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第五話 後編
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「鈴ちゃん、ちょっと一緒に出掛けられるかい?」
「私が出歩いてもいいんですか?」
「まあ俺がついているから大丈夫だろう」
昼の鐘が鳴って半刻もすると慎さんが返って来た。
急いでいるようで立ったまま私の支度を待っていた慎さんは、船宿の裏手に付けた籠に私を乗せて歩き出す。
籠の外から慎さんが話しかけてきた。
「ちょいと忙しいがまずは両国の……茶屋に向う。途中で降りて俺と一緒に歩いてくれ」
言いづらそうにしているのは多分、如何わしい店なのだろう。
「そちらに顔を確かめる浪人さんがいるのですか?」
「ああ。跡を付けた者が聞き込んだ話だとしばらく前からそこに一人で滞在しているらしい」
ちょっと間を置いてから慎さんが言葉を続けた。
「それから鈴ちゃんの伯母さんに連絡が付いたのだが、どうしても会わせろと懇願されてな。船宿に泊まっていることを周りに知られても困るので浜町の小料理屋で落ち合うことになった」
「え? 伯母がそう言ってきたのですか?」
私に対して興味のなかった伯母がわざわざ会いたいと言ってくるとは思ってもみなかった。
「ああ、丁度良い機会なので俺も挨拶させてもらおうと思う」
「慎さんがですか?」
「本当はこの件が片付いてからにしたかったのだがな」
この件が片付いてから、って昨夜も言っていたのは伯母に挨拶するという事だったのだろうか。
「それではまずは両国ですね」
少し怖いがこれで私が役に立てるなら嬉しい。
気合を入れなおして慎さんに尋ねる。
「私はどうすればいいのでしょう?」
「俺と一緒に部屋に上がってくれ。中庭を隔てて対面の部屋を取ってある。酒を運ぶ時に襖を開けっ放しにするよう女中に頼んであるから、仕切り越しに顔を確かめて欲しい」
「分かりました」
橋を渡って菰のかかった見世物小屋の裏手に入った所で籠を降り、慎さんに手を引かれて裏道を歩く。
とある角まで来ると「ちょっとすまねえ」と言ってから慎さんが私の肩を抱きながら一件の茶屋に入っていく。
中では襦袢をチラつかせたお姐さん達が客の世話をしている。どう見ても如何わしい店だ。
「二階いいかい?」
慎さんがさも当たり前のように声をかけると、少し年増の姐さんが「まあ、慎さん! どうぞどうぞ」と愛想よく部屋に案内してくれる。
慎さんは部屋に入っても私の肩を離さず、寄り添うようにして襖近くに座り込む。
直ぐに酒を持ってきた女中さんに心付けを渡しながら、襖を開け放ったまま一杯始めた。
部屋に入ってからずっと横目で睨んでいた私にやっと気づいた慎さんは、少し困ったように聞いてきた。
「こんな所に来るのは初めてだろう。嫌かい?」
「嫌は嫌ですが、慎さんはよく来てらっしゃる様ですね」
慎さんはおやっと眉を上げてから私を後ろから抱え込むように座って私の耳元に囁いた。
「隠密絡みでな。ここは非常に使いやすいのさ」
慎さんは周りには聞こえぬよう小声で直接私の耳の中に呟いた。その慎さんの呟きと唇が耳を掠ってこそばゆい。
「慎さん、周りから見えるこんな所で戯れはやめてください」
恥ずかしくて身を捩って抜け出そうとするが、慎さんにしっかり抱きとめられていて動けない。
身を捩る私を落ち着かせるように慎さんが耳元で続けた。
「鈴ちゃんにゃぁ申し訳ないが暫くこのままだ。ここは、その、連れ込み茶屋でな、余り余所よそしくしてるのも怪しまれる」
「じゃあ襖を閉めれば……」
「それじゃあ相手の顔が見えないだろ」
ああ、そうだった。
でも慎さんに抱きしめられながら耳元で囁かれているとまるで睦事を聞かされているように見えるのでは……
「そういう事をしているように見られるようにしてるんだ。そうすりゃ向こうもこっちをじろじろ見たりしない」
私の顔色を読んでそう言って、心持ち慎さんの身体で私が見えにくいように位置を調節する。
