野菜士リーン

longshu

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第1章

1-113 スキールニルの旅 その4 青水晶のメカニズム

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「な、何をしたお前?」

「何、彼女の時の歩みをそこの傀儡の青水晶へ移しただけですよ。」

「女の子、倒れてるじゃねーか!」

「何、そこにいる有象無象達の時の歩みは乱れていて効率が悪い、私が開発したこの青水晶に保管することにより、心根も行動も整理単純化されて、、、」

バアルの言葉を遮るように女の子に駆け寄るスキールニル

「た、す、け、て、、、」

消えゆく意識の中で必死に目の前の正義と屈強の代名詞のような戦士に助けを求める女の子。見れば、周辺に座っている多くの人たちも、皆、諦観をその瞳に浮かべつつ女の子を眺めているのであった。やがて女の子は生命の時を終える。

突然起こったあまりの出来事に呆然となるスキールニル。そして、事態を飲み込むと、真意を問いただすようにバアルに詰問した。

「どういうことだ!バアル!」

「何も、『ミズガルズ』の人間にそんなに感情的にならなくても良いですのに。私は、この都市を発展させ、彼らがより快適に過ごせるように導いているだけです。効率的に都市構築が出来るように、体力のある壮年の男性の思考を単純化させ、皆から生命の時間を集め労働人工としているだけですよ。」

「幼い子の命までもその汚い時空魔法で操ってか!」

バアルがごくあたりまえに自身の狂った論理を解説している間に、今度はスキールニル達が登ってきたのは逆方向の大階段から同じように生命活動を止めつつある男が夢遊病者のような住民に担がれ運び込まれる。

「あ、また来ましたね。しばらく生命入れ替え作業が続きますので、スキールニルさん、しばしお待、、、、」

ビュンッ!

バアルの意図をしっかりと確認したスキールニルは『勝利の剣』を一閃する。

しかし、バアルを真一文字に切り裂いたかに見えた『勝利の剣』は空を切り、バアルはその薄汚い残像をゆらゆらと残し緊迫した空間から蜃気楼のように一旦姿を消した。

「ちっ!どこに行きやがった下劣!」

スキールニルが悪態をついた瞬間、今度は何の前触れもなく神殿の頂上にいた100人を超える住人達はバタバタと倒れ、隅に禍々しい灰黒色の影が姿を現す、その影は薄気味悪くゆらゆらと影法師のように揺れ、しかし紛れもなく神官バアルの姿を形作っていた。

そして、その滲み出してくる圧力と実力は、スキールニルとブローズグホーヴィを戦慄させるに十分だった。

バアルと思しき灰黒色の影がスキールニルを睨む(少なくとも睨んだように英雄には感じられた)と、警戒を強めているスキールニルとブローズグホーヴィに向かって、石つぶてが雨あられと降り注いだ。その石つぶては衝撃波が出るほど超高速で辛うじて石と判別するのがやっとであった。

そして、不思議なことに神殿の床の上1cmでぴたりと停まり、その後自由落下でコツンと床に降り注ぐ。あくまでも自らの創り上げた神殿を壊さぬよう、綺麗にスキールニルを始末しようとしているのだろうか。

その弾丸がスキールニルを蜂の巣にするかに見えた刹那、ブローズグホーヴィが四つ足で身構え、ブルルッ、っとうなり声を上げる。すると神馬の周りから強烈な突風が彼らを守るように取り巻き吹き出し、石つぶてを弾き飛ばす。

「バアルとか言う『ヴァナヘイム』の神官、なかなかの手練れのようですな。」

人間の争いやモラルに興味のまったくない、というより理解出来ないブローズグホーヴィは、いたって平静に腐り切った男への評価をスキールニルへ述べた。

「『神界』の力を『ミズガルズ』で使いやがって!同族を虫けらのように殺すとは、絶対許さねぇ!!」

そして、いつも明朗快活な快男児スキールニルはいつになく怒りまくっている。これから神官バアルと事を構えるであろう。冷静さを失うと緻密な動作を欠き戦闘に悪影響を与える。ブローズグホーヴィはスキールニルの事を心配した。
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