野菜士リーン

longshu

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第1章

1-75 火竜 ヴィーヴィル

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リーンと、メルが緊急事態の相談をしていると、巨人の村人達の目前に魔方陣が現出し、中から下半身は飛龍そのもの、上半身は女の姿、背中に5mはあろうかという巨大な比翼を備えサファイアの瞳で出来た仮面のような美しい顔をした怪物が、魔方陣からスッと抜け出てくるように姿を現した。身の丈10m程あまり、その爬虫類じみた外観と能面のような美顔とのギャップは異様で、巨人達はともかく、リーン達やザイラート達小さき者達を圧迫するに十分な存在感であった。

(う、め、目眩が。。。)
(あ~、あんなの呼び出しちゃって!!炎の上級精霊 火竜『ヴィーヴィル』よ!!ただじゃ済まないわ、に、逃げましょうよ!!!?)

ゴォォォー! ガラハドが卒倒したり、メルが逃げ口上を言ったりする間も無く『ヴィーヴィル』は口から炎のブレスをまき散らし、直撃した外壁は一瞬のうちに溶解し辺りは炎に包まれだした。

「みたか!お前達を正々堂々ぶっ倒して、これまでどおりノーム達から水の反物だの、魔法のリングだのを買って稼ぎまくるぜ!」

女巨人スネアは、連れ立ってきた村の面々と共に気勢をあげる。

「う、う~む、いよいよ村の長老の呪い師まで連れ出してきおって!おい、ウドグド、ぐずぐずするな、まずは呪い師を縛り上げるぞ、『ヴィーヴィル』退治はその後だ!」

「おー、わ、わがっだ~。」

外にお仕置きとして大木に縛り付けられていたウドグドにそう命ずると、ダンドンはすぐに装備を調え戦闘に向かう。

「えええ~、あ、あれと、た、闘う!?」
リーン達は耳を疑った。

「そうだ、あんなのいつに変わらぬ事よ!地上のお客人達、ザイラーンそれにロック、相手出来なくて済まんな!『ミルスラン』枝窟はあちらの方角だ、とばっちりを食わぬうちに手早く退散するが良かろう。」

と、言うと、その巨大な両刃剣でウドグドをがんじがらめにしている鋼鉄のチェーンをいとも簡単に切断し、他の巨人達を連れ立ち村民と戦いにかかるダンドンであった。

「了解しました。機会があればまた会いましょう。」

ザイラートはそう言うと、リーンやロック達と荷物をまとめ戦いの及ばぬ『炎の巨人領』奥地へ歩を進める。

ーーー守衛所から少し離れて ---

「お~う、ドンパチやっとるな!火竜が飛び回っとるのが見えるぞ!ダンドンも外壁から飛びかかって、けっこう善戦しておるようじゃな(笑)。」

「あ、ホントだ、まさかあの『ヴィーヴィル』相手に互角以上に立ち回れるなんて、炎の巨人の身体能力ってやっぱり凄いのね!」

「『ヴィーヴィル』って何者なの?」

「あれ、知らないの?炎のルーン界の暴れん坊で序列5位の大帝みたいな地位の精霊よ!」

自然にばかり眼が行って魔法知識に興味のないリーンに、メルがしたり顔で解説を加える。七芒星魔道士の面目躍如と言わんばかりに得意げだ。

「え~、あのウドグドを見た時は、全然いけてないと思ったけど、『炎の巨人』達も結構強いのね~。。。」

「しっかし、あれが日常茶飯事なんて、一から十までオレたちの理解を超えた世界だな、ここは。。。」

「巨人の住む世界はそんなものなのかもしれないわね?みんな大きくて力を持てあましちゃうもの。」

「そういう見方もあるかもしれませんね。私も遭遇した事はそんなに多くありませんが、いつも何かあるとすぐに喧嘩を始めて、しかし決して種族間で殺し合うまではしないのです。むしろ、定期的に息抜きをするために戦いを楽しんでいるようにも見えますよ。」

「ただ、粗暴なだけじゃ(笑)!」

ロックはザイラーンにおきまりの悪態をつく。

突如始まった巨人と炎の竜の戦いから早々に撤収し、このダイナミックで豪快な『炎の巨人領』の世界の深部へ歩を進めるリーン達であった。
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