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第1章
1-34 『英雄戦争』の真因
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ラルフに誘われ3人がコテージの中へ足を入れると、200m2はあろうかという仕切りがない大広間、また天井は10mはあろうかと言うほど高く、皆はそのコテージらしからぬ光景に圧倒された。窓が大きく日当たりのよさそうな壁に沿うように並べられているプランターには、『ミズガルズ』中の大小様々な種類の植物たちが悠々とその葉を広げ陽光を取り込んでいる。ラインナップの多さはまるで植物園だ。
その中央は中庭で、吹き抜けになって木漏れ日が入っている。まるで実物を見ているかのような迫力の猿の彫刻が柱に施された大きなウッドテラスがあり、端の方には客人用に磁器でできたティーカップを陳列した棚や調理機材までが、きれいに整頓されて配置されている。
ラルフの友人でもあり使用人でもある森の妖精ピクシー達が、リーン達の飲み物の趣味を聞いて紅茶やコーヒーや黒豆茶や緑茶などを、おそらく彼女たちが日頃作っているのであろう、ドライフルーツや木の実を使ったお菓子をお茶請けにして持ってくる。ガラハドの頼んだブラックコーヒーにはメープルシロップのついたクルミのクッキーが、リーンの頼んだ紅茶にはレモンやキンカンのドライフルーツが、メルはいつものメニューで慣れているのかホットミルクとブラックチョコレートの組み合わせが出てきた。
ピクシー達は赤い髪、白い顔、尖った耳、緑色の服を着ており身体は半分透き通っていた。身長50cm程度で細身の体型、みな利口そうな顔で客人をニコニコ微笑んで持てなしている。ラルフ達への給仕を進んで行っている様子だ。巨大なコテージの中に設けられた陽だまりのウッドテラスで、優雅に洗練され尽くしたお茶を振る舞われている様子は、まるで御伽話の絵本の中の一幕のように見える。
「まるで幻想世界だなここは?コーヒーもほどよくコクがあって、クルミのクッキーとの相性も抜群だし、、、。『イスティファルド』での事が遠い世界で起こった出来事のように思えるよ。。。」
「ははは、『七賢』としての掟、”世界への干渉をせぬ事”を遵守するために隔絶した環境に身をおいておるのじゃ。元々王族出身者などで、『七賢』の力は国家運営とは分けて使って国王としての責務を立派に果たしている者もいるがな、ワシはそんな器用なことなどできゃせんから、こうして最近はめっきり桃源郷生活じゃ。」
「はぁ~、そういう理由なんですね~。掟を厳格に守るために寂しい隠遁生活を決め込むなど、私たちなんかには及びもつかない事です。」
「ガラハド、そんなにかしこまらなくてもいいわよ。私のおじいちゃんなのよ。それに好きで隠遁生活しているんだから(笑)。」
「そうは言ってもな~。。。」
どっと笑うガラハド以外の面々、ガラハドも少々照れくさく赤面している。
「さて、お茶も飲んで一息ついたことだし、本題に入ろうかの。」
「うん!レーネはいったいどうしてしまったの!?なんで彼女はああなってしまったの!?私たちはどうすれば彼女を取り戻せる!?」
畳み掛けるように必死にラルフに問いかけるリーン、リーンにとってラルフは義祖父というだけではなく、人生の上でも心の支えなのであろう。ラルフは落ち着いて答えた。
「うむ、『ルーアン』に火の雨を降らせたのも、大親友や恋人を生死不問の指名手配にしたのも、当然彼女の本意ではあるまい。おそらく裏で手をひいているものがいるはずじゃ、それも、レーネほどの手練の者の心の隙間を突き、洗脳してしまえるほどの強力で巧妙な術を駆使するものじゃ。」
どうやらラルフはリーン達の身の上に起こった事の一部始終を把握している様子だ。その中には伝書鳩の言っていたコガネムシ観測網によるルーンの変動から分析した情報もあろう、その他いったい何種類の情報収集手段を持っているのか想像もつかない。リーンは彼の持つ風変わりな情報網の存在を大雑把に把握しているためラルフの判断の正確さに委ねきっている風であった。
「それは誰?そんなに簡単に狂気に陥ってしまうようなレーネではないはずよ!?」
「うむ、『アーデルヘイト』という名を知っているかの?」
「???ちょっと分からないですね。」
「数百年前に『ミズガルズ』に現れた伝説の『ロキの瞳』を持つ『時空の賢者』ね?」
メルが確認も込めてそう答える。
「不勉強で詳しく知らなかったわ。その『時空の賢者』がどうしたの?」
リーンは魔道の歴史に熱心でなく、知らないようだった。