引き締まった慎さんの横顔が見えて本当に仕事なんだと一気に頭が冷めた。
「慎さん私はこのままでいいんですか?」
「……お前さんはとにかく動くな。余りもぞもぞ動かれると流石にきつい」
え? きついって……と思った所で自分のお尻の辺りに何か当たっているのに気がついた。
一瞬で全身の血が頭にのぼって真っ赤になる。
慎さんも私が気がついた事が分かったのだろう。少し身体を抱きしめる腕に力が入る。
「真っ赤になるな。余計我慢するのが大変だろう」
慎さんの手が私の身体を軽く擦り始める。
「来たぞ」
突然慎さんの鋭い声が耳元で囁いた。
見ると下から階段を上がってきた女中さんが、酒とつまみを載せた盆を持ってちょうど対面の部屋に歩いていく。
女中さんは襖の手前に膝をつき、盆を置いて襖を開けた。慎さんは顔を傾けてまるで私に口付けるように見せかけて私の顔を半分ほど覆い隠す。
「これでも見えるか?」
間近にある慎さんの顔は私を見つめながらも大変厳しい。見えにくい所で片方の手が刀にかかっている。
私は緊張に震えながら答えた。
「大丈夫です。見えています」
襖の向こうはありがたい事に障子を開けており、そこそこ明るい。
襖を超えて酒を運び込んだ女中さんが何か話をしているようだ。
生憎、丁度もう一枚の襖に隠れて私から浪人さんの顔はまだ見えず、じりじりとした思いで見つめている。
「顔が見えません。もう女中さんが下がってしまいます」
「そうか。仕方ない。鈴ちゃんちょっと悪い」
そう言って慎さんは手を伸ばして私の着物の裾を開いて手で膝の内側を上まで撫で上げた。
「ひゃぁあ!」
そのまま指で私の秘所を撫で始める。
「いやぁ、ああん、だめです。やめて」
突然の事に気が付いたら声が出ていた。
途端襖から浪人さんが顔を出してこちらを見やる。
見えた!
そう思った途端、慎さんが私を押し倒して襖を閉めた。
「見えたか?」
襖を閉じて廊下から見えなくなると慎さんががばっと起き上がり私を座らせる。
「み、見えました。見えましたけどね、ひどいです」
「すまない。それで?」
慎さんは軽く謝って先をせっつく。
どうも慎さんにとって今のは大した事ではないようだ。
私は顔に血がのぼるのを感じながらも何とか早くちに答えた。
「間違いありません。私に当て身を加えた浪人さんです」
そう、しっかりと顔を見れたおかげで確信を持って言える。
「そいつはでかした」
慎さんの目がギラリと光った。
そんな目もするんだ。
人でも殺せそうなその目つきはまるで知らない人のようで正直恐くなる。
ただ私のそんな顔を見て、直ぐに自分の顔を隠すように襖に寄って背中を向けた。
「暫く時間を潰さないと今すぐは出られない」
そう言って慎さんは襖の間から外を覗きながら声だけで続ける。
「鈴ちゃん、このままだと俺は我慢が利かなくなる。悪いがなるべく離れていてくれ」
片膝を立て、襖から外の様子を伺う慎さんの背中がまだ緊張をはらんでいる。
「は、はい」
私は大人しく部屋の奥に正座する。
このままでは抑えられなくなりそうなのはこっちだ。
私だって慎さんに突然触られて体中が火照っている。
それでも今がそんな時じゃないことは慎さんから放たれる緊張からも痛いほど分かっている。
障子が閉まっているので部屋は薄暗い。とは言っても慎さんの耳が真っ赤なのは見て取れる。
慎さんの肩幅の広い背中を見詰めながら、その身体に抱きしめられた時の感触を思い出して私の顔がまた熱くなる。
「良し出るぞ」
慎さんに突然言われても一瞬頭が追いつかない。それでも慎さんは私を起こしあげて、先程のように肩を抱き、私の顔を自分の肩に押さえつけるように手で覆って部屋を出た。
「慎さん、お帰りかい? まあ、あんまり素人さんを困らせては駄目ですよ」
さっきの年増の姐さんが後ろから声をかける。
うう……見られていたんだ。
蒸気でも出そうな顔を両手で押さえる私を抱き寄せながら、困ったように慎さんが答えた。
「肝に銘じとくよ」
慎さんは手早く支払いを済ませて外に出ると同じ裏道を抜けて籠に戻る。
