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第1章
1-79 黒の工房
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「お、あの武器屋!なかなか良さそうなバトルアクス置いてあるな?主人の眼光を見ろよ!相当な鑑識眼に見えるぞ!」
「は~、あの魔導具屋さんに置いてある魔導具達のルーンの流れの旺盛な事!だいたい土魔法のようだけど、金のカエルに負けないくらい精巧そうな魔法式が組んであるように見えるわ!行ってみたい!!」
「そう?全然興味湧かないな~。あっ!!あのパプリカ自動栽培機みたいなのは何!?す、すごいルーンの循環を感じるわ!!!行ってみましょうよ!!」
「そんなん買ってどうするのよ(笑)、『ミズガルズ』まで持っていけないじゃないの?相変わらずね、リーン(笑)。」
「うるさい!そんな精巧なものはイルトトの所に行けば、掃いて捨てるほどあるわい!早く行くぞ!!」
リーンたちは、カエルに案内されたドワーフ村『ガーギンゲン』の崖の上から、整備された石造りの階段をゆっくりと降りて村に入った。ドワーフの隠れ里は街並みは古びて人通りは閑散としているものの商家が所々に点在している、ドワーフの隠れ里など初めて入る人間のリーン達は、物珍しさも手伝ってそれらいろんなお店にいちいち歓声を上げていたのであった。
「ねぇ、ロックさん、前はどうしてここに来ていたの?」
「うむ、ワシが近衛兵になる前に金鉱夫だった頃、ちょうどここから先の金鉱が最盛期でな、ドワーフたちと共に掘っておったのよ。ドワーフは黄金が大好きで、それから金細工の精巧さはこの世界に類を見ないからな。あの黄金のカエルも横領を防ぐために地表で活躍していたものよ。ワシもその時はずいぶん儲けさせてもらったわい。」
活気に溢れているとはお世辞にも言えない、石造遺構の街並みを興味津々に巡りつつ、リーンはロックに尋ねた。地下世界のドワーフの旧金鉱の村の建物は、どれもこれもドワーフの身長に合わせて『ミズガルズ』の建物より少し小さめに、そしてそのほとんどが御影石で頑強に出来ている。ロックの言う金工の他にも石工も得意としているようだ。金山で賑わっていた名残か、そこかしこに宿はありしかしほとんどが開店休業か酒場として機能しているようである。
「けっこう人もお客さんも少ないようですけど、宿の人たちはどうやって生活しているんでしょうかね~?」
「ワシ達のように冒険をしている者達も多くはないがおるのと、元々土魔法の得意なドワーフたちは労働を必要としておらん、ほれあそこにふんだんになっている果樹なんかどうじゃ?ほとんど手を入れなくても簡単な土魔法で食料が手に入るからな。」
ロックの言うとおり、道のそこここに持ち主の趣味なのだろうか果樹が植えてあり、どれもこれもはち切れんばかりにたわわな実をつけている。
「そうね、そういえば私もおじいちゃんも、あんまりお金のために働いていた事はないわね。どちらかというと社交のためというか暇つぶしというか趣味というか。。。」
「ちぇ、気楽でいいよな?土魔法使いは。。。」
「土魔法と言っても、こういう生命を繁栄させるようなタイプは、リーンとラルッちくらいしか存分には扱えないのよ。ドワーフの世界なら普通なのかしらね?”普通の”人間の土魔法使い達は、物質の材質を変化させたりとか、地震を起こしたりとかしかできないわ。リーンはまったくマニアックなタイプなのよ(笑)。」
「別に好きでやってるんじゃないわ、それしか出来ないんだもん!」
「ふん、お前達の魔法の素養の事などどうでもいいわい。お、そろそろイルトトの工房が見えてきたぞ。」