「うむ、この情報は本来は知ってはいけない掟で、『七賢』以外には空かせぬ事柄だったのじゃが、お前の命も掛かっておるしては仕方あるまい。実はな、今から数十年前に始まった今は亡き『ウェールズ』狂王エアハルトの愚行、その配下の貴族たちの暴虐、『英雄戦争』の煽動、それらの全ての黒幕がその『アーデルヘイト』なのじゃ。
数百年前に『時空の賢者』であったあ奴が『ロキの瞳』を発現させて以来、自身の正体はバレないよう巧妙に隠しつつ『ミズガルズ』の安寧を損ねるような惨事ばかり起こしておった。」
「え!?『英雄戦争』は狂ってしまった『ウェールズ』王エアハルトを正すべく、カーンやマキシムを筆頭としてパルチザン的に起こった戦争のはずですが!?私達も当事者ですし!?」
「うむ、表向きはそういうことになっておる。『時空の賢者』が世界の混迷に一枚噛んでおった、見ようによってはそれどころではなく主謀者じゃった、などと知れたら『ミズガルズ』中大混乱じゃからな。
ワシ達『七賢』は世界の安定を守るために、『紡ぎの神々』達からルーンのバランスの管理を任されておる存在。勝手に現世の政治や国家などに手出しする事は固く禁じられておるし、そしてそんな事をしたら愚の骨頂じゃ、世界の終焉を招くかも知れぬ。」
「その『アーデルヘイト』はどういう悪巧みをしていたの?」
「ヤツは自身の『時空の賢者』としての存在はひた隠しに隠しつつ、『ウェールズ』王国へ宮廷魔道士として仕えておった。ヘラという名前じゃ。当然ながら実力として申し分ない奴はメキメキと頭角を表し、おそらく今回もそうしておるのじゃろうレーネと同様エアハルトをそそのかし、貴族達が圧政で統治する愚政を出現させたのじゃ。あとは、それをところどころ破滅してゆく方向へ軌道修正して、最後はあのような悲惨な戦争へと導いておったんじゃ。世界の混迷を願って止まないのじゃよ、ヤツは。」
「分からないわ!そんな事して何の役に立つのかしら?それに『七賢』の規律違反じゃないの?」
真面目な正義漢のリーンは、まったく心外だと言わんばかりに怒ってこたえる。
「うむ、『七賢』の掟は元々自助努力的なものじゃからの、大洪水を起こしたとか、国を一つ滅ぼしたとか、明白なものはもちろん他の賢者たちや『紡ぎの神々』達に罰せられるのじゃが、裏で手を引くというのは結局手を下すのが人間じゃからの、そそのかされるのも人間なら破壊するのも人間じゃ、そういった物事一つ一つに監視と審判を行うわけにもいかないのじゃ。
それを言いだせば、ワシが『英雄戦争』にてお前にした助言や、張っておった【緑の防御結界】も違反になってしまうしの。他にも色々施しておいたのじゃが、、、。」
その中央は中庭で、吹き抜けになって木漏れ日が入っている。まるで実物を見ているかのような迫力の猿の彫刻が柱に施された大きなウッドテラスがあり、端の方には客人用に磁器でできたティーカップを陳列した棚や調理機材までが、きれいに整頓されて配置されている。
ラルフの友人でもあり使用人でもある森の妖精ピクシー達が、リーン達の飲み物の趣味を聞いて紅茶やコーヒーや黒豆茶や緑茶などを、おそらく彼女たちが日頃作っているのであろう、ドライフルーツや木の実を使ったお菓子をお茶請けにして持ってくる。ガラハドの頼んだブラックコーヒーにはメープルシロップのついたクルミのクッキーが、リーンの頼んだ紅茶にはレモンやキンカンのドライフルーツが、メルはいつものメニューで慣れているのかホットミルクとブラックチョコレートの組み合わせが出てきた。
ピクシー達は赤い髪、白い顔、尖った耳、緑色の服を着ており身体は半分透き通っていた。身長50cm程度で細身の体型、みな利口そうな顔で客人をニコニコ微笑んで持てなしている。ラルフ達への給仕を進んで行っている様子だ。巨大なコテージの中に設けられた陽だまりのウッドテラスで、優雅に洗練され尽くしたお茶を振る舞われている様子は、まるで御伽話の絵本の中の一幕のように見える。
「まるで幻想世界だなここは?コーヒーもほどよくコクがあって、クルミのクッキーとの相性も抜群だし、、、。『イスティファルド』での事が遠い世界で起こった出来事のように思えるよ。。。」
「ははは、『七賢』としての掟、”世界への干渉をせぬ事”を遵守するために隔絶した環境に身をおいておるのじゃ。元々王族出身者などで、『七賢』の力は国家運営とは分けて使って国王としての責務を立派に果たしている者もいるがな、ワシはそんな器用なことなどできゃせんから、こうして最近はめっきり桃源郷生活じゃ。」