私を籠に乗せる前、肩を抱く慎さんの腕に力が入ったのは気のせいじゃあないと思う。
「私が出歩いてもいいんですか?」
「まあ俺がついているから大丈夫だろう」
昼の鐘が鳴って半刻もすると慎さんが返って来た。
急いでいるようで立ったまま私の支度を待っていた慎さんは、船宿の裏手に付けた籠に私を乗せて歩き出す。
籠の外から慎さんが話しかけてきた。
「ちょいと忙しいがまずは両国の……茶屋に向う。途中で降りて俺と一緒に歩いてくれ」
言いづらそうにしているのは多分、如何わしい店なのだろう。
「そちらに顔を確かめる浪人さんがいるのですか?」
「ああ。跡を付けた者が聞き込んだ話だとしばらく前からそこに一人で滞在しているらしい」
ちょっと間を置いてから慎さんが言葉を続けた。
「それから鈴ちゃんの伯母さんに連絡が付いたのだが、どうしても会わせろと懇願されてな。船宿に泊まっていることを周りに知られても困るので浜町の小料理屋で落ち合うことになった」
「え? 伯母がそう言ってきたのですか?」
私に対して興味のなかった伯母がわざわざ会いたいと言ってくるとは思ってもみなかった。
「ああ、丁度良い機会なので俺も挨拶させてもらおうと思う」
「慎さんがですか?」
「本当はこの件が片付いてからにしたかったのだがな」
この件が片付いてから、って昨夜も言っていたのは伯母に挨拶するという事だったのだろうか。
「それではまずは両国ですね」
少し怖いがこれで私が役に立てるなら嬉しい。
気合を入れなおして慎さんに尋ねる。
「私はどうすればいいのでしょう?」
「俺と一緒に部屋に上がってくれ。中庭を隔てて対面の部屋を取ってある。酒を運ぶ時に襖を開けっ放しにするよう女中に頼んであるから、仕切り越しに顔を確かめて欲しい」
「分かりました」
橋を渡って菰のかかった見世物小屋の裏手に入った所で籠を降り、慎さんに手を引かれて裏道を歩く。
とある角まで来ると「ちょっとすまねえ」と言ってから慎さんが私の肩を抱きながら一件の茶屋に入っていく。
中では襦袢をチラつかせたお姐さん達が客の世話をしている。どう見ても如何わしい店だ。
「二階いいかい?」
慎さんがさも当たり前のように声をかけると、少し年増の姐さんが「まあ、慎さん! どうぞどうぞ」と愛想よく部屋に案内してくれる。
慎さんは部屋に入っても私の肩を離さず、寄り添うようにして襖近くに座り込む。
直ぐに酒を持ってきた女中さんに心付けを渡しながら、襖を開け放ったまま一杯始めた。
部屋に入ってからずっと横目で睨んでいた私にやっと気づいた慎さんは、少し困ったように聞いてきた。
「こんな所に来るのは初めてだろう。嫌かい?」
「嫌は嫌ですが、慎さんはよく来てらっしゃる様ですね」
慎さんはおやっと眉を上げてから私を後ろから抱え込むように座って私の耳元に囁いた。
「隠密絡みでな。ここは非常に使いやすいのさ」
慎さんは周りには聞こえぬよう小声で直接私の耳の中に呟いた。その慎さんの呟きと唇が耳を掠ってこそばゆい。
「慎さん、周りから見えるこんな所で戯れはやめてください」
恥ずかしくて身を捩って抜け出そうとするが、慎さんにしっかり抱きとめられていて動けない。
身を捩る私を落ち着かせるように慎さんが耳元で続けた。
「鈴ちゃんにゃぁ申し訳ないが暫くこのままだ。ここは、その、連れ込み茶屋でな、余り余所よそしくしてるのも怪しまれる」
「じゃあ襖を閉めれば……」
「それじゃあ相手の顔が見えないだろ」
ああ、そうだった。
でも慎さんに抱きしめられながら耳元で囁かれているとまるで睦事を聞かされているように見えるのでは……
「そういう事をしているように見られるようにしてるんだ。そうすりゃ向こうもこっちをじろじろ見たりしない」
私の顔色を読んでそう言って、心持ち慎さんの身体で私が見えにくいように位置を調節する。
引き締まった慎さんの横顔が見えて本当に仕事なんだと一気に頭が冷めた。
「慎さん私はこのままでいいんですか?」
「……お前さんはとにかく動くな。余りもぞもぞ動かれると流石にきつい」