ロックの指さす先に、周りの建造物よりも一回り大きい、また一時代前に建てられたように見える建物が見えてきた。金山で賑わっていた頃に立てられた他の建物と違い、真っ黒い御影石が極端に磨き込まれた鏡のように、異次元への進入路のように、はたまた冷たい『ニヴルヘル』の鉄の掟のように、あくまでも整然とまるで100km先まで真っ直ぐに続くかのように続いている。見事なばかりに黒く輝く正六面体の建物であった。イルトトの工房から比べるとこれまで立派に頑強に見えていた建物など児戯のように見えるのだった。
「おお、あれが噂に聞くイルトト殿の工房ですね。あくまで黒く、そして何者にも動かしがたいほど透徹していて、そして当たり前のように美しい。噂に違わぬ威容ですね。」
ザイラートが感心してリーン達に語りかける。
「え、イルトトさんって知る人ぞ知る人物なんですか?」
「ええ、ドワーフが金細工や工芸が得意で、神話にもたびたび出てくる事はご存じでしょう?」
「なんとなく(笑)。」
「『アンドヴァリの黄金』や『ブリージンガ・メン』は?」
「アンなんとかは知らないけど、『ブリージンガ・メン』は、女神『フレイヤ』が身につけている首飾りね?確か首飾りのあまりの綺麗さとそれ欲しさに、首飾りを作った4人のドワーフと寝たとか?」
「そう、イルトトはその神話のドワーフの中の一人『ドヴァリン』の子孫ですよ。なぜかロックさんとお友達なのです(笑)。」
「なぜかとは何じゃ、金鉱夫時代のお得意さんじゃわい。良い目利きじゃと言って、よくワシの見つけた黄金を高額で買い取ってくれたもんじゃわ。そういえば、親から子へと言うのか彼はいくつになっても好色じゃの。」
「なんか、展開的に嫌な予感がするのは私だけかしら。。。」
「おまえ、『草原の王国』のお妃になるんだなんて張り切ってたからいいじゃないか(笑)?」
「エロいドワーフの登場で清純派主人公の冒険という雰囲気がぶちこわしになりそうで面白いわね(笑)。」
リーンの心配をよそにガラハドとメルが茶化す。
「あぁ、一抹じゃなくて百抹の不安が、、、、と、とりあえず、そこに行ってみましょうか。。。」
「は~、あの魔導具屋さんに置いてある魔導具達のルーンの流れの旺盛な事!だいたい土魔法のようだけど、金のカエルに負けないくらい精巧そうな魔法式が組んであるように見えるわ!行ってみたい!!」
「そう?全然興味湧かないな~。あっ!!あのパプリカ自動栽培機みたいなのは何!?す、すごいルーンの循環を感じるわ!!!行ってみましょうよ!!」
「そんなん買ってどうするのよ(笑)、『ミズガルズ』まで持っていけないじゃないの?相変わらずね、リーン(笑)。」
「うるさい!そんな精巧なものはイルトトの所に行けば、掃いて捨てるほどあるわい!早く行くぞ!!」
リーンたちは、カエルに案内されたドワーフ村『ガーギンゲン』の崖の上から、整備された石造りの階段をゆっくりと降りて村に入った。ドワーフの隠れ里は街並みは古びて人通りは閑散としているものの商家が所々に点在している、ドワーフの隠れ里など初めて入る人間のリーン達は、物珍しさも手伝ってそれらいろんなお店にいちいち歓声を上げていたのであった。
「ねぇ、ロックさん、前はどうしてここに来ていたの?」
「うむ、ワシが近衛兵になる前に金鉱夫だった頃、ちょうどここから先の金鉱が最盛期でな、ドワーフたちと共に掘っておったのよ。ドワーフは黄金が大好きで、それから金細工の精巧さはこの世界に類を見ないからな。あの黄金のカエルも横領を防ぐために地表で活躍していたものよ。ワシもその時はずいぶん儲けさせてもらったわい。」