「はぁ~、そういう理由なんですね~。掟を厳格に守るために寂しい隠遁生活を決め込むなど、私たちなんかには及びもつかない事です。」
「ガラハド、そんなにかしこまらなくてもいいわよ。私のおじいちゃんなのよ。それに好きで隠遁生活しているんだから(笑)。」
「そうは言ってもな~。。。」
どっと笑うガラハド以外の面々、ガラハドも少々照れくさく赤面している。
「さて、お茶も飲んで一息ついたことだし、本題に入ろうかの。」
「うん!レーネはいったいどうしてしまったの!?なんで彼女はああなってしまったの!?私たちはどうすれば彼女を取り戻せる!?」
畳み掛けるように必死にラルフに問いかけるリーン、リーンにとってラルフは義祖父というだけではなく、人生の上でも心の支えなのであろう。ラルフは落ち着いて答えた。
「うむ、『ルーアン』に火の雨を降らせたのも、大親友や恋人を生死不問の指名手配にしたのも、当然彼女の本意ではあるまい。おそらく裏で手をひいているものがいるはずじゃ、それも、レーネほどの手練の者の心の隙間を突き、洗脳してしまえるほどの強力で巧妙な術を駆使するものじゃ。」
どうやらラルフはリーン達の身の上に起こった事の一部始終を把握している様子だ。その中には伝書鳩の言っていたコガネムシ観測網によるルーンの変動から分析した情報もあろう、その他いったい何種類の情報収集手段を持っているのか想像もつかない。リーンは彼の持つ風変わりな情報網の存在を大雑把に把握しているためラルフの判断の正確さに委ねきっている風であった。
「それは誰?そんなに簡単に狂気に陥ってしまうようなレーネではないはずよ!?」
「うむ、『アーデルヘイト』という名を知っているかの?」
「???ちょっと分からないですね。」
「数百年前に『ミズガルズ』に現れた伝説の『ロキの瞳』を持つ『時空の賢者』ね?」
メルが確認も込めてそう答える。
「不勉強で詳しく知らなかったわ。その『時空の賢者』がどうしたの?」
リーンは魔道の歴史に熱心でなく、知らないようだった。
「うむ、この情報は本来は知ってはいけない掟で、『七賢』以外には空かせぬ事柄だったのじゃが、お前の命も掛かっておるしては仕方あるまい。実はな、今から数十年前に始まった今は亡き『ウェールズ』狂王エアハルトの愚行、その配下の貴族たちの暴虐、『英雄戦争』の煽動、それらの全ての黒幕がその『アーデルヘイト』なのじゃ。
数百年前に『時空の賢者』であったあ奴が『ロキの瞳』を発現させて以来、自身の正体はバレないよう巧妙に隠しつつ『ミズガルズ』の安寧を損ねるような惨事ばかり起こしておった。」
「え!?『英雄戦争』は狂ってしまった『ウェールズ』王エアハルトを正すべく、カーンやマキシムを筆頭としてパルチザン的に起こった戦争のはずですが!?私達も当事者ですし!?」
「うむ、表向きはそういうことになっておる。『時空の賢者』が世界の混迷に一枚噛んでおった、見ようによってはそれどころではなく主謀者じゃった、などと知れたら『ミズガルズ』中大混乱じゃからな。
ワシ達『七賢』は世界の安定を守るために、『紡ぎの神々』達からルーンのバランスの管理を任されておる存在。勝手に現世の政治や国家などに手出しする事は固く禁じられておるし、そしてそんな事をしたら愚の骨頂じゃ、世界の終焉を招くかも知れぬ。」
「その『アーデルヘイト』はどういう悪巧みをしていたの?」
「ヤツは自身の『時空の賢者』としての存在はひた隠しに隠しつつ、『ウェールズ』王国へ宮廷魔道士として仕えておった。ヘラという名前じゃ。当然ながら実力として申し分ない奴はメキメキと頭角を表し、おそらく今回もそうしておるのじゃろうレーネと同様エアハルトをそそのかし、貴族達が圧政で統治する愚政を出現させたのじゃ。あとは、それをところどころ破滅してゆく方向へ軌道修正して、最後はあのような悲惨な戦争へと導いておったんじゃ。世界の混迷を願って止まないのじゃよ、ヤツは。」
「分からないわ!そんな事して何の役に立つのかしら?それに『七賢』の規律違反じゃないの?」
真面目な正義漢のリーンは、まったく心外だと言わんばかりに怒ってこたえる。
「うむ、『七賢』の掟は元々自助努力的なものじゃからの、大洪水を起こしたとか、国を一つ滅ぼしたとか、明白なものはもちろん他の賢者たちや『紡ぎの神々』達に罰せられるのじゃが、裏で手を引くというのは結局手を下すのが人間じゃからの、そそのかされるのも人間なら破壊するのも人間じゃ、そういった物事一つ一つに監視と審判を行うわけにもいかないのじゃ。
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