野菜士リーン

longshu

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第1章

1-56 海神エーギルとフレーセイ島 その13 ヘヴリングの自動給仕魔法

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リーン 「あぁあ~、行っちゃった。。。アンピトリテさんも本気みたいね。レーネという歴とした恋人がいると伝えてあげた方が良いかしら、、。」

ウズ(叩き付ける波) 「え、レーネってあの?『レボルテ』の?」

これまで、ひときわ無口でリーン達とは距離を置いていた、『波の乙女』の一人ウズが驚きの声を上げる。

リーン 「ええ、そうよ、ここ数年相手にされていないけどね(笑)。」

ウズは、ヒミングレーヴァと目配せをする。ヒミングレーヴァも微妙な感じだ。二人とも触れてはけない物に触れてしまっているかのようなぎこちない素振りをする。

メル 「ら、らに”触らぬ神に祟りなし”みたいな、し、辛気くさい空気りらってんのよ!!全部ま、まとめて、わ、私が取り返すって言っれんれしょ!!!」

今度は怒り上戸になったメルが、またがなっている。

リーン 「ねえ、ヒミングレーヴァさん。レーネの行いって『神々』の間でも問題になってるの?」

少し考えた素振りをしてヒミングレーヴァが答える。

ヒミングレーヴァ 「あ、あぁ。我々『神々』は世界の動きには干渉せぬように取り決められているから、『真理の顕現』を使って『ミズガルズ』や『アールヴヘイム』の住民達に迷惑を掛けようが、それはどっちでもいいんだ。そんな事を言ったら、『英雄戦争』だって両成敗しないといけないからな。しかし、、、。」

言葉を継いでビャルギャが言う。

ビャルギャ 「レーネの行いには、何か彼女以外の力が働いていそうな雰囲気なのです、私たちもそれが何なのか分からないから困っているんですが、、、。」

リーン 「そ、そうなんですか。。。(やっぱり)」

ウズ 「あ、食後のデザートが来たわ。さ、みんな食べよう。へヴリングの自動給仕魔法、今日はどーなってるの?」

へヴリング 「今日はケーキよ!遠い異国の文献から題材を取ったわ!!これ探すの苦労したんだから!!!」

唐突にデザートで話を逸らす『波の乙女』達。もっともへヴリングだけは単にデザートの紹介に夢中のようだったが、、、リーンもこれ以上は突っ込むのはやめた。

リーン 「お料理がなくなったら好きな分出てきたり、お腹一杯になったら停まったり、調度品や壁紙が一瞬でとてもきれいになったり、ましてやケーキが自動で出てくるなんて、どういう魔法なの?」

へヴリング 「よくぞ聞いてくれました!!」

へヴリングは肩に掛からないくらいの茶色の髪をお下げにしている。一目でイケメンの巨人ゾンビに熱を上げるなどそちらの方はなかなかに活発な様子だ。神々の世界の細かい機微などは無頓着らしい。『波の乙女』達の四女である。

へヴリング 「今をさかのぼること数万年前、新しく出来たこの世界もいよいよ活気づいてきて、生者と死者の往来も盛んになっていろいろこんがらがってきちゃったの、そこで『オーディーン』様はお父さんを水死者の交通整理をさせるべく、ここ『フレーセイ島』へ派遣することにしたのよ。で、『アースガルズ』なんて至れり尽くせりの環境から、いきなりこんな辺鄙な海の果てに単身赴任なんてかわいそうだから、かわいい私たち『波の乙女』も付いて行ったわけ。」

リーン (あ、話長そ~、、、。)

へヴリング 「そこで困ったのが食料よね、これまで『アースガルズ』では、『ミズガルズ』や『アールヴヘイム』やその他諸々の貢ぎ物やら献上物やらで、美味しい物には事欠かなかったんだけど、ここと来たら、はい魚、はい豚、はい茸でしょ~???ろくに料理もしたことない私たちは、そんな野趣溢れる調理環境なんか馴染めない訳よ、よくお腹壊したしね。おまけに自分たちで猟までしなきゃいけないんだから!」

リーン (最近いろいろありすぎて感覚麻痺してたけど、神様もお腹壊すのね?ま、おじいちゃんだって、よく間違えてキノコ食べてお腹壊すけど、、、。)

へヴリング 「で、編み出したのが私の真骨頂、自動給仕魔法よ、じゃじゃじゃ~ん!!」

コールガ 「おねえちゃん、前置きは良いから早く答えてあげなさいよ、リーンさんあくびしてるわよ!」

リーン 「あ、失礼。」

へヴリング (がっくりしつつ)「だ~れも認めてくれないんだから私の魔法。みんなアンデッドをコントロールしたり、地獄送りにしたりする方法にばっか熟達して、日常生活顧みてみなさいってのよ!!ねぇ、リーンさん。」

リーン 「あ、そうね。私は土魔法しか出来ないけれど、戦闘で使える魔法よりは、もっと日常的な魔法出来た方が役に立つわね。(話、合わせとこっと)」

へヴリング 「ほら~、みんな聞いたでしょ!私の魔法の真の価値を!!」

バーラ 「いいからいいから!」

へヴリング 「バーラ、あんたは特に冷たいわね~、少しは姉を敬いなさいよ。まぁ、いいわ、今に始まったことじゃないし、、、。で、自動給仕魔法なんだけどね、リーンさん。」

リーン 「ええ。」

どうも他の『波の乙女』に相手にされないのか、リーンにばかり話を持って行くへヴリングである。

へヴリング 「まずは、海、山、耕地、いろんな自然環境で、ここらの精霊の元締め達を探して、生活させてもらう許可と狩りの助力を請う契約をするでしょ。海ならネレイス、森ならドリアード、耕地はヘスペリデスやフェノゼリーね。それからその配下達に私たち10人分の食料を毎日獲ってきてもらうように頼み込むのよ。もちろんお礼はするけどね。」

リーン 「それってみんな上級精霊じゃないの?そんな契約するなんて、相当な万能魔道士じゃないと無理ね?へヴリングさんすごいわ?ねぇ、メル聞いた?へヴリングさん、いろんなルーン属性の上級精霊と契約できる万能魔道士なんだって、ねぇ、メルってば?」

、、、メルは、すでに飲み過ぎて机にうつ伏せに倒れ込んでいるのであった。

リーン 「で、集めたもらった食料はどうするの?」

へヴリング 「『ヴァンドロメオン』の厨房まで運んでもらった食料は、火はイフリート、調理はシルキーにお願いね。彼女アリスって言うんだけど、ホントに料理好きなのよね。わざわざ『アースガルズ』の古い洋館からスカウトしてきたのよ。で、あとはいろんな地方から取り寄せたレシピをルーン語に翻訳してアリスちゃんに伝えている訳。」

リーン 「火の上級精霊『イフリート』がフライパン使ってんのなんて想像も着かないわ?」

へヴリング 「お皿とかが飛んでくるのはポルターガイストね。闇の精霊。それらを組み合わせて日々の食卓が成り立ってるのよ。」

リーン 「へぇ~闇の精霊まで?、ここまでいろんなルーン属性を駆使してるなんて及びもつかなったわ!まさに国家S級万能魔道士にも匹敵するわね!」

メル 「へ、呼んだ?」

リーン 「あ、起きた、何あんたの事じゃないわよ。へヴリングさんの事。あんたは大体C級万能魔道士でしょ(笑)?」
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