野菜士リーン

longshu

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第1章

1-35 ラルフの秘策

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ラルフはピクシーの入れてくれた香ばしく健康に良さそうなチャイを口に運んで一旦休んだあと、話をつづける。

「そしてヤツの狙いじゃが、それが、さっぱり分からないのじゃ、ワシ達『七賢』は長年ヤツの悪巧みとイタチごっこを続けていたのじゃが、ついに『英雄戦争』の最終盤、お前達も知っておろう『イスティファルド』地下迷宮の奥の奥最底部にある『猖獗』にてヤツと一戦交え封印することに成功した。殺した所でその瞬間、奴の潜在意識そのままに後継が出来て元の木阿弥じゃからの。【永久に成長を続ける封印】に落とすその前に色々聞き出そうとしたのじゃがな、、、悪神ロキとの関係も懸念しておったのじゃが、、、。」

「『アーデルヘイト』?『イスティファルド』地下迷宮?悪神ロキ?何が何だかさっぱりです、、、。」

「あの『イスティファルド』戦にラルっちの姿があったのは、そういう訳だったのね、、、裏で活躍しいるのね、ラルっち。」

「ふふふ、まぁな、世界の調和と均衡を守るのが我々『七賢』の役目じゃからのぅ。」

『英雄戦争』の伏線から裏で起こっていた『時空の賢者』の出来事まで、ポン、と説明されたリーン達は面食らうどころではなく理解の範疇を超えているようだったが、3人で何とか心中整理をした。

「おじいちゃん、これまでの事は分かったわ。今『アーデルヘイト』はレーネにどういう干渉をしているのかしら?私たちにできることはないかしら?」

「うむ、それが分からんのよ。先ほどの話の通り、『アーデルヘイト』はワシ達『七賢』の【永久に成長する封印】によって、ルーン界へ束縛されておるはずじゃし。【永久に成長する封印】は、『七神創生』時に『大いなる真理』よりもたらされた世界均衡策の一つにもなっておる、いわば終身刑のような刑罰じゃ、ルーン界の奥深くにその根源を縛り付け、一刻一刻変化と成長と複雑化を続け決して破られるはずのない封印のはずなんじゃ。

従って、『アーデルヘイト』が直接レーネを洗脳なり狂わせるなりすることは叶わぬはずじゃが、ワシの古き友人の言によると、どうやら意識のみ脱出してどこかへ潜んでおるのやも知れぬ、、、。もし、ルーン界に封印されながらにして、思念だけで現世への影響力を行使しておるとしたら、わしらにも探しようがない。本当に恐ろしい存在じゃて、、、。」

「そんな!それじゃ、どうやってレーネを取り戻せというの!?」

「まぁ、落ち着け、お前とレーネの最愛の恋人ガラハドが、誠心誠意、直談判して正気を取り戻させる端緒を作るのが一番の近道じゃ。そこからワシも呪縛を解くように助力してやる。」

「さ、最愛の恋人だなんて、、、ここ数年相手にもされていませんよ、、、」

「そう、やっぱり直談判なのね? で、でも、一度、完膚なきまでに失敗しているんだけど、、、彼女の狂気の沙汰を『時空水晶』を破壊することで阻止した時の剣幕は、それは恐ろしい、明らかに人外のものだったわ。」

「今は、最愛のガラハドもおろう、そしてメルも。アーデルヘイトが間接的にとは言え手を曳いているとなれば、ワシにも考えがあるわい。メルに秘策を伝授しておこう。土魔法しか使えぬ不器用なお前ではこの精妙な心理戦の戦力にならぬからの、、、。お前とガラハドはレーネに対して真っ向胸の内を見せるのじゃ、真心じゃ!」

「ええ、『七芒星魔道士』<複数属性の魔法を扱うことの出来る魔道士の総称で、『ミズガルズ』魔道協会の認可が必要となる。数字は認可された属性の数。>メルに任せておきなさい!(決まった!)」

「そうね、『ミズガルズ』に被害を拡大させないためにも、一刻も早くレーネの呪縛を解いてやるわ!協力してね、メル!!」

「もちろんよ、リーン!(決まった!!)」

「それで、レーネの所へはどう行ったら良いのかしら?あのカーンが追跡隊の筆頭になっちゃって、私達そこから逃げてきたのよ。」

「うむ、それなんじゃが、『英雄戦争』にて『アーデルヘイト』封印に使った地下迷宮から王宮へ入るのが上策じゃ、あれほど込み入っておって魔術の知識がない者は罠でイチコロな環境なら、まずもってそんなところ捜索したり防衛したりするとも思えんわい。

そして、地下迷宮にはここから西方1000kmの終焉の地『ファニステール』から水の中を潜り、一旦『ムスペッルスヘイム』へ入って、世界樹の根からできた洞窟を探しだすことじゃな。『イスティファルド』は『世界樹ユグドラシル』の麓じゃから、自然に地下迷宮へたどり着くじゃろう。地下世界『ムスペッルスヘイム』には、ワシの旧知の間柄の『ノームの女王』フィリというのがおるが、彼女らノームは地下世界の地理に非常によく通じておるからの、ユグドラシルの枝根が作る地下路を案内してもらうと良いじゃろう。」

「え、地下世界?ノームなんて神話の種族と思ってたわ、実際いるのね!?」

「さすが、ラルっち、顔広いのね~。」

「ラルっちって、、、、それで、フィリさんという方はどちらにいらっしゃるんでしょうか?」

「うむ、地下世界『ムスペッルスヘイム』のノームの都『ルルロロノラムスル』か、ファニステールの水の遺構『イス』じゃ。」

「ええっ!『ファニステール』って!!死者の海ですか!!!いよいよ死の世界に突入か?(恐慌)」

神経症のガラハドが慌てふためき出す。

「ははは、世間では死者の海で通っておるが、ただの水の精霊『セイレーン』が気まぐれで、お前みたいなイケメンの冒険者を、時折海に引きずり込んでいるだけじゃ。リーンかメルがルーン語で話せば地下世界への連れて行ってくれるじゃろうて。わしの伝書鳩も地下世界では役立たずじゃ。フィリに直接伝えておくことは出来ぬが、ここに手紙をしたためた。彼女に渡せば、きっとお前たちの力になってくれうじゃろう。」

「何だか、いろんな事をいっぺんに聞いたものだから全然整理しきれないけど、まずは、『ファニステール』に行って、それから『ノームの女王』フィリさんを探し出せばいいのね!」

「そうじゃな、作戦の仔細はまた明朝ゆっくりと行おうぞ、今日はまず到着祝いの宴じゃ!」

「ありがとう、おじいちゃん!」

珍しく、掛け値なく素直なリーンを見てガラハドは驚いた。リーンは幼い頃より、『土の賢者』一人に育てられたと聞く。しかも血のつながりはないらしい。平々凡々な家庭の出のガラハドには想像もつかぬ破天荒な二人の関係だが、彼女たちがどんな風に十数年を一緒に過ごしてきたのかは分からないが、とても強い絆がある事は分かった。そして、心の底からリーンはラルフを尊敬し愛しているのだろう。彼女の行動の一つ一つ、一言一言から、それは如実に伝わってきた。
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