活気に溢れているとはお世辞にも言えない、石造遺構の街並みを興味津々に巡りつつ、リーンはロックに尋ねた。地下世界のドワーフの旧金鉱の村の建物は、どれもこれもドワーフの身長に合わせて『ミズガルズ』の建物より少し小さめに、そしてそのほとんどが御影石で頑強に出来ている。ロックの言う金工の他にも石工も得意としているようだ。金山で賑わっていた名残か、そこかしこに宿はありしかしほとんどが開店休業か酒場として機能しているようである。
「けっこう人もお客さんも少ないようですけど、宿の人たちはどうやって生活しているんでしょうかね~?」
「ワシ達のように冒険をしている者達も多くはないがおるのと、元々土魔法の得意なドワーフたちは労働を必要としておらん、ほれあそこにふんだんになっている果樹なんかどうじゃ?ほとんど手を入れなくても簡単な土魔法で食料が手に入るからな。」
ロックの言うとおり、道のそこここに持ち主の趣味なのだろうか果樹が植えてあり、どれもこれもはち切れんばかりにたわわな実をつけている。
「そうね、そういえば私もおじいちゃんも、あんまりお金のために働いていた事はないわね。どちらかというと社交のためというか暇つぶしというか趣味というか。。。」
「ちぇ、気楽でいいよな?土魔法使いは。。。」
「土魔法と言っても、こういう生命を繁栄させるようなタイプは、リーンとラルッちくらいしか存分には扱えないのよ。ドワーフの世界なら普通なのかしらね?”普通の”人間の土魔法使い達は、物質の材質を変化させたりとか、地震を起こしたりとかしかできないわ。リーンはまったくマニアックなタイプなのよ(笑)。」
「別に好きでやってるんじゃないわ、それしか出来ないんだもん!」
「ふん、お前達の魔法の素養の事などどうでもいいわい。お、そろそろイルトトの工房が見えてきたぞ。」
ロックの指さす先に、周りの建造物よりも一回り大きい、また一時代前に建てられたように見える建物が見えてきた。金山で賑わっていた頃に立てられた他の建物と違い、真っ黒い御影石が極端に磨き込まれた鏡のように、異次元への進入路のように、はたまた冷たい『ニヴルヘル』の鉄の掟のように、あくまでも整然とまるで100km先まで真っ直ぐに続くかのように続いている。見事なばかりに黒く輝く正六面体の建物であった。イルトトの工房から比べるとこれまで立派に頑強に見えていた建物など児戯のように見えるのだった。
「おお、あれが噂に聞くイルトト殿の工房ですね。あくまで黒く、そして何者にも動かしがたいほど透徹していて、そして当たり前のように美しい。噂に違わぬ威容ですね。」
ザイラートが感心してリーン達に語りかける。
「え、イルトトさんって知る人ぞ知る人物なんですか?」
「ええ、ドワーフが金細工や工芸が得意で、神話にもたびたび出てくる事はご存じでしょう?」
「なんとなく(笑)。」
「『アンドヴァリの黄金』や『ブリージンガ・メン』は?」
「アンなんとかは知らないけど、『ブリージンガ・メン』は、女神『フレイヤ』が身につけている首飾りね?確か首飾りのあまりの綺麗さとそれ欲しさに、首飾りを作った4人のドワーフと寝たとか?」
「そう、イルトトはその神話のドワーフの中の一人『ドヴァリン』の子孫ですよ。なぜかロックさんとお友達なのです(笑)。」
「なぜかとは何じゃ、金鉱夫時代のお得意さんじゃわい。良い目利きじゃと言って、よくワシの見つけた黄金を高額で買い取ってくれたもんじゃわ。そういえば、親から子へと言うのか彼はいくつになっても好色じゃの。」
「なんか、展開的に嫌な予感がするのは私だけかしら。。。」
「おまえ、『草原の王国』のお妃になるんだなんて張り切ってたからいいじゃないか(笑)?」
「エロいドワーフの登場で清純派主人公の冒険という雰囲気がぶちこわしになりそうで面白いわね(笑)。」
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