何でも大根はねーだろ(笑)!」
マサムネは大笑いだ。

「え~、何で大根が喋るんだ?って感心してくれないの!?完全な魔法生物は作るの無理でも、栽培からやれば出来るって事に気がついたのよ。せっかく寝る間も惜しんで開発した新魔法なのに~。」

ドッ、ワハハハハ、追い打ちする笑い声。

「凹むな~、これから武器や防具も扱えるように更に改良する予定なんだから、ねっ、ラディッシュ!?」

「おい、冗談は外でやれ!お前の土魔法はずれすぎだ!」
カーンは怒声を一発かませた。

「いや待てよ、兵士としてはともかく、伝令や搖動には使えるんじゃないのか?大根だから目に停まりにくいし、囮にしても心も傷まないし、、、。」
リーンを援護するわけではないが、シグルスが一歩引いた目で客観的な提言をする。

「え、そんな囮なんて、ひどい!」
ラディッシュはうろたえる。

「そ、そうよ。さすがガラハド、目の付け所がいいわ!」(何に使えるかは考えていなかったようだ)

「え、僕にだって心はあるんだよ~(悲)!」

「む、確かに。リーンよ、その大根くん(笑)、何体も作ることは出来るのか?」
マキシムが可能性を見つけリーンに問いかける。

「ええ、初めから試行錯誤して何ヶ月もかかったけど、栽培のコツは掴んだから、畑があれば1ヶ月ほどで可能だと思います。」

「よし、新手の魔法だけに効果の程は不明だが、元手もかからないとあれば試してみよう。リーンやってみてくれ。」

「いきなり野菜の魔法生物なんてリーンやるわね、私ももっと時空魔法を磨いて『革命軍』の勝利に貢献するわ!」
レーネは素直にリーンの機転に感心する。

「ホントに、ものになるんかよ~???」
マサムネはあくまで冗談半分としか捉えられないのであった。

一部の人間以外の疑心暗鬼をよそに軍略会議は終了。宴と、その先に待っている次の戦へ邁進する生まれたばかりの新生『革命軍』であった。

・・・・・・・

――― マサムネの寝室 ―――

「あ、寝過ごしちまったか?7年ぶりに会っただけあって、昔のことを思い出しちまったな。しかし、あの大根があの後、あんなに有望株になりやがるとは、ぷっ(笑)、いまだに笑える(笑)。しかし、当時はみんな若くて何も知らなかったな~。」

――― リーン、レーネの寝室 ―――


「やばっ!ね、寝坊っ!?ガ、ガラハド!起きて!!でも、久しぶりに良い夢見たわ~(にこやか)。」

(レーネ、、、) 
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