野菜士リーン

longshu

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第1章

1-89 UMA襲来?

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『とこしえのダンジョン』を更に進むこと数時間、リーン達一行の耳に不気味なうなり声が聞こえる。

「ぶぅぅ~ん、ぶぅぅ~ん、ぶぅぅ~ん、、、、」

その音は、なんらかの管状生物の振動音のようで不気味に周期的だ、人間の耳に聞こえるか聞こえないかくらいの低周波で、聞く者に警戒を起こさせるに十分な、まったくもって何とも不可思議な響きだった。

「な、なんだこのうなり声はっ!!?」
早速ガラハドが敏感に怯えの一声を放つ。

「はっ、また臆病の蟲が始まったわ!」

「お前はガラハドに嫌に食ってかかるの~、気でもあるのか(笑)。」

「ばっ、ばか言ってんじゃないわよ!!」
意外や意外、メルはこういった攻撃には弱いようであった。

「ガラハドはいつも通り大げさ過ぎるにしても、なんとも得体が知れないわね。全然止む気配がないし。。。」

なおも、発展を遂げた国家の法典のように杓子定規に整備された神秘的なこの『とこしえのダンジョン』を『ミルスラン枝窟』の方へ進むこと半刻(1時間)あまり、その間不気味な周期音は、繰り返しその聞く者の意志をくじくような異様な音を発し続けた。

「ぐ、ぐぁぁぁぁぁ、だ、だめだ、不安で胸が張り裂けそうだ!リーン、原因を探そうぜ。」

「うるさいの~、大ミミズかなんかが這い回る音かもしれんじゃろうが!この小心者が!!」
と、ロック。

「ホントだぜ!安心して眠れやしない!!!」

「わっ!!?」

一同皆声を揃えて驚いた。周期音が止んだと思ったら、今度はどこからかそんな声が聞こえてきたのだ。と、同時にガラハドの右手の小盾から白くもやが掛かった怪しげな煙が次から次へと止めどなく吹き出す。

「な、何じゃ!?」
ロックは白い煙へ向けて爆炎槌を振りかざそうとする。しかし、ザイラートは制止して、

「心配には及ばないでしょう、これは恐らく、、、」

ザイラートが言い終わらぬうちに、白い煙は霧のように姿を変え、その中に一体の何らかの形が作られた。そしてさらにしばらくして霧が晴れると、リーン達の前に質量感を伴った命ある物体が姿を現した。それは体長5mはあろうかと言うしなやかで健康な白豹のような身体、そして白いふさふさの毛に覆われた鼻のみが1m程独立して伸びている。周囲は神々しいまでに白く幻想的に光り輝き、その雰囲気の中に居ると自然と和やかになってしまうのであった。

リーンを始めザイラートやロックも一度も見たことがない生物、これが光のルーン界に住む、絶滅危惧種の上級精霊、獏であった。

「ホ、ホントに盾に幻獣が封印されてたのね。。。獏、だったかしら?しかも原形のままでなんて、どんな強い魔法式で韻を編んだのかしら。。。」

「ほぉ、獏とは何と神々しいもんじゃ!お主、名は?」

悪態しかつかないロックが珍しく賞賛している、ザイラートの体術並に見事に見えるらしい。それにしても上級精霊にも臆さず皆と同等に語りかけるロックにリーンは驚きあきれるのであった。長命なノームという種族にとっては、人間よりもルーン界の精霊達の方が近しい存在なのかもしれない、とも思った。

「またずいぶんつっけどんなノームのじいさんだな!オレは獏のマレーだよ。イルトトの奴に騙されて、小盾に封印されてたんだよ!!まったくあのじじぃと来たら、バクバク(ぶつぶつ)、、、。」

「ちょ、冗談のような名前ね(笑)。」

「それでも盾から出られるのね?」

「よく見てみろよ、尻尾から細い線が出てるだろ?これで縛られてて盾からは遠くには行けないようになってんだよ!」

「まぁ、可哀想ね。。。」

リーン達がよく見ると獏のマレーが言うように、尻尾の先からエクトプラズムのような細長い帯が伸びてガラハドの籠手に繋がっているのが見えた。イルトトの施した拘束具のようだ。
エクトプラズムが繋がっている彼のその優美な長い白豹の尻尾は、身体のバランスをとるために雄々しく力強く均整が取れている、しなやかな四本の脚はハンターとしての強靱さと歴史を、顔から伸びている立派な白く長い鼻は神獣としての気高さを思わせた。本当に美しい、しげしげと獏を眺めてリーンは思った。

「何、じろじろ見てんだよ!見世物じゃねーぜ!?」

「あ、ごめんなさい、その、あなたがあまりにも美しかったものだから。。。」

「は、嬉しいこと言ってくれるじゃねーか!サービスしちゃうぜリーンちゃん!!」

「え、なんで自己紹介してないのにリーンの名前が分かるのよ!?(嫉妬)」
メルが早速やっかみを入れる。

「おう、メルか!だいたい、お前達の会話ずっと聞いてたしな、それにオレはな、お前らの膨大な夢の歴史に自在にアクセスできるのよ!たとえばお前の初恋の相手は、、、」

「わー、わーっ!!!」

どっ、と笑う一同。さすがのメルも夢を自在に操る光の神獣には手も足も出ないのであった。
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