え? きついって……と思った所で自分のお尻の辺りに何か当たっているのに気がついた。
一瞬で全身の血が頭にのぼって真っ赤になる。
慎さんも私が気がついた事が分かったのだろう。少し身体を抱きしめる腕に力が入る。
「真っ赤になるな。余計我慢するのが大変だろう」
慎さんの手が私の身体を軽く擦り始める。
「来たぞ」
突然慎さんの鋭い声が耳元で囁いた。
見ると下から階段を上がってきた女中さんが、酒とつまみを載せた盆を持ってちょうど対面の部屋に歩いていく。
女中さんは襖の手前に膝をつき、盆を置いて襖を開けた。慎さんは顔を傾けてまるで私に口付けるように見せかけて私の顔を半分ほど覆い隠す。
「これでも見えるか?」
間近にある慎さんの顔は私を見つめながらも大変厳しい。見えにくい所で片方の手が刀にかかっている。
私は緊張に震えながら答えた。
「大丈夫です。見えています」
襖の向こうはありがたい事に障子を開けており、そこそこ明るい。
襖を超えて酒を運び込んだ女中さんが何か話をしているようだ。
生憎、丁度もう一枚の襖に隠れて私から浪人さんの顔はまだ見えず、じりじりとした思いで見つめている。
「顔が見えません。もう女中さんが下がってしまいます」
「そうか。仕方ない。鈴ちゃんちょっと悪い」
そう言って慎さんは手を伸ばして私の着物の裾を開いて手で膝の内側を上まで撫で上げた。
「ひゃぁあ!」
そのまま指で私の秘所を撫で始める。
「いやぁ、ああん、だめです。やめて」
突然の事に気が付いたら声が出ていた。
途端襖から浪人さんが顔を出してこちらを見やる。
見えた!
そう思った途端、慎さんが私を押し倒して襖を閉めた。
「見えたか?」
襖を閉じて廊下から見えなくなると慎さんががばっと起き上がり私を座らせる。
「み、見えました。見えましたけどね、ひどいです」
「すまない。それで?」
慎さんは軽く謝って先をせっつく。
どうも慎さんにとって今のは大した事ではないようだ。
私は顔に血がのぼるのを感じながらも何とか早くちに答えた。
「間違いありません。私に当て身を加えた浪人さんです」
そう、しっかりと顔を見れたおかげで確信を持って言える。
「そいつはでかした」
慎さんの目がギラリと光った。
そんな目もするんだ。
人でも殺せそうなその目つきはまるで知らない人のようで正直恐くなる。
ただ私のそんな顔を見て、直ぐに自分の顔を隠すように襖に寄って背中を向けた。
「暫く時間を潰さないと今すぐは出られない」
そう言って慎さんは襖の間から外を覗きながら声だけで続ける。
「鈴ちゃん、このままだと俺は我慢が利かなくなる。悪いがなるべく離れていてくれ」
片膝を立て、襖から外の様子を伺う慎さんの背中がまだ緊張をはらんでいる。
「は、はい」
私は大人しく部屋の奥に正座する。
このままでは抑えられなくなりそうなのはこっちだ。
私だって慎さんに突然触られて体中が火照っている。
それでも今がそんな時じゃないことは慎さんから放たれる緊張からも痛いほど分かっている。
障子が閉まっているので部屋は薄暗い。とは言っても慎さんの耳が真っ赤なのは見て取れる。
慎さんの肩幅の広い背中を見詰めながら、その身体に抱きしめられた時の感触を思い出して私の顔がまた熱くなる。
「良し出るぞ」
慎さんに突然言われても一瞬頭が追いつかない。それでも慎さんは私を起こしあげて、先程のように肩を抱き、私の顔を自分の肩に押さえつけるように手で覆って部屋を出た。
「慎さん、お帰りかい? まあ、あんまり素人さんを困らせては駄目ですよ」
さっきの年増の姐さんが後ろから声をかける。
うう……見られていたんだ。
蒸気でも出そうな顔を両手で押さえる私を抱き寄せながら、困ったように慎さんが答えた。
「肝に銘じとくよ」
慎さんは手早く支払いを済ませて外に出ると同じ裏道を抜けて籠に戻る。
私を籠に乗せる前、肩を抱く慎さんの腕に力が入ったのは気のせいじゃあないと思う。
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